東葛の健康 No.393(2017年5月号)
- 腎不全に至らないための「腎臓内科」 – 東葛の医療 腎センター
- はい!こちら患者サポートセンターです<隔月掲載①>
- シリーズけんさ111【血液検査⑩】
- 子育て応援コラムKids’n Baby’s(きっずんべいび~ず)
- 共謀罪学習会
- 東葛病院の医療を良くする委員会報告
- いのちと人権の現場から
- 東葛病院・付属診療所の医療活動(2017年3月分)
腎不全に至らないための「腎臓内科」 – 東葛の医療 腎センター
大切な「血圧を下げること」と「減塩食事療法」
「血液にある必要なものと不必要なものを選別し、必要なものは体内に残し、不必要なものは尿として体外に排出する」。この腎臓の機能が低下したとき腎不全・腎炎ネフローゼ症候群・糖尿病性腎症などが発症します。この症状を診療するのが腎臓内科です。東葛病院腎センター医長の土谷良樹医師に聞きました。(編集部)
腎センター医長
土谷 良樹
症状がない「腎臓病」
腎臓病は、症状があまり無い病気です。このため、健康診断を受けていない方は、「突然」具合が悪くなって、病院を受診したらもう透析が必要な末期状態だった、ということがあり得ます。そうならないために大事なのは、血液検査と尿検査です。健康診断を定期的に受け、尿検査で蛋白(±)だけであったとしても、「この程度なら大丈夫」と一人で決めず、一度は腎臓内科外来を受診することをお勧めします。中には、精密検査をして治療を始めた方が良い腎臓病も含まれるからです。
腎不全に至らない治療
尿検査異常に気づかず、だんだんと腎臓の機能が低下してくると、「透析」の話がされ始めます。しかし、「透析」は、いよいよ末期状態の腎機能障害になったときの治療法です。まずは、腎臓の機能がそれ以上低下しないように、「腎不全に至らない」ための治療をすることをおすすめします。腎臓の病気の種類、状態によって治療法は異なりますが、共通する治療は、「血圧を下げる」ことと、「減塩」食事療法です。(このほかに「低タンパク」食事療法もありますが、こちらは必要な方だけにお話ししています。)
「血圧を下げる」が基本
血圧は、病院を受診するときしか測らないのでは、下げることができません。病院に来たときに、血圧が上がる方(白衣高血圧といいます)と、下がる方(こちらは仮面高血圧といいます)がいるからです。自宅で1日1~2回、時間を決めて毎日測定しましょう。血圧計は、指や手首で測るものもでていますが、正確さに欠けることから上腕で測る血圧計をおすすめします。目標となる血圧は病気の状態によりますが、高くとも140/90㎜Hg以下に維持します。血圧が高ければ高いほど腎機能の低下速度が速いことは、以前からよく知られています。腎臓病をお持ちの方は、できる限り血圧を下げていくことが、透析が必要な状態に至るのを避けるためには大事です。
「減塩」に気を付けて
2012年の厚生労働省の報告書によると、日本人の平均塩分摂取量は女性で9・6g、男性だと11・3gです。推奨される塩分摂取量の上限は、女性で7g、男性で8g、腎臓病の方は6gですから、多くの人は塩分過多なのです。「塩分には気をつけているので、ラーメンは汁を飲まないようにしている」いう方がいらっしゃいますが、薄味のラーメンでも1杯6gほどの塩分が含まれており、汁を飲まなくても3gは摂取してしまいます。減塩で大事なことは、塩分が多くなる汁物を避けることと、外食をできるだけ避けること。外食する場合には、塩分が何グラム含まれているのかを知って食べることです。
透析は血液透析・血液浄化療法に対応する
「腎臓疾患」の治療
どんなに熱心に薬や食事療法で治療しても、腎機能が悪化して末期腎不全になってしまう病気もあります。腎不全になっても、血液透析、腹膜透析、腎臓移植といった治療を受けることで生きていくことができます。東葛病院は、腎臓疾患の治療を包括的に行っています。お困りの際は何でもご相談ください。
はい!こちら患者サポートセンターです<隔月掲載①>
患者サポートセンター入退院支援課 山本登美子
質の高い医療を提供する窓口
電話での入退院相談
私は患者サポートセンター入退院支援課で働いています。入院された患者さんが治療やリハビリが終わった後、希望されるような療養が出来るように、患者さんや家族の方からご意向を伺い、病院のスタッフやケアマネをはじめ地域の介護スタッフと連携して支援するのが主な仕事です。病院への窓口として転院相談を受けることもあります。
先日の話です。近隣の病院からリハビリ目的での転院相談があり面接をしました。もともとかかっていた病院へ体調を崩して入院され、診断は「インフルエンザ」。ほかの人に感染するからと個室への入院で1日3万円。インフルエンザの感染力が消えたあとも体調は戻らず、その方は1か月個室に入院することとなりました。相談に乗ったその病院のケースワーカーが大変でしょうともっと低額の部屋に移してくれた、というお話でした。
患者さんは二人暮らしの年金生活者。1か月を経た入院の差額室料は100万円でした。それに比べて医療費は後期高齢者で食事代と合わせても8万円ほど、何とも考えさせられる現状です。
今の医療制度では病院ベッド総数の75%まで差額室料を設定できることになっています。厳しい病院経営でどこの病院でも差額室料を設定しています。でも、患者の立場になればなんと重い負担でしょうか。
当院が加盟する全日本民医連が掲げている「命は平等、差額ベッド代は取らない」ことはなんと尊いことでしょう。また感染などで個室でなければならないときは個室料は徴収できないことを徹底させることも重要です。そもそも差額室料なしでも医療を行える診療報酬にしていくことが最も大事です。
必要な時に差額のないベッドを患者さんに提供できるように、しっかりと退院支援を行っていきます。課題は大きいけれど奮闘したいと思います。
シリーズけんさ111【血液検査⑩】
臨床検査技師 森本 有咲子
血液ガス分析器操作中の筆者
血液検査の項目の中に、尿素窒素、尿酸、クレアチニンなどといった名前を見たことがあると思います。これらの項目は、体内でエネルギーとして使われたたんぱく質の老廃物であり、主に腎臓のはたらきを見るために検査をしています。
では、腎臓とは普段どんな役割を担っているのでしょうか?
血液の中には、私たちにとって必要なものと不必要なものが混ざって流れています。必要なものはブドウ糖やアミノ酸などの栄養素であり、先ほど書いた尿素窒素、尿酸、クレアチニンはここでの不必要なものにあたります。腎臓はこの不必要なものをからだの外に出すはたらきをしています。腎臓に流れ込んだ血液中の不必要なものは、のちに尿となり排出されますが、腎機能が低下しこの分別のはたらきが上手くいかなくなると、体内に不必要なもの(老廃物)が溜まってしまい、支障をきたします。
これらの老廃物の基準値を表で示してありますが、この数値が高くなるほど老廃物が体内に蓄積されているということになり、主に腎機能の低下を示します。しかし、項目によっては食事や脱水などの影響で数値が変動するため、ひとつの項目の結果だけで判断するのではなく、それぞれの項目を合わせて見ることや、尿検査など他の結果も見て診断しています。
基準値
尿素窒素(BUN) 8.0~20.0㎎/dl
尿酸(UA) 男:3.0~7.0 女:2.4~7.0㎎/dl
クレアチニン(CRE) 男:0.60~1.10 女:0.45~0.80㎎/dl
子育て応援コラムKids’n Baby’s(きっずんべいび~ず)
小児科病棟をご紹介します
7階B病棟は小児科・整形外科の混合病棟です。小児科病棟は10床の病床で運営しています。肺炎やRSウイルスをはじめとしノロウイルスやロタウイルスなどの感染症のお子さんが多く入院されています。その他に長期休暇を利用しての低身長の検査入院も受け入れています。
小児科外来では2013年からぽっちゃり外来を開始していましたが2016年から新たに病棟でぽっちゃり小児の教育入院を2クール受け入れました。夏休み中の2泊3日で理学療法士の指導のもと個々に目標を設定し、体操やウォーキング・ストレッチを病棟看護師と楽しく一緒に行ないました。お母さんとともに管理栄養士と献立について改善策をはじめとした栄養指導を受け、小児期に生活習慣の基礎づくりとして運動、食事と規則正しい生活を送り生活習慣病を予防していかれるよう指導を行なっています。
そして今年度より毎週金曜日に小児科外来で行なっている食物アレルギー負荷試験を入院でも行なえるようになります。入院後、体調の確認や検温をします。持参された食物を少量から摂取開始して経過を見ていきます。アナフィラキシーの発症や状態によっては医師の診察・診断により1泊入院が必要となることもあります。
新たな取り組みを開始しつつこれからも地域に目を向けて患者さんの思いに寄り添える看護、ケアを提供していきたいです。
こども食堂大盛況!
4月15日、4月号の「東葛の健康」でもお知らせしたこども食堂が開店しました。開催場所は旧病院近くの院内保育所。10時には病院スタッフをはじめ、「東葛の健康」を読んで参加の方、「こどもの貧困に心を痛めていた」と語るボランティアの方、友の会幹事さんなど総勢21名が食材を持ち寄り集合しました。
調理は篠木東葛病院管理栄養士を先頭に、元職員、ボランティアがハヤシライスやカンパの野菜でサラダやデザートを手際よく調理しました。
続々と集まる家族連れ
時間は12時。職員の家族や近隣独居の高齢者も含め親子連れ24人が集まり、お食事タイムがはじまりました。早々に食事を終えたこどもたちは保育所中を大暴れ。ジャングルジムから飛び降りる子、おもちゃの馬に乗って保育所中を駆け回る子など大変なにぎわい。参加した医学生のAさんは「地域のみんなが集まり食事する機会をありがとう、感激しました」と。7階小児科病棟の浅川看護師は「地域の大家族のような雰囲気。嬉しい」と話します。
予想以上の大成功
今回の会の実行委員長上村一清研修医は、「楽しく食事が出来る場所になった。毎月1回はこども食堂を開きたいですね」と話しました。総勢45名が食事したこども食堂、最後に今後は地域で多くのボランテイアを集め、長くこども食堂を続けていくことが大事とまとめました。5月20日第2回こども食堂が開催されます。(編集部)
共謀罪学習会
具体的な「行為」がないのに話し合いだけで処罰するのが共謀罪。「目くばせ」や「LINEのやりとり」も該当、犯罪の準備行為とは「下見」や「ATM出金」も対象です。恐ろしい言葉が講師の原康樹弁護士(東葛総合法律事務所)の口から次々と飛び出します。
4月15日、東葛病院や健康友の会も加盟する「憲法こわすな・戦争させるな」流山連絡会は、国民救援会流山支部と共催で「共謀罪(テロ等準備罪)学習会」を流山生涯学習センターで開きました。「共謀罪」法案は今国会で閣議決定され、審議が続いています。安倍首相は口を開けば、「テロ対策のため」「東京オリンピックを成功させるため」と緊急性を強調しますが、この間2003年・2004年・2005年と国会に法案提出し、いずれも「廃案」となった経過からも用意周到に準備されていた事が明らかです。
「これでは、民医連が呼びかける原発ゆるすな・辺野古基地反対・医療介護改悪許すな・医師看護師増やせなどの行動はすべて共謀罪の対象になってしまう。開いた口がふさがらない」とは東葛病院から参加したAさん。参加した56人全員、このあまりにも人権を無視した法案に怒り心頭でした。(編集部)
東葛病院の医療を良くする委員会報告
あなたの声から
- 寄せられた声
- セントラルパーク駅を利用し来院している。3月から駅から病院前の工事が続いていて足元が危ないことがある。
- 対応と対策
- 流山区画整理事務所と確認したところ、「東口駅前広場整備工事」で工期は5月下旬までつづく模様です。工事業者と定期的に連絡をとり、患者さんの安全確保に努めます。
- 寄せられた声
- 予約電話がなかなか繋がらない。病院からかかってきた電話もリダイアルできない。電話のトラブルが多すぎる。病院は電話を取りたくないのか
- 対応と対策
- たいへんご迷惑をおかけします。
病院は光回線を利用しているため、一部の患者さんのご自宅の電話では信号を認識できない症状が起きているようです。病院側では手が打てない問題もありますが、予約センターの問題では電話が集中する時間帯に回線が増やせないかなど検討をしてまいります。
ご面倒をおかけしますがよろしくお願いします。
いのちと人権の現場から
リハビリテーション科 PT荻島悠平
復興のために 何ができるのか
避難解除される土地にはフレコンバッグが山積み
3月24~26日、福島県いわき市にて、第7回福島被災地視察・支援連帯行動に参加してきました。15県連からの参加者・事務局等、計21名で行動しました。
今回の視察は震災から6年が経過し、帰還困難区域を除く全ての地域が避難指示解除されるという情勢のもとで行われ、住民が戻れる状況なのかということを念頭に置きながら。帰還された楢葉町民との懇談、学習会、避難解除される浪江町・富岡町などの一部の視察など各地を回りました。
報道とは違い、インフラ整備が追い付いていない状況、環境問題など見聞きして感じたことは、〝自分が当事者なら帰らない、帰れない〟という考えでした。色々な背景があるにしろ、国が国民に対して真実を伝えていないのでは?と感じてしまう様な実情でした。
町民の言葉「地震だけだったらよかった、原発が爆発しなければ…」、ガイドの方の言葉「福島を忘れないでほしい」という言葉が心の中で響いてやみません。
私にできる復興活動は、今回の視察で見聞きしたことを多くの方に伝えることだと思います。〝福島を忘れない〟もう一度真実を見つめ直すのが、復興の第一歩となるのかもしれません。
東葛病院、駅前診療所、付属診療所(下花輪)の医療活動 (2017年3月分)
駅前診療所 1日平均外来患者数 | 147人 | ||
---|---|---|---|
付属診療所 1日平均外来患者数 | 30人 | ||
東葛病院 | 1日平均外来患者数 | 668人 | |
1日平均救急・夜間外来患者数 | 55人 | ||
1日平均入院患者数 | 308人 | ||
手術件数 | 137件 | ||
主な検査 | 血管造影 | 29件 | |
内視鏡 | 761件 | ||
CT | 1,062件 | ||
MRI | 370件 | ||
心電図 | 1,225件 | ||
腹部エコー | 611件 | ||
心エコー | 336件 | ||
救急患者数 | 1,714件 | ||
内 救急車搬入件数 | 278件 |
掲載日:2017年5月1日/更新日:2024年10月25日