東葛の健康 No.356(2014年3月号)

東葛病院の医療【新東葛病院建設委員会】
2016年5月新病院オープンに向けあらためて新病院の概要をご紹介

2016年5月、東葛病院は流山セントラルパーク駅前に引っ越します。
病床は331床から366床へ増床し、病室は個室を増やすとともに大部屋も6床から4床にすることで療養環境の改善を図ります。
もちろん従来通り差額ベッド代はいただきません。

建設委員会委員長 濵砂 一光

建設委員会委員長
濵砂 一光 医師

救急センターの充実

急性期医療を充実させるために、血管造影装置、CT装置を新規購入し、手術室の増室、化学療法室の新設を行います。

緩和ケア病棟の新設

急性期治療のみでなく、透析室を充実させることで慢性期治療を。リハビリ室を拡大することで回復期治療も行っていきます。
また、新たに緩和ケア病棟を新設し、がん患者さんが安らかに療養される環境を整えます。

地域の要望に応える
新東葛病院建設地

つくばエクスプレス線流山セントラルパーク駅より徒歩1分。生涯学習センターに隣接。

多くの病院が、急性期あるいは慢性期、回復期に分化し、更に特定の診療科に特化していく中で、当院はそれら全てを担おうという欲張りな考えを持っています。
それは、地域の患者さんの要望に応える病院でありたいという職員の願いから生まれています。

建物は新しくなっていきますが、この気持ちはそのままに今後も取り組んで参ります。どうぞ、流山セントラルパークにお立ち寄りの際は、徐々に建設されて行く姿をご覧下さい。

建設地で安全祈願祭
新しい地域医療の構築めざして

去る2014年1月18日、東葛病院建設予定地にて安全祈願祭が行われました。
約120名の職員、友の会、自治会の方々、流山市長を始め行政の方、建業者の方が参列されました。
本間理事長の「えい、えい、えい!」という鍬入之儀でいよいよ建築開始です。

東葛病院院長 下 正宗

東葛病院院長
下 正宗

下院長の挨拶をご紹介します。

「1983年に下花輪の地で医療を開始しました。1993年に現法人東京勤労者医療会となり再出発をしました。
この間いろんな形で地域の方々のご支援を受けつつがんばってきたことが今日に結びついたのではないかと思っています。
今後は、新しい地域医療を構築する時代になっています。その要の病院として、新しい地で立派な病院を作り発展させていきたいと思っています。
今後もご支援の程よろしくお願いいたします。」

鍬入之儀を行う本間章法人理事長

鍬入之儀を行う本間章法人理事長

新東葛病院 各階の配置

  • 8階 緩和ケア病棟 20床/療養病棟 36床(56床)
  • 7階 外科・整形外科 52床/小児科 20床(72床)
  • 6階 内科 2病棟 42床×2=(84床)
  • 5階 内科 42床/回復期リハビリテーション 40床(82床)
  • 4階 【4階から上入院病棟】内科30床/ハイケアユニット8床/産婦人科20床/手術室4室(58床)
  • 3階 【透析医療】外来透析60床/入院透析10床/腹膜透析外来/リハビリテーション室/病理室/細菌検査室/医局/研修室/図書室/会議室(70床)
  • 2階 【外来診療】内科/外科/整形外科/泌尿器科/眼科/皮膚科/耳鼻科/呼吸器外科/精神科/産婦人科/科学療法室/健診センター/生理検査/検体検査/医療相談室/院内薬局/栄養課/資材課・家政課
  • 1階 救急外来(ER)/小児科外来/救急病棟 14床/内視鏡室/放射線室/総合受付/業務部医事課/組織部/友の会/売店/霊安室/剖検室
重機も入り、工事が着工された建設用地。左手に臨むのは、流山市生涯学習センター

重機も入り、工事が着工された建設用地。左手に臨むのは、流山市生涯学習センター

役立つ豆知識ミニアドバイス 花粉症対策(花粉アレルギー)

東葛病院・付属診療所看護師長 吉元 留美子

工夫も大切

花粉症の症状の出ている方は、すでに日々の治療や対応をされていると思います。まだまだ、辛い日々が続きますので、日常生活での工夫が大切になります。

今後の留意点

これからの季節でご留意いただく点をまとめます。

  • ①花粉が多く飛散する日は、天気がよく湿度が低い日、最高気温が高い日、風が強い日などで、マスクや帽子、ゴーグルなど対策をきちんとして出かけましょう。
  • ②外出から帰ったら、家の外で足首まわりや、帽子、コートについた花粉をよく払い落としましょう。また花粉を家の中に入れないよう玄関で静かに洋服を脱ぎ、ドアを開けて服のみ外に出し、花粉をふりおとしましょう。
  • ③手洗い、うがい、洗面をしましょう。すぐ入浴ができればさらに安心です。
  • ④洗濯ものも外干しだと花粉のついたタオルで顔を拭くことになります。注意しましょう。
  • ⑤日常の食生活では、「強いからだをつくる」視点でバランスの取れた食事をしましょう。緑黄色野菜に含まれるビタミンAは、皮膚粘膜を健康にする働きがあります。
  • ⑥花粉飛散情報をこまめにつかみ、症状が出る前に受診しましょう。

歯科コーナー「知っていました?」〈隔月掲載〉
東葛歯科歯科医師 山口 賢治

東葛歯科歯科医師
山口 賢治

抗血栓薬について〜自己判断の休薬は禁物

抗血栓薬とは血液を固まらせないようにする医薬品のことで、抗凝固薬と抗血小板薬が臨床においてよく用いられます。血液が固まる過程の中でも、血小板血栓の生成を予防する薬を抗血小板薬と呼び、それに対して、フィブリン血栓が作られる過程を抑制する薬を抗凝固薬と呼びます。前者にはバイアスピリン、バファリン、パナルジン、プラビックス、プレタール等、後者にはワーファリン、ヘパリンといった薬があります。

歯科治療において抜歯などの出血を伴う処置を行う際は、このような薬剤を服用しているか否かが問題になります。現在の診療ガイドラインにおいては、極力休薬しないで治療を行うことが望まれています。もし担当医の許可のもとに休薬する場合でも、薬によってその期間は異なってきます。まれに、歯を抜く際に独自の判断で薬を止めてくる方がいらっしゃいますが、そのようなことはなさらないようにしてください。薬を止めることのリスクもありますし、歯科治療よりも全身疾患の治療の方が優先されることを、理解してください。

シリーズけんさ89【睡眠時無呼吸症候群簡易検査②】

臨床検査技師 佐藤 絵里

睡眠時無呼吸症候群の検査でわかることは「気流」「いびき」「動脈血酸素飽和度」を終夜記録、測定することで睡眠の質を調べ、
一時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数を数値で出します。この数値をAHI(=Apnea Hypopnea Index)といって、数値が高いほど、重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)ということになります。

AHIが5以上は少なくとも睡眠中に異常があるということになります。この時、40以上の患者さんは、すぐに治療を開始します。
5〜40の患者さんは、より詳しい睡眠中のデータと合併症の有無を精密検査で調べていきます。寝ている間のことは、自分では分からないものです。
周りが気づいてあげることも大切です。夜中にいびきをかいたり、眠っている途中で呼吸が止まったり、起きた時に頭痛があったり、熟睡感がないことはありませんか?
睡眠時無呼吸症候群かも?と思ったら、一度受診されてはいかがでしょうか。

東部東葛ブロック医療福祉活動交流集会

組織部 新井 潔

医療・介護現場の活動を交流〜21演題の報告に160人が学ぶ

2月15日、足立区の海外人材研修センターで、東京民医連東部東葛ブロック「第10回医療福祉活動交流集会」が160人の参加で開催されました。
集会ではブロックの5病院・7医科・歯科診療所・2薬局の他、東葛看護専門学校、千住介護福祉専門学校やヘルパーステーション、グループホームなど医療・介護の分野から21の演題が報告され、勤医会グループから7人が発表しました。

「地域で住み続けるを支える送迎の取り組み」を報告したヘルパーステーションきずなの高木實さんは、2000年東葛健康守る会と東葛病院でNPO法人を設立、
現在透析患者30人、通院利用者80人以上を5人のドライバーで送迎していると報告。
民間事業所の撤退やドライバーの確保に困難さを持ちながらも、住民の期待の大きさの中で奮闘する姿は、参加者の共感を呼びました。

「東葛病院回復期リハ病棟での無料歯科検診の取り組み」を報告した東葛歯科小林倫子歯科衛生士は、
「病棟や在宅で療養している方へ歯科的対応することは歯科スタッフの使命」と、患者さんのベッドサイドで検診を開始した経過を報告。
口腔ケアの重要性が他の病棟や透析中の患者さんに広がり、看護スタッフにも浸透してきたと結びました。
集会テーマ「医療と介護の連携で安心できる生活と明るい未来」が実感できる集会となりました。

閉会あいさつをする大野義一朗運営委員長

閉会あいさつをする大野義一朗運営委員長

菅谷昭氏講演に500人〜1/25南流山センターで開催
講演会実行委員長 戸倉 直実 医師

講演会実行委員長
戸倉 直実 医師

被害はがんだけではない

「放射線から子どもたちを守るために、わたしたちが出来ることを一緒に考えませんか?」という呼び掛けに当日500人もの方々が集まりました。
菅谷昭医師の講演は、チェルノブイリでの経験を中心に、1991年から5年間、現地で増加していた甲状腺癌手術を行い帰国されたこと。
一昨年訪れたベラルーシの事故後25年後の状況は、10歳の子どもたちに貧血や無気力・集中力の低下がみられていたこと。
被害はがんだけではなく、福島でも子どもたちが運動不足から肥満傾向にあり、運動能力が低下していると指摘しました。

この地域に必要なこと

菅谷医師は東葛地域の土壌汚染データをご覧になり、地域が低線量であっても、汚染された事実は否定できないこと。
山林をはじめ除染しきれない場所があり、チェルノブイリと比べても安全とは言い切れず、汚染された食べ物には注意が必要と話しました。

また、汚染のない地域へ、子ども達の保養は必要と指摘。
医師として、公的費用で子どもの健康調査が必要なことを強調し、調査項目として甲状腺エコーだけでなく血液、心電図等を市と医師会で検討してほしいと話されました。
ロビーでは、実行委員が行ってきた流山周辺市の取り組みを紹介し、今後も放射線測定、除染、甲状腺エコー検査等と、自然エネルギー普及にも継続して取り組んでいきたいと考えています。

会場いっぱいの参加者

会場いっぱいの参加者

第6回公開医療倫理講座概要

第6回公開医療倫理講座概要(PDF)

※過去の医療倫理講座含め、こちらに全発言を掲載しております。よろしければご参照ください。

公開医療倫理講座

東葛病院・付属診療所の医療活動(2014年1月分)
付属診療所1日平均外来患者数 780人
東葛病院 1日平均救急・夜間外来患者数 69人
1日平均入院患者数 288人
手術件数 95件
主な検査 血管造影 18件
内視鏡 478件
CT 894件
MRI 280件
心電図 867件
腹部エコー 375件
心エコー 295件
救急患者数 2078件
内 救急車搬入件数 262件

掲載日:2014年3月1日/更新日:2024年10月25日

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