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病院だより「東葛の健康」

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No.366(2015年1月号)

新春座談会
「かかわること」の大切さ 全力で患者さんを支える

入職2年前後の若手職員が東京勤労者医療会理事長の本間章医師を囲み2015年の展望を語りました。
2016年新病院オープンはもとより、医師不足、健康増進活動、患者さんの背景や社会の動きまで縦横に話します。「新しい病院を日本の医療を変えていく発信元の病院にしたい」という本間医師の大きな夢まで。どうぞご覧下さい(編集部)

参加された皆さん

  • 司会・事務長宇留野 良太
  • 東京勤労者医療会理事長・医師本間 章
  • 医師高橋 麻奈
  • 看護師黒瀬 愛見
  • (登場順)
  • 付属診療所・事務飯田 夕貴
  • 放射線技師三澤 慎也
  • 医友の会事務局長加賀谷 昭
座談会
東京勤労者医療会理事長・医師 本間 章

東京勤労者医療会理事長・医師
本間 章

司会新年あけましておめでとうございます。今日の座談会は、若手職員が本間理事長を囲んで新春の展望を語っていただきます。昨年2014年はどんな1年だったか、振り返ってお話をいただければと思います。

理事長あけましておめでとうございます。昨年は経営上もかなり苦戦をした年でしたが、新病院という目標に向かってみんなが力を合わせてきました。奮闘してこられた皆さん方に感謝したいなと思います。

高橋3年目もここに残ると決めたことで、ポジティブに学ぼうという気持ちになり、自分としてはすごく成長できた1年だったかなと思っています。

黒瀬「もう卒1じゃないよ」といわれるし…。技術、知識を深めようと向上心を持てる1年だったかなと思います。患者さんのもとに行って、お話を聞くことが自分の原動力になっています。

飯田入職した2013年は、電子カルテ移行で事務は「大変な思いをしたな」という1年でした。去年は中身を考えるすごい勉強の年でした。

三澤医療現場に飛び込んだのですが、正直うまくいかないことが多くて、周りの方とか、先輩たちに支えられながらの1年間でした。

総合医を育てる
司会(事務長) 宇留野 良太

司会(事務長)
宇留野 良太

三澤ただ、スタッフ、とくに医師や看護師が不足しているなあと。

高橋私も医者が少ないかなと思っていて、医者が少ないと仕事が増える、大変、辞めちゃう、もっと少なくなる、というループを改善しなければと思うんです。

理事長全国的に医師不足です。医師不足で業務が苛酷になり、「こんなもん、やってられない」という立ち去り型サボタージュというそうですが、医師が退職し、病院が成り立たなくなって、日本中で医療崩壊ということが話題になりました。
医師の偏在ということもいわれました。地域的な偏在、他にも専門分化による医師の偏在、医師不足ということもあります。高度医療センターといわれるところでは、高血圧で内科、大腸がんで外科、腰痛で整形外科…と1人で4回、5回外来を受診しなければ終わらないわけです。病気の治療には専門医が必要なんだけれども、1回で総合的に病人を見てくれる『主治医』というのが、医療の中心に座らないといけないんです

高橋私も、医者の偏在と医者の疲弊が、つながっていると思うんです。市外、県外からも救急車が来るんですけども、病院がない、あっても「○○科がないので」「その疾患を診る医者がいないので」とか、結局、医者が偏っていて、診れないものが多すぎるんです。

理事長東葛病院がすごいと思うのは、救急なんかもみんなでやっているんです。小児科の先生が大人の患者さんを生き生きと診ているというのは、すばらしいですね。ほかの病院ではそれぞれ各科に専門分化していますから、そういうのはほとんどできない。これは医者のありよう、育て方についての東葛病院の挑戦です。

健康は全ての人が平等に
チーム医療
医師 高橋 麻奈

医師 高橋 麻奈

高橋今年から救急外来で救急車の受け入れの可否の判断もして、全部の検査、全部の判断が自分の責任になってくる。私はそういうところがすごく不安で。

三澤1枚の胸の写真も、どうやったら見たいところが見えるか、毎日、毎回考えることが勉強だなと感じました。

黒瀬夜勤では看護師2人で、40何人の患者さんがいるわけです。もし患者さんが急変した時に自分がリーダーだったら、それが不安です。何とかしてほしいと切実に思います。

三澤私はコミュニケーション能力の大切さを感じます。患者さんとうまく話せない、患者さんの情報を聞き出せなかったということではいい写真が撮れないこともありますが、他のスタッフとのつながりが大事だなあと感じています。

看護師 黒瀬 愛見

看護師 黒瀬 愛見

高橋私も、ようやくいろんな病棟のスタッフと知り合いになってきて、廊下とかで会うたびに「こんにちは!」みたいな感じで、コミュニケーションもとれるようになってきたかなと思います。

理事長「チーム医療」ということでは、医者のチームも必要ですが、各職種とのチーム医療も重要ですね。たとえば朝の救急検討会、放射線技師さんが医師と一緒に議論していますね。放射線科のテクノロジーはどんどん進歩しており、医者が知らないことも彼らは知っていて、こんな情報が知りたいというと、放射線技師がそれならこんな方法ができますと見せてくれる。薬剤師、検査技師や臨床工学士さんも、それぞれが専門的な知識、技量をもっている。それをチームで共有できると、患者さんにとってもメリットになり、医者にとっては業務の軽減にもなります。

共同組織との協力

加賀谷地域に根ざす病院として、新病院の建設が具体化し進行する中で病院職員との協同の行動が進んだ1年でした。

理事長新病院という目標もあって、職員と共同組織の協力が飛躍的に進みました。その協力の姿勢が、地域活動や、HPHの健康増進活動に、どう具体的に活かしていけるか楽しみです。

世の中をどう見るか
放射線技師 三澤 慎也

放射線技師
三澤 慎也

飯田今、民医連の事務の研修で学んでいますが、戦争を起こさない憲法9条の話とか、25条の国民一人ひとりが最低限度の生活を営む権利とか、大事な憲法を壊してほしくないなと。自分は今そう思うだけで、何もできない状況にいるのが現状なんですけれども。

加賀谷特定秘密保護法や集団的自衛権の行使は、医療従事者をも戦争に動員し、市民より傷病兵の治療が優先されます。国や地方議会は医療介護を重視すべきです。

理事長先日来た患者さんは60代の僕よりちょっと上の人ですが、「先生は怒りっぽくなんないですか?」っていきなり聞くんですよ。「僕も歳をとったから大分、怒りっぽくなっちゃってね。だけど、あなたは、なんで怒っているんです?」と聞いたら、いきなり「今の政治家。あんないい加減な奴ら、あいつらは将来に向かって責任を持っていない。先生、怒りがおきないのか」と言われて。「そのことだったら、俺だって相当怒っているよ」と共鳴しました。

患者さんの背景

黒瀬「なんでもっと病院に早く来なかったの」という人がいっぱいいるじゃないですか。でも、背景を知ると、来れなかったんだって思うことが多々あります。生活保護のおばあさんが「申し訳ない」というんです。増税や、雇用の不安定さ、公費の削減とか、年金もそもそも少ない。そもそも医療費が上がっているのが原因なのに。

理事長この前、診た患者さんは、へモグロビンが半分以下の、すごい貧血。「あんた入院しないと無理だ」と言ったんだけど拒否。もともと十二指腸潰瘍でかかっていた患者さんで、2年前にパタッと来なくなってたんです。そのときは理由がわからなかった。常勤で働いていた会社が倒産寸前でみんなリストラされ、全然仕事が見つからない。貯金をきりくずし、タクシーの運転手をやって生活をしていたんですね。
今回は、ふらふらになって、タクシーの運転もできなくなり、病院にやっとたどり着いた。食費3万円で「入院費なんて払えないんだ」と言うわけです。まじめに働いていた普通の人が、突然、社会的弱者になって生活できなくなる、そんな時代になっているんです。

院長以下6人が参加した

院長以下6人が参加した

無差別平等の医療

高橋東葛病院は、生活保護の人を断らないし、無料低額診療にも取り組んでいます。こういう病院が増えていけば国民のいのちは守れるんじゃないかなと思うのですけど。

理事長私たち民医連は、HPHに取り組みます。これはWHOが掲げている「健康は全ての人が平等に」という世界共通の理念を、日本にも広め地域から実現する病院になろうという運動です。一方で、新自由主義と言われる人たちが「格差があって当然」「悪平等」だという姿勢で政治を動かしているわけです。ぶつかるわけです。だけども大きな歴史の流れは変えられない。今の政治の動きに惑わされずに、力をあわせていくことが重要です。
また今、政府は「医療は成長産業だ」と言っているでしょう。製薬企業の新薬開発に補助金も出し、日本もアメリカに負けずに新薬を作れというわけです。そんな中でディオバン事件がありました。製薬企業がいろんなデータを操作して、ある薬が大変有効であるというウソの成績を提供してそれを医者が発表したんですね。新薬を売るためにそこまでやるわけです。そこに医者も巻き込み医療を儲けの道具にしているわけです。私たちの医療の目標は、金儲けではない。無差別平等に誰でもが健康に暮らせる社会です。

傍観者にならないこと
付属診療所・事務 飯田 夕貴

付属診療所・事務
飯田 夕貴

飯田そのためにも医療や国民一人ひとりの生活を守り、戦争を行わないよりどころとなる大事な憲法をこわしてほしくないなと。

理事長そういう意味で、医療従事者がやらなければならない課題はたくさんあると思います。医療人は国民の健康や命の守り手であることを期待されています。憲法が本当に生かされる社会にしていくことが私たちに期待されている。地域社会と国の政策による環境づくりまで含めて、私たちが関与していかないと。原発問題もです。私たちは傍観者であってはいけない、関与していくことが大切なのです。

三澤患者さんのため、よりよい医療を提供するためにも病院をうまく経営していくことが必要なのかなと思いますが。

理事長病院の経営が確かに大変なんです。今、東葛病院は、室料差額は取っていませんよね。かなりの病院が取っていて、収益の1から2%ぐらいになると推定されています。1、2%というと相当ですよ。それが何もしなくてもそれだけ入ってくる。そこを私たちは、平等に医療を提供できるように、取らないというわけですよ。そういうことをやりながら経営を持たせるわけですから、存続するためには黒字を出さないといけない。職員一人一人がそれぞれの部署で経営に取り組むことが求められているのです。

新年の抱負
医友の会事務局長 加賀谷 昭

友の会事務局長
加賀谷 昭

司会本質的なところまで掘り下げてお話をいただいたと思います。今年2015年の抱負をお聞かせください。

加賀谷平和の問題、9条の問題。とりわけ国際的に大きなうねりになっている核兵器禁止の面で大きく前進させたい。

黒瀬単純に患者さんのそばにいたい、そして患者さんが求めているものから出発して憲法9条とか社会情勢の勉強とかもしていきたい。

高橋明るく、フランクな、医師として輝きます。そして、学生や初期研修医が「あの先生、自分が入るときに居てくれるんだ」と。若手が増えて、医局が大きくなったらいいなと思います。

三澤一人立ちして当直にも入れるようにしっかりと頑張りたいと思います。

飯田窓口の事務が冷たいという患者さんの意見が出たことがあって。そんな事がないよう事務が一丸となって新病院のオープンを迎えたいです。

司会では、新年号ということもありますので、最後に理事長の夢をお聞かせください。

理事長僕が常々強調しているのは、患者さんは部品で見てはいけない、人間として生きていくために何が必要でどう支えるかが大切だということです。そのことを常に考えている職員、病院になろう。新しい病院がその形をさらに進め、全国に発信して日本の医療をかえていく病院にしたいというのが、夢と言えば夢でしょうか。

司会ありがとうございました。楽しい1年にしていきましょう。

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第11回子ども冬まつり
東葛病院 付属診療所・主催

3階病棟のアフロの看護師の踊りに会場の子ども達も一緒に踊りだします。医局集団による、おなじみ「マナとメスの女王」「妖怪体操第一」で会場は熱気の渦。11回目を迎えた子ども冬まつりの一コマです。

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東葛病院・付属診療所の医療活動(2014年11月分)
付属診療所1日平均外来患者数 730人
東葛病院 1日平均救急・夜間外来患者数 58人
1日平均入院患者数 295人
手術件数 80件
主な検査 血管造影 30件
内視鏡 578件
CT 915件
MRI 296件
心電図 912件
腹部エコー 387件
心エコー 261件
救急患者数 1737件
内 救急車搬入件数 209件

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