東葛の健康 No.389(2016年12月号)

あらためて地域の健康づくりとは
東葛病院 新しい希望 新しい決意
あらためて地域の健康づくりとは - 東葛病院 新しい希望 新しい決意

皆様に2017年の初頭を飾り新春座談会をお届けします。東葛病院井上均院長・上村和清研修医・稲垣洋子病院総師長がお話しさせていただきます。今年の医療や介護はどうなるのか、新病院建設後の東葛病院の経過は、いま東葛病院にとって何が大きな課題なのか、地域の健康づくりに病院がはたす役割など縦横に語ります。聞き手は廣幡道子東葛病院駅前診療所事務長が務めます。

司会新年あけましておめでとうございます。
まず、井上先生から読者の皆さまに、院長就任のごあいさつをお願いします。

新院長就任の挨拶

井上皆さん、あけましておめでとうございます。
昨年11月1日から、下院長に代わりまして、東葛病院の院長に就きました井上均と申します。よろしくお願いします。
私は1987年、熊本大学を卒業しまして、代々木病院に初期研修医として就職しました。代々木病院で2年間初期研修を行い、その後、代々木病院で循環器の医療に携わり、約3年、代々木病院で仕事をしてきました。その後、東京勤労者医療会と東葛病院の合同の際に第1陣で東葛病院に赴任しました。
東葛病院では7年ほど循環器や透析の医療に携わりまして、代々木病院に移り、代々木病院で13年間、後半は代々木病院の院長を務めて、今年5月に東葛病院に戻ってまいりました。
新病院で働けることを大変うれしく思っていますし、ますます地域の皆さんの期待に応えられる病院に成長させていきたいなと思います。

司会上村先生。昨年4月から研修医として入職されましたけれども、「東葛の健康」の読者の皆さまにごあいさつを。

上村この8カ月間、右も左もわからない状態で、ひたすら目の前の患者さんのためにと思って頑張ってきました。
今年の4月には1年目の新しい先生が入ってこられるので、しっかりと若い先生たちを迎えられるよう準備したいと思っています。

新病院設立8か月を経て

司会新病院オープン8カ月が経ちました、井上先生から順番に一言ずつお話をいただきます。

井上東葛病院に13年ぶりに戻ってきて、一番感動したのは、年々、東葛病院を利用していただける患者さんが増えているということです。都心では逆で、中小病院では、外来患者さんが大幅に減っています。
特に子どもを持つ世代の方が本当に東葛病院を頼って、24時間、利用していただいているということに、すごく感動しました。東葛病院が地域から必要とされているということを感じた8カ月でした。

司会続きまして上村先生いかがでしょう。

上村そうですね。毎日の診療のなかで感じていることなんですけども、地域の方たちからすごく温かく見守っていただけていると思います。
昨年10月には友の会の旅行にも参加させていただいたんですけども、ここでも約60人の参加者の方たちと1泊2日で接するなかで、多くの方から「新病院の成功を応援しているよ」と温かい声をかけて頂きました。これからもしっかり頑張っていきたいと思います。

司会稲垣師長、この間職員や地域の皆さんの事も含めエピソードがあれば。

稲垣私は本当に大きな事故なく、安全にここまで来られたのが一番の成果かなと思っています。それには職員の奮闘が欠かせませんでした。新職員を多く迎え、大所帯でみんなの知恵と力でここまでこられた。そして支えてくださった友の会の方たちに感謝します。いつも「よく頑張っているわね」とか「おつかれさま」とか言っていただいて、ありがたいなと思っています。
引っ越しの夜、新病院に泊まりだったんですけど、地域からダイレクトに電話がかかってきて、いつから診てもらえるのかという問い合わせが多く、期待の高さを知ることができました。

医療の動き病院構想

司会井上先生、東葛病院構想についてご発言をお願いします。

井上医局の若い先生たちが、大変な当直の仕事や日々の仕事をしっかり行いつつ、自分の医学的な力量アップのためにカンファレンスや学習にも力を注いでおり、とても頼もしく思っています。
来年の医療構想の目玉は、東葛病院366床のフルオープンです。現在は320床程度の活用状況です。今年は新しい仲間を迎えて、早い時期にフルオープンにもっていきたいなと思っています。
とくに、断らない医療ということで、366床でも足りないなというような医療活動をぜひやっていきたい。
この間国の政策で社会保障費が削られるなか、貧困で苦しむ人が激増しています。流山地域でも医療を受けられずに手遅れになる患者が増えています。
今の営利至上社会を、弱い人の立場に立てるような社会に変えていくために、地域の方たちと手をとって、社会に投げかけられる運動を作っていきたいと考えています。

新しい仲間をむかえて

司会上村先生、研修2年目としてどのように頑張っていこうと考えますか。

上村そうですね。この春には5人の初期研修医の先生、8年目の先生が入職される予定なんですけども、東葛病院で働く楽しさとかやりがいを感じていただけるように、いい雰囲気づくりをしていきたいと考えています。

司会稲垣師長、看護部としての今年の目標は。

稲垣昨年は32人の新人看護師が入職しました。今年もたくさんの看護師を迎える予定です。一緒に職場で成長できる、しかも他の職種と一緒に育ち合えるような環境づくりをしていきたいと思います。なんのために看護をするのかというところで、今年の看護部の目標は「ここでよかったと思ってもらえる看護を展開します」ということで、患者さんによかったと思ってもらえる。自分たちもここで働いてよかったという、成長できる職場でよかったと思えるような職場づくりが目標です。

あらためて地域の健康づくりとは - 東葛病院 新しい希望 新しい決意

地域での役割

司会ありがとうございます。
HPH活動の一環で地域訪問とか健康相談会を毎月やっています。地域の方々に向けて、東葛病院の役割をお聞かせください。

井上引き続き、医師会開業医の先生との連携や市内の病院の先生方との連携を強め、地域に責任を持つ医療を展開したいと考えています。
また、介護職の方々との連携の強化も大きな課題だと考えています。高齢化社会が進む中、地域のお年寄りが安心して生活するために、医療と介護がしっかり連携することが必要となっています。高齢者が地域で元気に安心して住み続けるための、誰でも参加できる無差別平等の地域包括ケアの推進がとてもやりがいのあることだと考えます。

司会地域の方と触れ合いという事ではいかがでしょう。

上村昨年夏に行かせていただいた熱中症訪問では、お家で患者さんが見せてくださる顔というのが、病院で見る表情と全然違って生き生きされているんですね。そのような患者さんの普段の生活を知るためにも、今年はもっと、医療者のほうから地域に出ていく機会をぜひ増やしていきたいなと思っています。

地域の開業医の皆さまへ

司会井上先生、地域の開業医の先生方に一言、お願いいたします。

井上いつもいろんな場面で東葛病院を助けていただいて、本当にありがたく思っております。東葛病院はとにかく流山地域の皆さんのためにどうしたらもっともっと役立てるだろうかということを考えながら、頑張っていますので、まずは開業医の先生たちと本当に心の通う連携をしていきたいなというふうに考えています。

読者の皆さんに向けて

司会「東葛の健康」を読んでいただく読者のみなさんに、井上先生からお願いしたいと思います。

井上医療や介護の面で地域の方々にますます期待されるよう頑張りますし、医療や介護を通じて、地域の方々と一緒に健康なまちづくりができればと考えています。
繰り返しになりますが、日本の社会が社会福祉費をどんどん削っていくなか、患者さんたちの負担がますます増えています。問題はそういうことがきちんと国民に知らされないということです。「東葛の健康」で、皆さんにもっともっとお知らせしていって、社会を変えていくという作業を、しっかりやっていかなくちゃいけないと感じています。
そこに民医連の存在意義があると考えています。共同組織の人たちを中心とした、地域の人々と一緒に民医連医療、民医連運動をもっと活発にしていきたいなと考えています。

上村昨年、さまざまな形で友の会の会員さんと触れ合う機会がありました。皆さんとても楽しそうにイベントに参加しておられます。ぜひいま友の会に参加されている方たちは、自分の周りで、まだ友の会に入会されていない方に声をかけていただいて、仲間を増やして友の会をもっと大きくしていっていただけたらなと思っております。

司会稲垣師長、お願いいたします。

稲垣いつも応援してくださってありがとうございます。看護部では患者さんにも参加していただく、患者参加型看護・介護計画というのにとりくんでいます。それは患者さんの願いから出発するということで始まっていますので、ぜひ外来でも病棟でも患者さんの願いとかお気持ちを聞かせていただいて、それに寄り添った看護をやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

今年の抱負

司会先生方自身の今年のテーマを最後に一言ずつ、お願いします。

上村この地域で、病気があるのに病院にかかれない人や、経済的な困難を抱えている人、また高齢者の独居の問題にも関わっていきたいです。

井上新東葛病院をしっかり軌道に乗せることを、医局の先生方、職員の皆さん、そして共同組織の皆さんとしっかり頑張っていきたいと考えています。新しい研修医も入りますので、元気に頑張っていきたいと考えています。

司会ありがとうございました。これで新年座談会を終了いたします。

こども冬まつり
こども冬まつり

小児病棟スタッフのエビカニクス

新病院はじめての開催

12月10日 東葛病院にて第13回こども冬まつりが開催されました。井口陽医師の開会の挨拶に続き、産婦人科グループによるギター演奏「赤鼻のトナカイ」をスタッフの指導のもと手話をまじえながら全員で歌いました。続く7B小児病棟によるダンス「エビカニクス」。ユーモラスな姿に、会場の子ども達も一緒に踊りだしました。
一番の注目は医局の出し物「マッチ売りの家族」です。マチ子役を演じるのはきれいに女装した熊谷勇治医師。マッチ売りのお父さん役は西岡大輔医師。お母さん役は井口陽医師という豪華キャスト。マチ子の命を救うためにお父さんから貰った大事な指輪を投げ出すシーンに大きな拍手が起こりました。
最後は外来看護師によるキャンドルサービス。あらかじめ子ども達は着換えを終え、準備万端満点の出来でした。閉会は、人口の急増に追いつかない流山の小児医療体制の中で奮闘する熊谷小児科科長の決意表明が。参加した若いお母さんが友の会に入会するなど大きな成果が出たこども冬まつりでした。(編集部)

2017年介護シンポジウムのお知らせ

流山社保協事務局長 山縣 良一

「要支援2の父が通所介護に行けなくなった」、「介護保険軽度者は福祉用具が借りられなくなるのか?」、「認知症の母を特養に入所させたい」、「今、介護保険を使っているが今年度から軽度者は総合事業に行くと言われたがどうなるのか?」、など介護保険をめぐり多くの疑問と不安が寄せられています。流山社保協はこれらの疑問に流山市の介護支援課担当者、包括支援センター、事業所ヘルパーさん、地域の利用者さんにご出席いただき、介護シンポジウムを企画しました。どなたでも参加できます。参加費は無料です。

日時:1月25日 13時半~
場所:流山市生涯学習センター4階会議室
お問い合わせ 東葛病院組織部内流山社保協 担当 山縣

1万人の友の会で 安心安全のまちづくりを
院長 井上 均

院長 井上 均

今年度も地域のたくさんの方に友の会にご入会いただきました。あらためて御礼申し上げます。昨年の10月から年末まで「仲間増やし月間」と位置付け、職員と友の会の総力をあげてあらゆる機会に友の会へのご入会をすすめてきました。診療に来られる方、健康相談会、とうかつ健康まつりなど病院と友の会がおこなう様々な企画だけではなく、地域の店舗をお借りした「まちかど相談会」や熱中症行動、病院のことを地域の方に知っていただく地域訪問、各団体がおこなう様々な地域企画にもこちらから現地に伺いご入会を訴えました。
「友の会が流山市の人口の1割を超えたら地域は確実にかわるよ」。下正宗前院長が何度も口にしている言葉です。病院の力だけでは地域の方々の声に応えられる医療・介護活動の実現は不可能です。大きく強い友の会の力をお借りし、本当に住みやすい流山を作りましょう。「仲間増やし月間」でのご協力やご支援に感謝するとともに、友の会会員数1万人を新年の早い時期に実現させるため、引き続きお力をお借し下さい。

いのちと人権の現場から
安倍暴走政治はもうケッコー
東葛健康友の会 会長 渡部隆夫

東葛健康友の会
会長 渡部隆夫

私は、原発再稼働には絶対反対です。昨年12月、福島第一原発事故の廃炉や損害賠償等の事故処理費用が経産省から発表された。21兆5千億円、想定11兆円の倍増と、とてつもない金額だ。国と東電が負担するものと思っていたら、とんでもない。非公開(国民には見せられないという意味か)有識者会議という所で出した結論は、一般家庭の屋根に普及し始めているソーラーパネルはじめ、風力や地熱、火力等原発に関係のない新電力と呼ばれる所にも負担させ、原発再稼働を後押しする「中間取りまとめ案」が提示されたという。
東電委員会では、送配電や原発の再編・統合をめざし、共同事業体を設立し、年間1千億円の効果が生まれる等と、東電と原発の救済、延命策で、どこまでもとめどない国民負担増につながる、実に国民をバカにした悪知恵策を言い出している。安倍暴走政治は「もうケッコー」と広範な国民はだれもが思っているはずだ。今年も忙しくなりそうである。

禁煙外来 12月~
土曜日診療 START

東葛病院付属流山セントラルパーク駅前診療所では、「土曜日の禁煙外来」を始めました。
これまで木曜日のみの診療でしたが、「お勤め」の方の強いご要望で、診療を開始します。新しい1年の始まりに是非!禁煙しませんか。完全予約制の外来です。

ご予約・お問合せは、駅前診療所予約センター(予約専用TEL:04-7157-0102)にお電話下さい。

東葛病院、駅前診療所、付属診療所(下花輪)の医療活動 (2016年11月分)
駅前診療所 1日平均外来患者数 150.9人
付属診療所 1日平均外来患者数 32.5人
東葛病院 1日平均外来患者数 572人
1日平均救急・夜間外来患者数 65人
1日平均入院患者数 315人
手術件数 124件
主な検査 血管造影 29件
内視鏡 699件
CT 1,029件
MRI 376件
心電図 1,069件
腹部エコー 476件
心エコー 313件
救急患者数 1,941件
内 救急車搬入件数 269件

掲載日:2016年12月1日/更新日:2024年10月25日

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