東葛の健康 No.353(2013年12月号)

東葛病院の医療【被ばく医療委員会】
ホットスポットで私たちにできること
菅谷 昭さん講演会を企画

東葛地域が「ホットスポット」だと言われてすでに2年が過ぎました。感じることのできない放射性物質を相手に、私たちは何をしたらいいのでしょうか。その答えを聞こうと、菅谷昭(すげのやあきら)氏講演会を企画しました。

被ばく医療委員会委員長 医師 戸倉 直実

講演会のねらい
東日本大震災で原発事故を起こした福島第一原発4号機。全日本民医連のサイトより

東日本大震災で原発事故を起こした
福島第一原発4号機。全日本民医連のサイトより

菅谷氏はチェルノブイリ原発事故後、ベラルーシ共和国で甲状腺がん治療に従事された甲状腺専門医であり、現在は松本市長の職を務めつつ、原発事故後に「子どもたちを放射能から守るために」等の著書を書かれています。

松本市では、原子力発電所がないのに危機管理マニュアルを作成し、安定ヨウ素剤も備えているといいます。なぜそれが必要なのか、ホットスポットで住み続けるために、チェルノブイリの教訓から学びたいと考えています。菅谷氏には医師と行政、両方の考えを話して頂きます。

この地域で安心して暮らし続けたい住民が集まり実行委員会で行う講演会。一人でも多くの方の参加を期待しています。

被ばく医療委員会の活動

東葛病院は、11月に市民団体が行う甲状腺エコー検診に会場を提供させていただきました。ここに医師をはじめとした職員が見学・研修として参加し、地域の要求をどう実現するのかを深める機会ともなりました。病院で甲状腺エコー検診を実施するための準備も行っています。

また、被ばく医療委員会では「ツキイチ学習会」として、毎月11日前後に学習会を行っています。12月は映画「チェルノブイリ・ハート」を見る予定です。終わらない放射線被害の実態を学びます。地域の皆さまの参加を歓迎します。ぜひご連絡ください。

最近、小泉純一郎元首相が原発はゼロにして再生可能エネルギーを推進すべきと表明しました。フィンランドの処理施設を見学して原発推進の考えを変えたそうです。ドイツでは20年以上前に出ていた結論です。

日本では、54基も作ってしまった原発を安全に子孫に残すことができるのでしょうか。さらに「収束」には程遠い福島原発の安全確保のためにはどうすればよいのでしょう。

その答は、私たち一人ひとりが目をそらさず、考えなければならないことですが、あまりの難問に一人で考えても迷うことばかりです。

ご一緒に考え、学びあいましょう。

院内に展示した一年間の活動記録

院内に展示した一年間の活動記録

現長野県松本市長 菅谷 昭講演会
〜放射能から子どもたちを守る、私たちにできること〜


日時:2014年1月25日(土)13:00開場 13:30講演開始(15:30終了予定)
会場:南流山センター・大ホール ※資料代、一部500円※申込不要
※託児(3歳から就学前まで・無料)をご希望の方は1/18までにお知らせください。

<お問い合わせ・ご連絡先>菅谷昭講演会実行委員会事務局
(TEL:04-7159-1011、メール:tk_medical_pr@tokyo-kinikai.com)

歯科コーナー「知っていました?」〈隔月掲載〉

東葛歯科歯科衛生士 澤田 直子

虫歯予防について〜フッ素の効用と使い方〜

虫歯予防におけるフッ素の効果って?フッ素は、少しずつでよいが必ず摂取しなければならない微量栄養素の一つです。
では、フッ素は虫歯予防に対してどのような効果があるのでしょうか。

1.酸性抑制
虫歯の原因菌に働きかけ、虫歯菌が歯を溶かす酸を作るのを抑制します。
2.再石灰化促進
酸によって溶かされた歯の表面に、カルシウムやリンが再沈着(再石灰化)するのを促進します。
3.歯の強化
歯の表面にフッ素が取り込まれ、酸に溶けにくい性質に歯を変化させます。

このような性質を持つフッ素を、虫歯予防の目的で使用するには、フッ素(フッ化物)入りの歯磨き剤を使うと効果的です。日本の物は、ほぼフッ素が配合されています。乳歯や生えたての永久歯は、表面がまだ軟らかく酸に溶けやすいため、歯の表面を強化するのに効果を発揮します。ただし、フッ素は歯の表面にとどまらずに流れてしまいやすいので、歯磨き後に口をゆすぐのは1〜2回にとどめ、その後も1〜2時間は飲食を控えた方が良いようです。

フッ素はいろいろな食べ物の中にも含まれていて安全なものですが、大量摂取による副作用もありえます。フッ素入り歯磨き剤は正しく使えば問題はありません。小さなお子さんは、お口をすすげるようになったら使い始めてください。

冬は脳卒中・心筋梗塞にご注意を

健康管理室 看護師長 二階堂 規子

温度の変化で血圧は変動

最近はすっかり寒くなってきました。寒さいと血管が細くなり血圧が上がります。冬は夏の2倍も脳卒中・心筋梗塞といった病気が増える季節です。大きな原因は高血圧といわれており、もともと血圧が高い方は特に注意が必要です。温度の変化によって血圧が変動しやすいので、入浴時は血圧急上昇の危険があります。寒い脱衣所から急に熱い湯に入ると、いっきに血圧が上がってしまいます。脱衣所・浴室は温め、ぬるめ(38℃位)で入湯し、適温(40℃位)まで追い炊きするようにしましょう。トイレの室温にも配慮しましょう。便秘による過度なイキミも血圧が上がりますので排便を整えましょう。

ベランダに洗濯物を干すなどのちょっとした時の防寒対策もお忘れなく。かといって着ぶくれは動きが不自由になるので、スカーフやレッグウォーマーなど着脱の楽なもので工夫してみてください。首・手首・足首の「3つの首」を冷やさずに、すこやかに冬をお過ごしください。

シリーズけんさ87【心臓超音波検査②】

臨床検査技師 四分一 茜

心臓のはたらき
超音波検査機器

超音波検査機器

今回は実際の検査の様子をお話しします。

胸が見えるように上着をまくり、左を下にして横向きに寝ます。そうすることで心臓が体の表面近くに移動し、観察しやすくなります。また、超音波は空気中を通りにくく、肺の中の空気は検査の妨げになってしまうため、呼吸の調節をお願いすることがあります。

心臓全体の様子を知るために様々な角度から観察していきます。検査にかかる時間はおよそ30分となっており、腹部の検査とは異なり検査前に食事を摂っても検査に影響はありません。

先にお話ししたように、胸が見える形で検査しますので、検査当日はワンピースやボディスーツなどの脱ぎ着のしにくい服装はお避け下さい。

胸が痛い、苦しいなどの症状がある方、糖尿病の方、血圧の高い方、心電図で指摘を受けた方は心臓に何らかの変化が起こっていることがあります。そのようなときに心エコーで心臓のポンプ機能を調べることは大切なことです。お心当たりのある方は一度担当医に相談されてみてはいかがでしょうか。

いのちと人権の現場から
社会保障推進流山市協議会会長 医師 大野 義一朗

社会保障推進
流山市協議会会長
医師 大野 義一朗

年越し派遣村を憶えていますか

派遣社員の大量解雇で、路頭に迷った多くの人を救うため2008年12月31日に日比谷公園で「派遣村」が活動しました。このとき東葛地区でも松戸、柏の駅頭で派遣村活動が取り組まれました。日比谷は1年だけで終了しましたが、東葛地区では、派遣切りがなくなるまで続けようと、これまで4年間にわたり取り組んできました。

東葛地区の労働組合や病院、自治体の協力もあって50を超える団体が集まりました。相談は260件。東葛病院からも医師、看護師、看護学生などが参加、医療相談を担当し、厳しい現実を目の当たりにしました。相談のうち医療の相談は30%で生活、仕事の相談が圧倒的に多く年々増加しています。

病気で受診が必要だとわかっていても「食べるのが精いっぱいで医療どころではない」や「仕事がないと医療費を払えず受診できない、病気になると仕事がなくなる」の悪循環。「糖尿病や後遺症で1回受診すれば済む問題ではない」など返答に困る問題が山積みでした。

仕事があって、当たり前の生活ができる事、それがなにより大事で、先ず解決しなければならない問題なのだと痛感します。民医連の医療の目標は、目の前の病気を直すということだけではなく、その人の生活も含めて病気を理解し、いっしょに解決していくことです。今年も12月26日松戸駅西口で、「相談会」を行います。ひとりで悩まずに、相談してください。

昨年の派遣村にて大野会長

昨年の派遣村にて大野会長

東葛病院・付属診療所の医療活動(2013年10月分)
付属診療所1日平均外来患者数 738人
東葛病院 1日平均救急・夜間外来患者数 46人
1日平均入院患者数 292人
手術件数 112件
主な検査 血管造影 34件
内視鏡 516件
CT 933件
MRI 315件
心電図 1092件
腹部エコー 416件
心エコー 282件
救急患者数 1427件
内 救急車搬入件数 180件

掲載日:2013年12月1日/更新日:2024年10月25日

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