東葛の健康 No.384(2016年7月号)

No.384(2016年8月号)

がんと診断されても安心して暮らせる地域づくりを – 東葛病院の医療 緩和ケア科
新東葛病院に20床の緩和ケア病棟開設

「下花輪の病院ではできなかった緩和ケア病棟。木下医師の力を借り立ち上げました」。7月12日流山市生涯学習センターの東葛病院緩和ケア公開講座の冒頭で、下正宗東葛病院院長が話しました。東葛病院緩和ケア科科長の木下寛也医師に聞きました。

緩和ケア科科長 木下 寛也

緩和ケア科科長 木下 寛也

緩和ケアとは

生涯の二人に一人ががんに罹患する時代です。がん治療の進歩により、治癒や長期生存の可能性が高くなっています。しかし、がんでお亡くなりになる方が全国で年間約37万人という現実もあります。
「緩和ケア」という言葉に皆さんはどのようなイメージを持ちますか?「緩和ケア」=「終末期医療」というイメージを持つ方が多いと思います。WHO(世界保健機構)は2002年に「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、生活の質を改善するアプローチである。」と定義しています。
しかし、今回は、がん患者の終末期を中心にした緩和ケア、その中でも緩和ケア病棟を中心に述べます。

緩和ケア病棟

東葛北部二次医療圏には、国立がん研究センター東病院(柏市)、我孫子聖人会病院(我孫子市)、平和台病院(我孫子市)、辻仲病院柏の葉(柏市)、東松戸病院(松戸市)に緩和ケア病棟があります。そして、平成28年5月の新築・移転に際し、当院にも緩和ケア病棟を開設しました。緩和ケア病棟入院は、(1)再発・進行がんで、これ以上抗がん治療が難しい。(2)病状についてご本人が理解している。(3)がんに伴う苦痛が入院しないと軽減することが困難である。などが条件となります。

8階緩和ケア病棟談話室

8階緩和ケア病棟談話室

終末期の生活の質

高齢者増加などにより入院需要が増加しています。しかし、生活の質(QOL)は入院がいいとは限りません。我々の研究グループの研究では、がん患者の終末期のQOLは、自宅>緩和ケア病棟>一般病棟と、自宅で最期まで過ごされた方々のQOLが一番高いという結果でした。

地域の方々と一緒に考える医療

しかしながら、緩和ケア病棟は限りがあります。流山市だけでも年間377名(平成26年)の方ががんでお亡くなりになっています。従って、当院の緩和ケア病棟を最大限に有効利用する方法を地域の皆さんと一緒に考えていく必要があります。

東葛歯科(流山セントラルパーク駅前わかばビル4階)
乳幼児の歯ブラシによる事故を知っていますか?
東葛歯科 歯科医師 野本昌良

東葛歯科 歯科医師 野本昌良

口の底部分の感染症

虫歯予防のために、歯磨きは大切な生活習慣の一つです。歯磨きの習慣が定着化したことにより、虫歯になる児童の数は年々減ってきています。
一方、東京消防庁によると平成23年から平成27年の5年間で5歳以下の乳幼児の歯磨き中に歯ブラシで受傷した事故により213人が救急搬送されています。
歯ブラシの先はとがっているわけではありませんが、細長いために力がかかると、深く突き刺さってしまいます。突き刺さった方向が上方向には、脳・垂直~下方向は咽頭の深部組織・左右方向では頚動脈があり、とても危険で、生命の危険があると認められる重症と診断されるケースも発生しています。
事故は一瞬の間におこります。乳幼児は、足腰がしっかりしていないこと・頭が重く重心が高いため転倒しやすいので、歯ブラシの時は、大人が常にそばに付き添い、口に何かを加えたまま他のことはさせないようにすることが必要です。万が一、受傷した場合には病院に受診しましょう。

年別救急搬送人員

年別救急搬送人員
歯みがき中の事故による救急搬送人員は
年間約43件発生しています。

年齢別・受傷要因別救急搬送人員

年齢別・受傷要因別救急搬送人員

新病院の医療活動
新しくなったリハビリテーション センター

リハビリテーションセンター 回復期課 課長 山田 晃正

広いフロアー

広いフロアー

ご存知ですか?東葛リハビリがまた1UP(ワンアップ=成長)したことを。
【1UPその①】旧病院から比べ総面積が1・8倍、訓練設備も強化!
【1UPその②】2016年ついに総勢70名を超える集団に!「すべての声に答えたい」どんな小さな声も漏らさないように、リハビリ医療を年々充実させ、入院早期から在宅生活まで継続したリハビリを提供しています。
【1UPその③】新分野への進出!東葛リハにはなかった「小児患者のリハビリ」に対応できる新体制を整えました。地域ニーズが非常に高い分野です。お待たせしてしまった分、全力全速力でさらなる強化をしています。

新しくきれいなリハビリセンター

新しくきれいなリハビリセンター

【1UPその④】実は街や地域の健康を作っています。当院は国際HPHネットワーク加盟病院です。その一員として得意とする「運動」を活かし、健康体操指導や生活習慣病予防指導など地域に出向して行っています。お近くの地域で開催する際はぜひご参加ください。
【1UPその⑤】リハビリ精神の強化。リハビリテーション医療は、直接触れて感じ、身体だけでなく心も同時にケアしていくものです。さらにそれは患者さんご本人だけでなく、ご家族の心と体のケアも私たちは意識して取り組んでいます。一人にはさせません、共に頑張りましょう!
当センターは3階にあります。見学も随時お受けしていますので、気軽にお声かけください。

クスリ あ・れ・こ・れ<隔月掲載>
かかりつけ薬剤師について
指名のできる薬剤師

薬剤部 横尾 浩也 薬剤師

4月に制度化

かかりつけ薬剤師という言葉をご存知ですか? かかりつけ薬局は、耳にしていても薬剤師だと聞いたことがないのではないでしょうか? 2016年4月の調剤報酬改訂にともなって制度化されたばかりの新しい言葉です。
かかりつけ薬剤師とは、かかりつけ薬局同様あなたの薬歴や体質体調を管理し、適切な調剤を行ってくれる人のことをいいます。要は薬剤師も、指名をすることが出来るようになったと考えればわかりやすいと思います。

クスリ あ・れ・こ・れ

課される条件

かかりつけ薬剤師には、いくつか条件があります。1人の患者さんが指名できる薬剤師は1名のみで、署名の入った同意書を作成する。また、通常の調剤の際の金額に20円~100円(保険の負担割合により変化)の負担増があります。薬剤師の条件もあり、3年以上薬局勤務経験があり、週32時間以上勤務、同一店舗に在籍6カ月以上。各種研修機構の認定を得ており、医療に関わる地域活動に参画していることです。

制度の利点

この制度の利点としては、①「服薬情報の一元的・継続的把握」いつも同じ薬剤師に担当してもらえ、顔見知りなので気軽に相談できる。②「24時間対応・在宅対応」いざという時にも電話などによって相談が可能となる。③「医療機関などとの連携」かかりつけ医と連携が容易になる。欠点としては、若干の経済負担増があります。
始まったばかりの制度ですが、これまでも同様の活動をしている薬局はありました。今後は、対応してくれる薬局も増えて来ると思われます。
昔、町の薬局にいる薬剤師は、身近な科学者で様々な相談をされていた様に、ご自分の利用されている薬局でも、薬剤師にぜひ色々相談してみて下さい。

患者サポート医療福祉
医療・福祉相談課 相談センター
こんな時は、ご相談下さい

「病院にかかりたいと思っていたけれど、かかることができなかった…」。最近、患者さんの相談の中で聞かれることが多くなった言葉の1つです。年金や給与所得の減額などにより、生活が圧迫され、必要な医療を受けることができないことが現実にあります。皆様の身の回りの方で、お困りの方はいませんか?患者サポートセンター医療福祉相談課では、医療・介護・福祉の問題を皆様と一緒に解決するお手伝いをしています。「患者さんの困った」にこたえ、安心して生活を送れるようにサポートしていきます。経済的な支援では、生活保護の申請・無料低額診療事業、各種公費制度(透析・難病・自立支援医療等)や高額療養費、障害者手帳の取得や障害年金の取得、介護の問題であれば、介護保険についての説明や利用に関する事、医療のサポートでは訪問診療や訪問看護の導入についてなど、7名のソーシャルワーカーで様々な相談に対応できるよう、日々業務に取り組んでいます。患者サポートセンター医療福祉相談課は1階の受付の裏にあります。お困りごとがあった際は、受付でソーシャルワーカーをお呼びください。

相談課 課長 豊田恵太

シリーズけんさ108【血液検査⑦】

検査課 星野 久美 臨床検査技師

糖質の検査

糖質とは体のエネルギー源となる欠かせない栄養素です。
しかし長期間高血糖が続くと糖尿病などの疾患の原因にもなります。
今回は血液中の糖質(ブドウ糖)を調べる検査についてお話します。

血糖値

血液中にどれくらいのブドウ糖が含まれているかを調べる検査です。血糖は食事によって増加し、運動やストレスでも変動します。血糖値は採血した時点での結果を表しているので、長期間の血糖状態を知ることはできません。
基準値
・空腹時血糖…70~109㎎/dL
・食後2時間血糖…140㎎/dL未満

血液検査⑦

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

血液中のヘモグロビンのうちブドウ糖と結合しているものの割合を調べる検査です。血糖値と違い、検査直前の食事の影響を受けません。HbA1cは採血時から過去1~2ヶ月の血糖値の平均を反映しているため、日頃の食生活や糖尿病の血糖コントロールの評価には欠かせない検査です。
基準値: 4・6~6・2%
糖質検査の目的は糖尿病の芽を早めに見つけて対策を打つことです。
正確に血糖状態の判断をするためには、それぞれの検査の特徴を理解することが大切です。日頃から自身の血糖値・HbA1cの値を把握し、糖尿病の予防、または血糖コントロールを心がけていきましょう。

いのちと健康を守る流山社保協の活動
食べ盛りの子どもたちへ食料品を提供

国民の6人に一人が貧困状態。流山でも子どもの貧困が注目されています。先日、5人の子どもを持つ母子家庭の母親に話しを聞きました。「夏休みに入ると学校給食が無く、家で食べるお米が足りなくなります。うちは貧乏なのでと子どもには言い聞かせていますが…」との事。さっそく病院の仲間に呼びかけ、余っている乾麺やお米を譲ってもらいました。お母さんは大変喜びました。しかし、食物を届けたのは1軒のみ。流山には生活困窮家庭がまだまだあります。
流山社保協は市との懇談をすすめますが同時に満足に食事を食べられない家庭にお米や乾麺などを届けたいと思います。皆様のご家庭で余っている、眠っている食品がありましたら連絡をいただければ幸いです。(7128-7259 組織部)

流山社保協 事務局長 山縣良一

東葛病院の医療を良くする委員会
あなたの声から
寄せられた声
救急外来に自販機が欲しい。一般飲料の販売だけでなく、経口補水液なども加えて欲しい
対応と対策
7月中をめどに設置いたします。経口補液飲料も販売できるようにいたします。
寄せられた声
雨の日の病院と駅前診療所への行き来は、見ていて本当に気の毒だ
対応と対策
病院と駅前診療所間に屋根が可能か、流山市まちづくり推進課に要請。また「貸し出し傘」の設置を行いました。友の会の皆様には雨の日の「傘差しボランティア」にご協力いただいております。
寄せられた声
立体駐車場1階に障害者用スペースが2台分しかない
対応と対策
15台分に増やす改修工事を行います。

いのちと人権の現場から
第36次辺野古支援・連帯行動に参加

2016年1月28日~30日の3日間、全日本民医連「第36次辺野古支援・連帯行動」に参加させて頂きました。温暖な沖縄のイメージに反し、連日の雨でとても寒い3日間でした。
全国各県連から43名の方が参加され、参加者の中には、何度もこの支援行動に参加されている方も多くいらっしゃいました。1日目、那覇空港着後、「嘉数高台公園」に向かいました。高台から「普天間基地」を見下ろし、オスプレイが街中を爆音をたてながら、低空飛行で飛び交う姿を目の当たりにしました。騒音被害の酷さといったら、私たちの日常生活からは、想像を絶するものです。住民の多くは、音による振動で健康被害を受けています。

オスプレイに抗議する寄せ書き

オスプレイに抗議する寄せ書き

2日目には、沖縄北部にある東村高江地域に見学に行きました。みどり豊かな美しい山村で、山奥に入ると鳥がさえずり、山間には清流が流れています。そのような自然の中に、米軍のヘリパッドが多数あり、戦争のできる国へ向かう日本の最前線の場ともなっています。その様な中で、住民は日夜騒音と恐怖に脅かされています。
最近では、沖縄県うるま市の若い女性が米軍属に殺害・遺棄された痛ましい事件もありました。沖縄の米軍基地問題は沖縄だけの問題でなく、私たち自身の問題でもあると感じました。

駅前診療所 事務長 廣幡 道子

東葛病院、駅前診療所、付属診療所(下花輪)の医療活動 (2016年6月分)
駅前診療所 1日平均外来患者数 132人
付属診療所 1日平均外来患者数 25人
東葛病院 1日平均外来患者数 565人
1日平均救急・夜間外来患者数 51人
1日平均入院患者数 280人
手術件数 126件
主な検査 血管造影 36件
内視鏡 689件
CT 1,045件
MRI 377件
心電図 1,159件
腹部エコー 465件
心エコー 332件
救急患者数 1,516件
内 救急車搬入件数 249件

掲載日:2016年7月1日/更新日:2024年10月25日

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