東葛の健康 No.385(2016年8月号)
- チーム医療で「外科」治療 – 東葛病院の医療 外科
- 子育て応援コラムKids’n Baby’s(きっずんべいび~ず)
- 新病院の医療活動
- 歯科コーナー「知っていました?」<隔月掲載>
- 熱中症を防ぐ活動 – HPH健康増進活動のとりくみ
- 8/4・5・6 原水禁広島世界大会
- 流山社保協に寄せられた食料品を子育て世帯へ届けて
- いのちと人権の現場から
- 東葛病院の医療を良くする委員会報告
- 東葛病院・付属診療所の医療活動(2016年7月分)
チーム医療で「外科」治療 – 東葛病院の医療 外科
消化器・呼吸器・乳腺・内分泌・泌尿器・血管の全てに対応
読者のみなさんは「外科」と聞いて、どのようなことをする分野だとお思いでしょうか?脳の手術は「脳神経外科」、骨や筋肉の手術は「整形外科」です。ではただの「外科」は?当院の外科手術実績を含め、外科科長・副院長の濱砂一光医師に聞きました。(編集部)
副院長 濱砂一光
当院の外科
外科とは一般的には「消化器外科」を指していることが多いです。消化器とは食道、胃、腸、肛門、肝臓、膵臓、胆嚢など主に食べ物を消化吸収するのに直接関係する臓器を指します。手術する疾患の代表としては上記のがん(胃がん、大腸がんなど)、胆石、虫垂炎(いわゆる盲腸)、痔などがあります。また鼠径ヘルニア(俗に脱腸)も外科で手術を行います。単に「外科」と呼ばれるのは、これらが比較的多く、手術をする機会も多いためです。
手術を行う濱砂医師
消化器以外の疾患を「外科」で行う施設もあります。「呼吸器外科」の範疇になる自然気胸(肺の一部が破れて萎んでしまう病気)や一部の肺がん、「乳腺外科」の範疇の乳がん、「内分泌外科」疾患の甲状腺がん、「泌尿器科」疾患の副腎腫瘍(副腎とは腎臓の上にある小さな臓器です)、「血管外科」の下肢静脈瘤など。もちろん怪我、火傷の治療も行います。様々の疾患を手術することより「外科」は「一般外科」と呼ばれることもあります。当院外科はこれら全てに対応しています。
臓器名 | 代表的な疾患 |
---|---|
食道、胃、腸 | 食道がん、胃がん、大腸がん、虫垂炎、腸閉塞 |
肛門 | 痔核 |
肝臓、膵臓 | 肝臓がん、膵臓がん |
胆嚢 | 胆嚢がん、胆石 |
腹膜 | 鼠径ヘルニア |
肺 | 肺がん、自然気胸 |
乳腺 | 乳がん |
甲状腺 | 甲状腺がん |
副腎 | 副腎腫瘍 |
血管 | 下肢静脈瘤 |
手術法としては、胸腔鏡・腹腔鏡手術を多く行っています。従来の胸やお腹を大きく開ける手術と違い小さな傷ですむことから世界中で広く行われています。現在、当院の全身麻酔手術の内、約半分はこの方法で行っています。
手術がうまくいくかどうかは、手術の技術だけで決まるわけではありません。手術に耐えられる体力はあるか、術後は順調に回復するか、退院後も元気に過ごせるかなども重要です。解決するために他の分野の医師はもちろん、看護師、薬剤師、リハビリ職員、医療相談員など多くのスタッフと協力して治療に取り組んでいます。
「自分はどの科を受診すればよいのだろう?」と思ったときは、お気軽に総合案内におたずね下さい。そして外科を受診の際には、どのような治療が最も良いかを一緒に考えていけたらと思います。
子育て応援コラムKids’n Baby’s(きっずんべいび~ず)
こども平和なつまつり
東葛病院は東葛健康友の会と健康講座や班会を年間50回程度開催しています。「でも成人や高齢者向きなんでしょ」。そんなことはありません。子育て世代に向けた企画やこどもさんへの企画も充実させています。8月21日に開催したこども・平和・なつまつりもそのひとつ。親子で学ぶ平和と命の大切さをテーマに病院小児科等が全面的にバックアップ、これぞ東葛にしかできない企画と自負しています。
親子で平和を考える
70人の定員は早々にソールドアウト。ママパパの関心の高さがわかります。午前は平和がテーマの「クロがいた夏」上映会と戦争体験を聞くコーナー。昼食休みには友の会手作りのゲームが7種目。午後は「リトルドクター体験記」と称した親子ほけん学校。車椅子体験・診察体験や病院を白衣で見学し、スカイツリーには少し及ばないけれど、7階の小児病棟からの景観に歓声も上がりました。「親子で戦争や平和を話せるいい機会になった」。嬉しい感想をいただきました。
東葛健康 友の会 幹事 新井潔
新病院の医療活動
新しくなった腎センター
診療技術部部長 阿部純一
県内有数の透析施設
現在、日本における慢性維持透析治療が必要な方は32万344人(2015年末調査)となっており、年々その数は増加の一途です。東葛病院においても透析床の十分な確保は地域のニーズであり、合計72床の透析ベッドにて180人の慢性維持透析患者さんの治療を行ってきました。
今回新病院開設に合わせて、それまでの外来通院の方は付属診療所で、入院されたら旧病院透析室で、という形で分散していた透析治療を腹膜透析や保存期に当たる腎不全患者さんの外来と合わせて一か所に集約し、「腎センター」という名称に改め、地域における包括的な腎不全治療を展開することになりました。最大で225名の血液透析患者さん、50名の腹膜透析患者さんに対応できる県内でも有数の大型透析施設となりました。
新しい腎センター
安全・安心の透析治療
病院・診療所に分散していた医療機能が一つの部屋に集中することで、スタッフが働きやすくなるだけでなく、患者さんにとってもより多くの医師・看護師・臨床工学技士が迅速に治療に対応できる施設となりましたので、今以上に安全・安心の透析治療を提供できるようになりました。
オンラインHDF対応
治療施設については災害に強い透析施設作りを念頭に、井戸水の利用に加えて透析液配管を2系統とし、どんな時でも透析液が供給される仕組みを作りました。また最新の治療である次世代人工腎臓であるオンラインHDFへの対応も進めました。現在3分の1のベッドで対応が可能となっています。
もちろん、従来の施設で行っていた無料送迎サービスは、対象者限定になるものの継続させていただいています。
今後もより良い透析医療、腎不全治療を提供するよう努力致しますので、皆さまご協力のほどお願い致します。
歯科コーナー「知っていました?」<隔月掲載>
歯が教えてくれるキケンのサイン – 歯の『知覚過敏』について
東葛歯科 中嶋ルミ子 歯科衛生士
虫歯でもないのに歯が痛い、しみる。その症状の多くが知覚過敏です。
知覚過敏の直接の原因は、歯の表面が削れてしまうことで起こります。その結果、歯の内部の象牙質が露出して知覚過敏が生じます。露出した象牙質の表面には象牙細管という細いトンネルがいくつもあり、そこから歯の神経に刺激が伝わり痛みやしみる症状が出てくるのです。
知覚過敏を起こす刺激は、飲食物としては冷たいもの、温かいもの、酸味のもの等です。
他には空気を吸い込んだ時や、歯ブラシが当たった時、磨き残しの歯垢も刺激になります。
象牙質が露出しやすくなるのは、歯周病で歯肉が下がってしまった場合や、食いしばりや歯ぎしりの強い人も起こりやすくなります。間違った歯磨きも大敵です(力任せに歯磨きをすると歯の表面が傷つきやすくなります)。
予防と対策
- ①丁寧な歯磨き
- 研磨剤粒子が小さな低研磨剤の物、あるいは研磨剤無配合の物を選んで下さい。知覚過敏の症状を抑える歯磨き粉の利用もお勧めします。
- ②歯磨き粉
- 研磨剤粒子が小さな低研磨剤の物、あるいは研磨剤無配合の物を選んで下さい。知覚過敏の症状を抑える歯磨き粉の利用もお勧めします。
- ③食べ物、飲み物に気をつける
- 歯がしみておいしい食事が出来ないのはつらいことですよね。
放っておくと症状がひどくなる場合があるので、気がついたら歯科受診をして相談してみて下さい。しみるというのは、歯が教えてくれるキケンのサインです。これを見逃さず、軽いうちに対処すると長くご自身の歯でおいしく楽しい生活が送れる事間違いなしです。そのためには、歯科医院をお気軽にご利用下さい。
- ④歯科医院での定期検診
- 歯がしみておいしい食事が出来ないのはつらいことですよね。
放っておくと症状がひどくなる場合があるので、気がついたら歯科受診をして相談してみて下さい。しみるというのは、歯が教えてくれるキケンのサインです。これを見逃さず、軽いうちに対処すると長くご自身の歯でおいしく楽しい生活が送れる事間違いなしです。そのためには、歯科医院をお気軽にご利用下さい。
熱中症を防ぐ活動 – HPH健康増進活動のとりくみ
広報カー・訪問
広報車宣伝と訪問活動
東葛病院HPH委員会が健康友の会の協力でおこなう熱中症予防活動は、今年で3回目を迎えました。7/1~8/19の間、宣伝カーで地域を周り、熱中症に対しての注意を呼びかけ、同時に7月末の5日間は一人暮らしの方や高齢のご夫婦の世帯を対象に、東葛病院の職員が職種を問わず24軒の家庭を訪問し、様子を伺いました。
職員が組をつくり訪問活動
私が訪問した最初のお宅は公営住宅の3階でエレベーターのないお宅でした。笑顔のご主人に誘われ室内へ。寝室で休まれていた奥様も起きて来られました。室温31℃湿度50%と熱中症「警戒」範囲ですが寝室では冷房は冷えるので使わないということ。扇風機だけでも使うよう勧めました。また3階までの階段は辛く、転居も考慮中との事でした。
2軒目は4月に転倒し、腰椎圧迫骨折で入院が必要となるも、病院移転と重なり、他院で入院となった方でした。お部屋の中は清潔で整理整頓されており、冷房使用で快適、手すり等も工夫されていました。しかし夜のトイレが心配で水分を控えてしまうとの事で、日中にしっかりと水分を摂って下さいと説明しました。新病院はいいけれど、私たちにはハイカラすぎて…との感想もいただきました。高齢の方でも受診しやすい病院の工夫が必要と思いました。
戸別訪問ではリスト作成から実際の訪問に至るまで各部署の協力で実現しています。各々のご家庭でより快適に安全に暮らして頂けるよう、このような活動の継続が必要と思いました。
東葛病院外来主任 看護師 竹上理奈子
看護助手募集
看護助手 アルバイト急募! 時給1,000円病棟看護の補助業務(配膳、清掃、搬送等)です。資格は必要ありません。看護師や介護福祉士を目指している方歓迎です。
時間 7:00~15:00 8:30~16:30 10:30~18:30
申し込みお問合せ先 04-7197-6825 看護学生室 内田
資金募集にご協力下さい
地域協同基金・寄付金・特定協力借入金(無利息・無期限)(年利1.0%・期間5年)
応募方法 申込用紙は、東京勤医会の各事業所窓口に用意してあります。
8/4・5・6 原水禁広島世界大会
職員代表7名が参加
広島・長崎への原爆投下から71年、「核と人類は共存できない」と原水爆禁止世界大会が開催され、東葛病院から医師、看護師、ソーシャルワーカー、歯科衛生士、わかば薬局・薬剤師の7人が参加しました。世界大会は核兵器廃絶、原発ノー、戦争法廃止など政権がすすめる命の尊厳を無視し、戦争への道にひた走る動きにも断固反対しています。
代表団は広島大会(8/4~6)に参加し、海外での反核運動や秋の国連総会に向け、核兵器禁止条約の交渉を開始する作業部会の動向も学びました。また被ばく体験を聞く分科会では、被ばく者は平均80歳を超え、2世、3世が語り部となっていること、被ばくを体験していない若い人が、被ばく者から学んだことを後世に語り継ぐことが重要であることを学びました。代表団は、資料館視察、死没者の慰霊も行いました。
8月18日には、病院内で報告会を行い、学んだ事の報告とともに、「世界大会で提起された国際署名の呼びかけに応え、世界で数億人の署名集約に貢献したい」と語りました。
(編集部)
流山社保協に寄せられた食料品を子育て世帯へ届けて
食品を届ける職員と生健会会長
先月より、皆さまにご協力いただいた食品は総量で200㎏近い量になりました。8月20日までに11軒の子育て世帯に配達させてもらいました。
中高生のいる父子家庭のお婆さんは「まるで宝くじが当たったようだ」と大喜び。
何度も何度も「助かるわ~」と繰り返す母子家庭の母親。その他にも車が見えなくなるまで手を振っていた兄弟。病院の中だけでは知り得なかった夏休みの食料事情。会員、幹事、職員多くの方から頂いた善意は大きな励みになりました。本当にありがとうございました。
流山社保協 事務局長 山縣良一
いのちと人権の現場から
沖縄を撮り続けて50年 嬉野京子さん大いに語る
映像を使って、職員に説明する嬉野さん
「4月の米軍属(元海兵隊)による19歳女性遺体遺棄事件や、参議院選の翌日(7月22日)に沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド(着陸帯)工事を再開した件もそう」。「人を殺す訓練をする軍隊やその役人の本質は当時と何も変わっていない。どんな姑息な手も使う」。8月17日の東葛病院職員全体集会は毎年恒例の「平和の課題」学習。お呼びした報道写真家嬉野京子さん(76歳)はこう切り出しました。
嬉野さんは、米統治下の沖縄(1965年)で米軍車両が少女をひき殺した現場を撮影、沖縄の現実を表す写真として世界中で大きな反響を呼びました。「復帰後私たちは自由に沖縄を訪れ、状況を共有できるようになった。でもあまりにも問題が複雑で、全ては理解されない」と険しい表情も。だからこそ、「沖縄戦を知る高齢者は体を張って基地に反対しているし、軍隊のすぐそばで生活しているの」と話しました。
当日は職員54人が参加し、耳を傾けました。感想文には「(沖縄には)観光でしか行った事が無かった。マスコミが正しい情報を伝えてくれていない」や沖縄住民の基本的人権は守られているかの問いに「正直まだわからない」という声も聞かれました。
職員であっても温度差があって当然。だからこそ沖縄の基地問題は私たちにとってひとごとではないことを繰り返し訴え、情報を提供し学習することの大切さを再認識しました。
東葛病院 組織部 新井潔
東葛病院の医療を良くする委員会報告
あなたの声から
- 寄せられた声
- 入院していた者だが、4階コインランドリーが狭く、乾燥機も高い位置にあり、洗濯物は踏み台を使って取り出さねばならなく怖い思いをした
- 対応と対策
- 業者と早急に連絡をとり、対処いたします。取り急ぎ乾燥機は横置きといたしました。ご意見に感謝いたします。
- 寄せられた声
- 外来用車椅子が足りないのでは。(車椅子の)必要な方がタクシーから降りられず困っていた
- 対応と対策
- ご不便をおかけしました。一定数の確保とそれでも足りない場合、病棟から下ろすなど対処を考え徹底いたします。
●病院・駅前診療所へのご意見ご要望は、病院入口横の用紙で、同ポストへ投函して下さい。
東葛病院、駅前診療所、付属診療所(下花輪)の医療活動 (2016年7月分)
駅前診療所 1日平均外来患者数 | 136人 | ||
---|---|---|---|
付属診療所 1日平均外来患者数 | 26人 | ||
東葛病院 | 1日平均外来患者数 | 537人 | |
1日平均救急・夜間外来患者数 | 53人 | ||
1日平均入院患者数 | 293人 | ||
手術件数 | 119件 | ||
主な検査 | 血管造影 | 29件 | |
内視鏡 | 618件 | ||
CT | 1,029件 | ||
MRI | 376件 | ||
心電図 | 1,092件 | ||
腹部エコー | 489件 | ||
心エコー | 306件 | ||
救急患者数 | 1614件 | ||
内 救急車搬入件数 | 249件 |
掲載日:2016年8月1日/更新日:2024年10月25日