東葛の健康 No.359(2014年6月号)
東葛病院の活動を海外に紹介
友の会と共にすすめる、地域のHPH(健康増進拠点病院)めざして
4月23日〜25日にスペインのバルセロナで第22回HPH総会が開催され、東葛病院から大野義一朗副院長が参加しました。派遣村街頭相談会などの地域活動についての報告と総会についてお話しします。
東葛病院副院長
大野 義一朗
健康な街づくりに必要なこと
東葛病院がめざしているのは、「健康な街づくり」です。毎日たくさんの病人が、病院にやってきます。病院では、たくさんのスタッフが力を合わせて病気を治すために、検査に取り組み、手術などの治療をおこない、その後リハビリや往診にあたります。市の健診や人間ドックなどの健診活動も病院の重要な役割です。
でも東葛病院がすごいのは、病院にくることができずにいる病人には、こちらから出向いていき、必要な人がきちんと医療を受けられるように、取り組んでいることです。年末の派遣村活動、今年5月に行った外国人医療相談会、無料低額診療などがあります。
さらに病気になるまえに、病気を防ぎ健康を増進するための活動に取り組んできました。友の会活動や地域で行われる健康学習会、熱中症予防のための訪問活動などです。
世界最先端の流れ
HPH総会で発言
こういった活動は、大学や、大病院ではやっていません。ちょっと変わった東葛病院の特徴かなと思っていませんか?ところが、これが世界では、最先端の流れなのです。
国連の世界保健機関(WHO)は、病院は病院で病気を治すだけでなく、地域の中で地域の健康増進のための活動に取り組もうと呼びかけました。1988年にヨーロッパから始まったこの運動は、HPH(ヘルス プロモーション ホスピタルズ=健康増進拠点病院)と呼ばれ、いま世界中に加盟する病院がひろがっています。実際取り組んでいたところでは、HPH活動によって疾患の治療成績が改善したり、医療費が軽減できる、町だけでなく取り組んだ病院のスタッフも元気で健康になったなどの成果が上がっていることがわかってきました。
サグラダ・ファミリア前にて
大野副院長
加盟めざし総会で報告
4月23〜25日に、バルセロナで第22回HPH総会が開催され、世界48ヶ国から七百人を超える参加者が集まりました。東葛病院からは年末の5年間続けてきた派遣村街頭相談会の活動をまとめて報告しました。「病院から出ての医療活動でおもしろい」「失業対策にどう取り組むのか?」などの意見や質問がだされました。
東葛病院は、来年HPHに加盟することを目標にしています。そして「健康な街づくり」をますます実行し、その成果と経験を新しい病院に引き継ぎたいと願っています。
クスリあ・れ・こ・れ〈隔月掲載〉
インスリンについて〜インスリンの後発品はなぜ出ないのか?
薬剤師 青木 千紘
東葛病院は内服薬と外用剤、注射剤、抗がん剤に至るまで後発品(ジェネリック医薬品)を採用し患者様の医療費負担軽減に努めています。後発品は先発品に劣ることのない品質と有効性が確認された医薬品です。
2011年の国民健康栄養調査で糖尿病の治療を受けている890万人中、インスリンで治療する糖尿病患者は約100万人。インスリンは安くないので後発品を待つ患者様もいると思います。
現在インスリンを製造販売する会社は、三社のみで似たような作用のインスリンを似たような価格で仲良く扱っています。1923年にインスリンが製剤化し、遺伝子組み換えを施した超速効型インスリンは2001年に販売開始されすでに10年以上経過しています。普通の医薬品が独占販売できる特許期間は10〜15年程度であり、インスリンの後発品が出てもおかしくないはずです。ところが、インスリンはバイオ医薬品なので有効成分の特許が切れても製造工程で多くの特許を持っていて、他社の参入を困難にしています。
それでもバイオ医薬品の後発品(バイオシミラー)は厳しい開発要件をクリアして他薬ではすでに市場販売されています。
2013年5月、世界に先駆けて世に出たイーライリリーのインスリン・リスプロ (商品名:ヒューマログ)の特許が米国で切れました。バイオシミラーインスリンをつくる製薬会社が、近いうちに医療業界を大騒ぎさせそうな気がします。
シリーズけんさ92【脳波検査③】
臨床検査技士 錦戸 洋子
今回は記録の様子をお話します。
まず、安静覚醒時(しっかり目が覚めていて目を閉じ安静にしている)の記録です。途中で目を開けたり閉じたりしてもらいます。
正常では、目を開けるとガラッと波形が変わるのですが、認知症・脳炎・意識障害など脳機能低下があると変化が少ないかほとんど変わりません。
次は閃光を目に当てていきます。異常波を見つけやすくするための検査です。
10数年前に、薄暗い部屋でテレビを見ていてけいれん発作を起こし社会問題になった事件を覚えていらっしゃいますか?
同じような状況を作っています。他にも異常波を見つけやすくする検査として、過呼吸試験を行います。
これは3、4分間浅く吸って、深く吐く呼吸を1分間に24回程度の速さ(かなり早い呼吸です)で行ってもらいます。
睡眠時の記録もとても重要です。深い眠りよりも、うとうとしている状態から浅い眠りの頃に異常波が出やすいのです。図はてんかんの代表的な異常波です。棘のようにとがって入るため棘波(きょくは)と呼ばれます。
相談室の窓から
臨床心理士を配置し、チームでサポート
臨床心理士 妻野 玲子
はじめまして。臨床心理士の妻野玲子と申します。今年の4月から新入職員として東葛病院で勤務することになりました。病院で働くことが初めてなので、慣れないことも多いのですが、頑張りたいと思っています。みなさんは臨床心理士って聞いたことありますか?。最近は少しだけ耳にする機会も増えたかもしれません。まずは、臨床心理士についてご説明させて頂きます。
臨床心理士とは、文部科学省認可の(財)日本臨床心理士資格認定協会が認定する心理職の専門家です。心理学の専門知識・技能に基づき相談者が抱える様々な悩み、不安などをサポートします。
東葛病院における臨床心理士の活動内容としては、主に精神神経科の受診に関する相談・予約の受付、心理面接(カウンセリング)、心理検査、病院内における精神神経科リエゾンの相談窓口・情報収集(インテーク)などがあります。
心理職が東葛病院のチーム医療にどう貢献できるのか、まだまだ手探りの部分も多いのですが、みなさんと一緒に東葛病院の心理職を築いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
産婦人科が子育て応援イベント
笑顔いっぱいの赤ちゃん同窓会〜産婦人科・栄養課・東葛歯科と院内保育が協力して
東葛病院で誕生した赤ちゃんとママたちが「育児について相談と交流の場を持とう」と5月20日(火)東深井森の図書館で「赤ちゃん同窓会」を開催しました。
この企画に産婦人科、栄養課、歯科、院内保育など12人の職員が協力しました。
産婦人科の打越助産師は、「2011年12月に産科を再開してから94人の赤ちゃんが誕生しました。
今日が第1回目の催しで私もたいへん嬉しいです」と挨拶しました。
同窓会の参加者は、生後7か月から、2歳までのこどもと母親の13組。はじめに2つのグループに分かれ、
保育士による親子体操には子どもたちだけでなくママたちも大喜びです。
「赤ちゃんの食事で困ってないですか?おやつは何をあげていますか?」助産師がグループに入り話をききます。
管理栄養士から「離乳食につ4て」、歯科衛生士の実践的な「歯磨きアドバイス」と続きます。
栄養課、歯科からは手作りクッキーと歯磨きセットのプレゼントもあり、産婦人科スタッフ手作りの巾着に入れてお渡ししました。
「アレルギーが心配」、「食べたり食べなかったり食欲にムラがあるのですが?」「指しゃぶりはいいのですか?」「歯磨きはいつ頃から始めたら?」
「隙きっ歯は大丈夫?」ママたちの質問は真剣そのものです。
茂木産婦人科病室看護師長は最後に、「地域に住宅が増え、若い世帯が増えています。
子育てで悩み苦しむ人たちを孤立させない取組みをこれからも重視していきたい」と話しました。(編集部)
東葛病院・付属診療所の医療活動(2014年4月分)
付属診療所1日平均外来患者数 | 718人 | ||
---|---|---|---|
東葛病院 | 1日平均救急・夜間外来患者数 | 54人 | |
1日平均入院患者数 | 289人 | ||
手術件数 | 106件 | ||
主な検査 | 血管造影 | 21件 | |
内視鏡 | 454件 | ||
CT | 904件 | ||
MRI | 317件 | ||
心電図 | 970件 | ||
腹部エコー | 407件 | ||
心エコー | 313件 | ||
救急患者数 | 1622件 | ||
内 救急車搬入件数 | 213件 |
掲載日:2014年6月1日/更新日:2024年10月25日