東葛の健康 No.373(2015年8月号)

東葛病院の医療【消化器内科】
「がん」の6割は消化器系
男性の大腸がん死亡数は第3位

消化器内科は、胃の痛み、胸の痛み、胸やけ、のどのつかえ、胃のもたれ、食欲不振、おう吐、腹痛、便秘、下痢、下血、さまざまな症状の患者さんが通院されています。流山市で9月から始まる大腸がん健診を含めて担当する柿本医師に聞きました。

消化器内科 柿本 年春 医師

消化器内科
柿本 年春 医師

早期発見で100%治療可能

9月から大腸がん健診が始まります。
大腸がんは50歳ころから発症が増えてくるがんです。日本では大腸がんによる死亡数は男性では肺がん、胃がんに次いで第3位、女性では第1位となっており、非常に多いがんの一つです。しかし、早期発見できればほぼ100%治療することが可能ですので、きちんと健診を受けて早期発見に努めることが大切です。

部位別がん死亡率推移

資料:国立がん研究センターがん対策情報センター

精密検査は内視鏡検査で
2014年度の主な内視鏡検査治療件数(当院)
胃内視鏡 5176件
大腸内視鏡 1353件
胆膵内視鏡検査、治療 139件
内視鏡的止血術 63件
早期がん内視鏡治療 33件
食道静脈瘤の内視鏡的治療 28件

健診の方法は便の中のわずかな血液を調べる便潜血法が行われています。2日間の便を調べ、1回でも陽性の場合は精密検査が必要です。精密検査には大腸内視鏡検査とレントゲン検査(注腸検査)がありますが、日本では内視鏡検査を行うことが一般的です。内視鏡検査では腺腫という良性のポリープがよく見つかり、小さなポリープはその場で切除することができます。大腸のポリープは放置すると大腸がんに進行すると考えられており、小さなポリープの段階で切除することが勧められます。当院では消化器内科の医師が、土日を除いてほぼ毎日大腸内視鏡検査を行っています。

粘膜下層剥離術も積極的に

もし、大腸がんが見つかっても、がんが大腸の粘膜内にとどまっている早期の段階で発見できれば、ポリープと同様に内視鏡で完全に切除することができます。また、これまでは内視鏡で切除することが難しかった2cm以上のものでも、粘膜下層剥離術(ESD)という方法で切除が可能になりました。3年前から保険適応となり、当院でも積極的に施行しています。昨年度は、食道や胃の早期がんも含めて33名の方の早期がんの内視鏡治療を行っています。内視鏡で切除できない場合は外科的に手術したり、化学療法と呼ばれる薬物治療(いわゆる抗がん剤のことです)を行います。

ESD

出典:国立がん研究センターがん情報サービスより

夜間や休日も対応

当院の消化器内科では、常勤医師4名で各種の検査や治療を行っています。吐血や下血など、緊急に治療が必要な疾患に対しては、近隣の病院と連携して、夜間や休日でも緊急に内視鏡で止血治療ができる輪番体制をとっています。また、黄疸などに対してもいつでも内視鏡的な処置ができるようにしています。その他、慢性肝炎の抗ウイルス治療、食道静脈瘤の内視鏡治療、肝がんの肝動脈化学塞栓術、大腸がん、膵がん、胆管がんのステント治療、各種の消化器がんの化学療法(抗がん剤治療)、ピロリ菌の除菌治療、潰瘍性大腸炎の治療、内視鏡的胃瘻造設術なども多数おこなっています。胃腸、肝臓、胆嚢、膵臓などの疾患でお困りの方、ご心配な方はぜひ一度当院の消化器内科にご相談ください。

東葛病院消化器内科 山口俊和、柿本年春、神田仁、安達哲史

子育て応援コラムKids’n Baby’s(きっずんべいび~ず)⑦
子どもの夏バテ防止

東葛歯科 管理栄養士 吉元佳子

食欲増進レシピ

子どもさんの夏バテ防止はこの4本柱を大切に。

  • ① 3食しっかり、特に朝食は大切です。
  • ② こまめに水分補給。早め早めの水分補給が大切です。
  • ③ ミネラル・ビタミンの補給。ビタミンB1を多く含む食材、豚肉、大豆、玄米がおすすめ。
  • ④ だらだらと間食をしない。おやつにも工夫を。砂糖と油を極力控え、ヨーグルト、果物、枝豆、とうもろこし、おむすびなどがおすすめです。

さて今回は夏バテ解消に有効な豚肉(ビタミンB1疲労回復)と玉ねぎ(アリシン、ビタミンB1の吸収を高める)を使った一品を紹介します。
暑さも本格的、毎日の食事の工夫で、元気な夏をお過ごし下さい。

野菜たっぷり豚肉のマリネ4人前
野菜たっぷり豚肉のマリネ

野菜たっぷり豚肉のマリネ

材料
豚もも肉薄切り200g/玉ねぎ1/2個/人参1/2本/セロリ1/4本/ピーマン1個/レモン1/4個/マリネ液(トマトケチャップ大さじ4/ウスターソース大さじ1と1/2/サラダ油大さじ1/酢大さじ1)
作り方
  • ① 豚肉は3~4cmに切る。玉ねぎは薄切り、人参、セロリ、ピーマンは千切り、レモンはいちょう切りにする。
  • ② 鍋に湯を沸かし、豚肉を1枚ずつ広げて茹で、水にとる。
  • ③ ポリ袋にマリネ液を入れて野菜と②の豚肉を漬け込み、冷蔵庫で冷やす。ポイント:作って一晩ねかせると一層美味しくなります。1人分170kcal塩分1g

リハビリ室紹介(1)
チームで取り組むリハビリテーション~言語聴覚士

言語聴覚士 友野 武司

言語聴覚士の仕事について

言語聴覚士はSTと呼ばれ、「ことばや聞こえ」などコミュニケーションの障害や飲み込みの問題(嚥下障害)についてリハビリテーションチームの中心となって支援を行なっています。

対応している障害について

コミュニケーション障害にはいろいろな種類がありますが、東葛病院では主に成人(中途障害)の方を対象に、脳卒中(脳血管障害)などによる構音障害、失語症、高次脳機能障害などについて入院~外来~通所リハビリで対応しています。

患者さんから学んだこと

私が臨床に携わって強く印象に残っている患者さんは80歳代・女性のAさんです。その方は脳梗塞を発症し、右片麻痺と失語症が後遺症として残りました。失語症とは、ことばが話せないだけではなく、聞いて理解することや文字を読むこと・書くことなどの言語機能が障害される症状です。失語症は軽度で、少しことばが出にくい程度の症状でしたが、以前から人見知りをする性格もあり、他者との交流を避けるようになっていました。
言語訓練でも初めは系統的な言語の練習では、AさんはSTに心を開いてくれず、会話も弾みませんでした。そこで悩み、先輩に相談してご家族に病前のAさんの生活背景を聞き取り、それを練習に反映させました。するとご本人から話をする場面が増えていきました。
それから数か月後に笑顔で退院されました。私はこの患者さんを通してコミュニケーションをとるのに大切なことを学ばして頂けたと思っています。

歯科コーナー「知っていました?」<隔月掲載>
インプラント治療~失敗しないインプラント治療とは?

東葛歯科
笹本祐馬 歯科医師

技術と設備そして経験

インプラント治療の事故やトラブルについては以前いくつか報道されていましたが、その失敗の原因で圧倒的に多いのが医師の診断能力、技術力の欠如です。
インプラントは歯科医師なら誰でも簡単にできる技術ではありません。非常に高度な技術と設備そして多くの手術経験がなければ、インプラント手術を安全・快適に行うことはできません。
本来インプラント治療は医師がしっかりと適切に行えば施術10年後成功率は95%を超えるとても安全な治療なのです。
インプラント治療で失敗しないためには、信頼できる医師選びをしっかりと行うことしかありません。すなわち自分のために信頼できる医師を選ぶ「患者力」が必要なのです。その上でいくつかのポイントを挙げておきます。

医師を選ぶ力を
医師を選ぶ力を

  • ① 治療計画についてしっかり説明してくれるか
  • ② インプラント治療以外の治療法の説明はあるか
  • ③ 担当医師が最新技術や知識を取り入れるための勉強やインプラント専門研修を受けているか
  • ④ 外科手術を伴うので医療設備や感染滅菌対策が十分かどうか
  • ⑤ 一流メーカーのインプラントかどうか

こうした点に充分に留意してしっかりと信頼できる医師選びをすれば、将来快適な生活があなたを待っているでしょう。

7/8 熱中症予防の活動開始
流山市と情報交換

診療部事務局長
藤井 基博

東葛病院と健康友の会は、今年度も熱中症対策の運動を8月末まで展開しています。7月8日には流山市保健センターで、流山市健康福祉部健康増進課と東葛病院HPH(地域の人の健康増進をすすめる病院)推進委員会で「熱中症に関する情報交換会」を行いました。東葛病院からは、地域の宣伝カーまわりや健康相談や講座などの取り組みを紹介し、大野副院長は「熱中症は予防できる病気である」ことを訴えました。
また、間中看護師長から、昨年の個別訪問時の様子を伝えました。この個別訪問について流山市への協力を要請したところ、各自治会との連携ができないか、検討をいただけることになりました。
WHO西太平洋地域健康都市連合へ正式加盟をしている流山市と、同じくWHOのHPH認定病院である東葛病院が協力して、今後、さまざまな健康への取り組みが促進されていくことが期待されています。

原水爆禁止国民平和大行進
流山市内を職員も行進
被爆者の願いを繋ぐ

5月に北海道を出発した平和行進は柏市から引き継がれ、7月19日(日)は流山市内を行進しました。
江戸川台で集会を開き、9時半に出発した保育園児や小学生を含む一行110人は、70年前から灯し続けている原爆の火を持つ、丸中栄養士を先頭に、灼熱の太陽をモノともせず、初石ふれあいの森での休憩をはさみながら、元気いっぱい昼食場所の東葛病院付属診療所に向いました。
休憩時間には東葛病院の看護師の作った平和を愛するピンクの『ピースナースTシャツ』の訴えがあり、地域の青年からは被爆体験を聞く会や8月30日のヤングピースアクション参加呼びかけがありました。

隊列が長く続く行進

隊列が長く続く行進

友の会会長 市長も激励

診療所前の出発集会では渡部隆夫健康友の会会長の戦争法案廃案に向けた力強い激励があり、市役所では初めて井崎市長が自らメッセージを読み上げ、ペナントを結び付けました。
流山市は平和都市宣言をしており、「今年も長崎に小学生の平和大使を派遣したい」とのメッセージにひときわ大きな拍手が起こりました。
一行は松戸の仲間が待つ、南流山カエル公園まで行進し、松戸の実行委員会に横断幕を無事、引き継ぎました。

実行委員 山縣良一

いのちと人権の現場から
戦争法案反対! 看護師の思い

看護総師長 稲垣 洋子

看護総師長
稲垣 洋子

6月から東葛病院総看護師長に着任いたしました稲垣洋子です。どうぞよろしくお願いします。東葛病院看護師職員は、6月25日に「緊急アピール、看護職員は戦争法案に断固反対します。」(下部に全文掲載)を出しました。安倍内閣の進める戦争法案は、看護師として断固反対です。

死にゆく人の看護

元戦場看護師で代々木病院の職員だった肥後喜久恵さんの講演を聞く機会がありました。戦場看護師は、治療薬がないため疥癬やウジ虫で苦しむ皮膚病の患者さんにせめてもの看護として、小豆のすり潰しを練って皮膚にはり、日干しにして痒みをとっていたそうです。ほとんどが死にゆく人を看取る看護だったとのことでした。

生きるための看護

東葛病院の看護師は、地域に暮らす患者さんの生活と労働を支える生きるための看護を実践しています。「看護」という字は、「手と目で護る」という意味があります。
私たちは「その人らしく生きる」ことを支える看護をしたいと強く願っています。それをアピールに込め、「平和を愛する看護師の会」のキャラクター「Pナース(Peace Nurse)」を入れました。たくさんの方にこの訴えを読んでいただき、平和についてともに考え、行動していきたいと思います。

緊急アピール(案)
東葛病院看護職員は戦争法案に断固反対します。

Peace Nurse

権力者は、「平和のために」と言って戦争を始めます。
憲法学者の違憲の発言がネットニュースから削除されたように気が付かないうちに戦争ははじまります。
私達看護師の手は、人を戦争に送り出すためのものではありません。
私達看護師の目は、死にゆく人を看るためのものではありません。
看護者の倫理綱領においても、「看護師は人間として尊厳を維持し、健康で幸福である事を願う人間の普遍的なニーズに応え人々の健康な生活の実現に貢献することを使命」としています。
そして私達が目指すものは、生活と労働を共に考え「生きる」を支える看護です。
子ども達を戦争に送ることは絶対しません。
私達は「戦争反対」あたり前の事を呼びかけ行動します。

2015年7月2日 東葛病院 看護部一同

東葛病院・付属診療所の医療活動(2015年6月分)
付属診療所1日平均外来患者数 706人
東葛病院 1日平均救急・夜間外来患者数 48人
1日平均入院患者数 279人
手術件数 108件
主な検査 血管造影 26件
内視鏡 647件
CT 998件
MRI 359件
心電図 997件
腹部エコー 450件
心エコー 303件
救急患者数 1450件
内 救急車搬入件数 216件

掲載日:2015年8月1日/更新日:2024年10月25日

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