緩和ケア公開講座
去る7月12日火曜日、流山市生涯学習センター(通称流山エルズ)にて、緩和ケア公開講座が開催されました。
今年の4月より東葛病院緩和ケア科に着任致しました、木下寛也医師を講師に、「緩和ケアの連携の現状とその課題」というタイトルで医療関係者向けに講演会を行いました。
会場には、仕事を終えた市役所職員、他院の職員、地域のケアマネさん、他院の先生方に、法人内の職員を含め、約90名もの来場者。
初めに東葛病院院長下正宗より「下花輪(旧病院)では出来なかった緩和ケア病棟。木下先生の力を借り、緩和ケア病棟を新病院では立ち上げることができました。」と木下先生を紹介。(木下先生は3月まで国立がん研究センター東病院緩和医療科の科長を勤めていた先生です!)
いよいよ「緩和ケアにおける連携の現状とその課題」の講演です。
まず、地域で働くものとして、地域の現状を、流山市の人口を知っていますか?との質問。流山市の年間がん死亡患者数とその中での自宅死亡数などの具体的な数字も示していただきました。率にすると13.8%なんだそうです。在宅医療の条件や、「治す医療」から、「治し、支える医療」への転換も必要というお話。2025年問題にも触れ、これからは(参加者の皆さん)目の前の医療だけではなく、日本の、せめて東葛地域の医療を支えて下さい、というお言葉。
地域連携の視点からは、信頼のできる関係を作るためには、顔が見える関係、顔の向こう側が見える関係を作ることが重要。がん患者の家族からは「こんなに急に悪くなるなんて」と言われることが多いが、プロアクティブケア(今後の見通し)が必要。プロによる予測、患者・家族にはわからないことが多いのだから、医療者がプロとして気付き、予測に変えなくてはならない。目の前のことでいっぱいになりがちだが、今困っていることだけでなく、今後困りそうなことも予想することの重要性などを説明していただきました。
流山市の課題としては往診をしている医療機関が少ないことがある、等々限られた時間ではありましたが、非常に内容の濃い提言に参加者は真剣に聞き入りました。
続いて緩和ケア病棟看護師長による「東葛病院緩和ケア病棟の紹介」です。
パワーポイントには病棟で行われた家族との誕生日会、ペットとの再会、七夕まつりの様子などが生き生きと映し出されました。参加者からの感想でも、「スライドの患者さま一人一人の笑顔がとても素晴らしかったです!」と言っていただけました。緩和ケア病棟は通常の病棟と違い、ご希望に沿ってお好きなお酒もすこーしなら許されるそうです!
19時半に無事公開講座は終了しました。
参加した病棟看護師は「これからは地域の事も考えていかなくては。今日はとても勉強になりました」と感想を語っていました。
掲載日:2016年8月10日/更新日:2016年8月10日