かかり方
「夜、救急外来を受診してもいい?」「どんな時に小児科にかかったらいい?」「いつまで自宅で見ていてもいい?」「お薬はどんな時にもらえばいい?」
当院では時間外診療(平日15:45以降、土曜日11:30以降、日・祝日は終日)の間、小児科医師が常にいるわけではありません。1人の医師が内科、外科を含む全ての患者さんの診療に当たっています。救急外来の適正利用にご協力をお願いいたします。
発熱(体温38.0℃以上)
こどもの熱のほとんどはかぜ(ウイルスによる急性感染症)です。熱は、体に入ってきたウイルスと戦うための反応ですので、あわてて下げなくても大丈夫です。首、わきの下、ふとももの付け根などを冷やしてください。熱のせいで苦しそうであれば熱さましの薬を使っても良いでしょう。
どうしよう? | こうしましょう! |
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39〜40℃を越える高熱 | 水分をこまめに飲ませ、汗をかくのを助けましょう |
食事を受けつけない | 糖、塩分を含む水分を少量ずつこまめにあげましょう |
夕方から夜に熱が出るが、朝は熱が下がっている | 熱が3日間続いたら、平日の日中に受診しましょう |
家族やきょうだいにインフルエンザや水ぼうそうなどうつる感染が発生した | 当院では予防としての治療は行っていません。発症した場合は48時間以内に治療を開始すれば間に合います。平日日中に受診しましょう |
こんな時は救急外来を受診しましょう
- 3ヶ月未満の赤ちゃんが38.5℃以上の熱を出した時
せき、はなみず、ぜーぜー
せき、はなみずは鼻、口、のど、肺までの呼吸器の感染症で起こります。せきやはなみずは止めるよりも、出してあげた方が治りは良いと言われています。ご自宅でもはなみずを吸ったり、部屋を加湿すると良いでしょう。ぜんそくのようなアレルギーの病気でせきやぜーぜーが起こることもあります。2歳未満の小さい子や、初めてのぜーぜーを起こした子の場合は、アレルギーがあるのかどうか判断できないことが多いため、経過をみていくことになります。
できるだけ平日の日中に受診し、相談しましょう
こんなことを聞かれます | こんなふうに教えてください |
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いつから始まりましたか | ◯月◯日の朝◯時頃から |
いつ頃悪化しましたか | □月□日の夜□時頃から |
夕方から夜に熱が出るが、朝は熱が下がっている | 熱が3日間続いたら、平日の日中に受診しましょう |
たんのからむせきですか | たんが出る/乾いたせきです |
まわりにかぜをひいている人はいましたか | △月△日頃に遊んだ子がかぜをひいていました |
こんな時は救急外来を受診しましょう
- 座ったり立て抱きにしても、息が苦しく眠れない
- 水分を取るたびにむせて吐く
- おしっこの量が少ない(普段の排尿間隔の2倍以上)
- 呼びかけに対し目が合わない
- 顔色が青白い、部屋が寒くないのに爪先が紫色(チアノーゼ)
- 鼻が膨らむような呼吸、胸や肋骨の下がペコペコとへこむ呼吸
腹痛、嘔吐、下痢
腹痛、嘔吐、下痢は、口から肛門までの消化管の感染症で起こります。嘔吐が先に出現し、続いて下痢が出現することが多く、この間腹痛が続くために食事を取りたがらなくなります。脱水にならないよう、食べられるものを少しずつあげると良いでしょう。水やお茶でも良いのですが、ポカリスエットやOS−1のように糖分と塩分が含まれている水分の方が吸収には良いと言われています。
けいれん
けいれんは突然意識を失い、全身が固まったように硬くなったり、腕や足、あごなどがぶるぶると規則的にふるえる症状です。5分以内に自然に止まるけいれんでは脳に影響はありません。けいれんが治まったら、意識を確認しましょう。目が合うか、呼びかけに答えるか、麻痺がないかをみてください。
小児科外来ではこんなことを聞かれます
- 何時何分からけいれんは始まりましたか?
- 何をしている時に始まりましたか?(眠りに落ちそうな時、テレビを見ている時、寝ていたら突然)
- 手の動き、足の動き、目の向き、首の動き、姿勢は?
- 口から泡を吹いていましたか?顔色は紫色でしたか
- けいれんした子と血縁関係の方で、けいれんを起こしたことがある人はいますか?てんかんや脳の病気をお持ちの方はいますか?
- 母子手帳、お薬手帳を確認させてください
こんな時は救急外来を受診しましょう
- けいれんが5分以上続く
- 左右差のあるけいれん
- 手の動き、足の動き、目の向き、首の動き、姿勢は?
- 口から泡を吹いていましたか?顔色は紫色でしたか
- けいれんが治まっても、意識が戻らない(呼びかけても目を開けない、目を開けても焦点が合わない、言動のつじつまが合わない)
- 手足に麻痺が残っている
アレルギー症状
アレルギー症状には次のようなものがあります。
- 皮膚症状(じんましん、発赤、かゆみ)
- 呼吸器症状(ぜーぜー、咳、鼻水)
- 消化器症状(腹痛、嘔吐、血便)
- 循環器症状(ショック、心停止)
- 神経症状(意識が遠のく)
皮膚症状と呼吸器症状など、2つ以上の症状が見られたら、「アナフィラキシー」と呼びます。
どうしよう? | こうしましょう! |
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じんましんや発赤が出た | かくと悪化しますのでかかせないように。冷たいシャワーをかけたりアイスノンを使って冷やしましょう |
かゆがっている | |
ぜーぜーしてきた息が苦しそう | 救急外来を受診しましょう |
食べたものだけでなく胃の中のものを吐いている。お腹の痛みがある |
- 初めてアレルギー症状を起こした場合は、起こす前に食べたものや触ったものを確認しますので、できるだけ「そのもの」をお持ちください。
- 救急外来ではアレルギーの検査はできません。救急外来で診察後帰宅となった場合は、日中に小児科外来を受診し、アレルギーについて相談してください。
- ぜーぜーが治まらない、血圧が不安定な場合などは救急医の判断で入院になることがあります。
薬の使い方
こどもの「かぜ」は80%がウイルス性なので、抗菌薬(抗生物質)を使っても効果はなく、自分の免疫力で治るのを待ちます。
待つ間、以下のような対症療法を行います。
名前 | 効果 |
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ムコダイン | はなみずやたんを柔らかくし出しやすくする。粘膜を正常に戻す。 |
アスベリン | 脳の「せき中枢」を抑え、せきを出にくくする。気管支液を出し、たんを出しやすくする。 |
ホクナリン | 気管支を広げて、呼吸を楽にする。 |
ミヤBM | 腸の善玉菌である「酪酸菌」、乳酸菌の働きを助ける。 |
ナウゼリン | 胃腸の動きを促進する。 |
カロナール(内服)アンヒバ(座薬) | 血管を広げ、体温を下げる。脳の「熱中枢」「痛み中枢」に働き、熱を上げないようにしたり、痛みを感じにくくしたりする。 |
小児科外来からのお願い
- 母子手帳とお薬手帳は毎回お持ちください。
- 体重は裸もしくは薄着で、毎回測定してください。
- 普段とどう違うのか、を説明できる方と一緒に受診してください。
- 診察がしやすいよう、ワンピースやつなぎの服は避けましょう。
- 待合室ではあらかじめ服のボタンを外し、胸や背中がすぐ見えるように準備をお願いします。
- 熱、嘔吐、下痢は「◯月◯日の◯時から始まった」「◯℃だった」「◯回吐いた/下痢をした」という情報を頂けると良いです。
- はなみず・せきも、「いつから始まり、いつ頃から悪くなってきたのか」を日付、時間とともに教えていただけると助かります。
のどを診るときの姿勢
- 保護者の足で、お子さんの両足をはさみます。
- 保護者の片腕でお子さんの両腕を包みます。肘が曲がらないようにすることがポイント。
- もう片方の手でお子さんのおでこを包み首を横に振らないようしっかりと押さえます。
- 保護者の上半身ごと後ろに倒し、お子さんの顔が上を向くように支えてください。
知っていてほしいこと
- 熱が出るのは体が戦っている証拠です。高い熱が出てもあわてて下げる必要はありません。
- かぜの8割はウイルス性です。ウイルスには抗菌薬が効きません。自分の免疫力で治るまで、たんを出しやすくする薬を飲んだり、はなみずを吸ったりする対症療法が主となります。
- 「ずっとはなみずが治らない」「ずっとせきが治らない」というのは、1週間くらいで治るかぜを次から次へとひいていることが多いです。かぜをひくことで免疫力がつき、体は強くなっていきます。小学校に上がる頃には体も丈夫になりますので、気長に見てあげてください。
- 5日間以上続く熱の場合は受診してください。発熱5日目が土日の場合は月曜日か、発熱4日目の金曜日に受診しましょう。
- 症状がつらい場合は受診していただいて大丈夫です。夕方から夜にかけて不安になることが多いので、できるだけ日中の小児科外来を受診していただくようお願いいたします。