東葛の健康 No.350(2013年9月号)

東葛病院の医療【消化器内科】
一度、大腸がん検診を
便中の血液は要注意 あなたは本当に痔ですか

大腸がんは、がんの中でも近年、増加傾向にあります。日本の女性のがんの死亡率№1。言うまでもなく、早期発見、早期治療が大事です。治療の進歩により、生存率も徐々に上昇しています。9月から流山市の大腸がん検診も始まります。今号は、大腸がんについて山口医師が語ります。

消化器内科医師 山口 俊和

消化器内科医師 山口 俊和

便潜血検査

一般的な早期大腸がんは数年で進行がんになります。良悪性を問わず、10mm以上の腸管病変は出血しやすくなります。便中の血液は大腸がんの可能性も示しています。

大腸がん検診

9月から平成25年度流山市大腸がん検診が始まります。平成4年の開始以来、がん検診として定着し、大腸がんの発見とその治療に寄与してきました。ただ検診としての不十分さも明らかになってきました。
①検診受診者が固定化していること、
②精密検査の受診率が60%と低いこと、などです。

精密検査

大腸内視鏡検査でがんを探します。内視鏡検査は苦痛を伴う事もありますので、必要な場合、鎮痛剤や鎮静剤を使います。

大腸がん情報

この大腸内視鏡で大腸がんの検査を行います。
内視鏡カメラを持つ医師。

  • ①人口10万あたりの大腸がんによる死亡は、平成23年に男性で40.5人、女性で32.3人でした。
  • ②大腸がんの生存率は徐々に上昇してきています。これは、早期がんの発見、及びがん治療の進歩によるものです。
  • ③平成23年度当院大腸がん検診受診者は1275名、精密検査を受けた方は115名で、約半数にポリープを認め、大腸がんは、4名見つかりました。

最後に、40歳以上で今まで大腸がん検診を受けていない方はぜひ一度、受診を検討して下さい。また、血便や腹痛などの症状のある人は検診でなく、直接医療機関を受診すべきです。便中の血液が多すぎるとかえって潜血反応を示さないこともあります。

折れ線グラフの太い線が大腸がんの罹患数の推移。増加傾向にあります。

クスリあ・れ・こ・れ〈隔月掲載〉
たかが便秘されど便秘〜日常の食生活と生活リズム

薬剤師 廣瀨 祥子

便秘が続くとお腹が張ったり痛むといった症状だけでなく、頭痛や吐き気など様々な症状が現れることがあります。便秘とは3〜4日以上便通がなく、不快感がある状態をいいます。便秘は日常生活と大きく関わっていることが多く、普段の食生活や生活リズムなどを整えることが便秘の解消に繋がることも多いです。心がけることは

  • ①毎日規則正しい食事
  • ②適度な運動
  • ③食物繊維を多く取ること
  • ④水分を多く取ることなどが挙げられます。

便秘に良い食物は食物繊維(野菜、果物、豆類、芋類、海藻類)などに多く含まれており、意識的に摂取することが効果的だと思います。また味噌、納豆などの酵素の多い発酵食品も腸内環境を整える上で大切です。

それでも効果が不十分な時は、薬の助けが必要なときもあるでしょう。人によって合う種類や適量がありますので医師と相談して自分に合った薬で上手に使うと良いでしょう。

  • 1.大腸刺激性下剤(センノサイド、アローゼン、シンラック、レシカルボン坐剤など)腸の壁を刺激して排便を促します。
  • 2.塩類下剤(酸化マグネシウム、マグミット、マグコロールPなど)腸内に水分を取り込み、便は水分を含んで膨らみます。これが腸を刺激して排便を促します。
  • 3.湿潤性下剤(ビーマスSなど)水分を便に取り込んで便をやわらかくします。
  • 4.浣腸剤(グリセリン浣腸など)直腸を直接刺激し便を排出させます。

その他に大黄甘草湯、麻子仁丸などの漢方薬もあります。薬の服用により、便が緩くなることもあるので、医師・薬剤師の指示に従い服用するとともに生活習慣を見直すことも心がけましょう。

シリーズけんさ84【乳腺超音波検査①】

臨床検査技師 加瀬 智史

乳がんとは?

昨今、乳がんについてテレビや広告でも多く取り沙汰されています。今や有名な話になっていますが、女性のがん罹患率(発症率)の第1位であり、直近だと15人に1人ともいわれるようにもなりました。乳がんは30代から急増し、40〜50歳代の女性に特に多くみられます。その後ゆるやかに減少しつつも80代まで高い確率で推移していきます。また35歳までに発症した乳がんを若年性乳がんといいます。

乳腺エコーとは?

乳がんを見つける為の検査は色々あります。今回は乳腺エコーを詳しく説明します。上半身は脱いで、ベッドに仰向けになった状態で乳房全体に温かいゼリーを塗り、探触子(たんしょくし)(プローブ)をあて、超音波によって乳房の中の構造を映像化し、その場でモニターに表示することができます。検査は大体10〜30分です。乳房の大きさや年齢など、個人差によって検査時間は変わりますので、「検査時間が長い=悪い状態」ではありません。この検査の利点は、

実際のエコー機器

実際のエコー機器

  • ①被ばくをしない。
  • ②妊娠中でも受けられる。
  • ③圧迫しないので痛みがない。
  • ④手では感じ取れない小さいしこりを見つけられる。

などがあります。ただ欠点もあり、マンモグラフィのように小さな石灰化を作る乳がんを発見するのは苦手です。日本ではマンモグラフィを検診の第1選択としており、エコーはその2次検査として選択されることが多いのですが、乳房の大きさや年齢によっては第1選択となることもあります。(次回へつづく)

看護師・助産師大募集
再就職でも安心勤務 職場復帰支援プログラムで援助します

救急外来 宇留野 大輔

東葛病院との出会いは、「共働きの子育て世代」に仲間入りをすることになり、妻と共に育児と仕事を両立できる病院を探しているときでした。

都内の集中治療室に勤務していた私は、約半年前に救急センターに就職しました。多くの病院では、子育て世代である中堅看護師の減少が大問題です。東葛病院で働き始め、その中堅看護師の多さに驚き、職場環境、柔軟な看護、患者さんへのやさしさに驚きました。救急センターではエビデンス(根拠)のある医療の提供、そして断らない救急医療を常に目指し、日々奮闘しています。
育児と共働きで悩んでいる方に、自信を持ってすすめられる病院です。私たちと一緒に働いてみませんか!

東京勤医会 東葛病院 04−7158−9238 内田まで

医学生が見た東葛病院の医療

東葛病院では、医学生の実習を積極的に受け入れていますが、今年の夏もたくさんの医学生が訪れました。

病院が実習学生に望むのは「私たちが考える医療とは、単に症状を取り去ることでなく、たとえ病気や障害があってもその人らしく地域で生きていくことを支援する取り組みです。医療者と患者、という関係だけでなく、人間同士の出会いから、共に地域で生きていこうと志す試みが始まります。きれい事では済まない、問題山積みの中でも、魅力もいっぱいある地域医療の現場での実習を是非体験してください」(精神科・田井医師)です。

特にこの間、病院の近くの出身者の実習希望が増えていることも特徴的です。「子どもの頃この病院を受診しました」と嬉しい言葉もよく耳にします。実際、実習を終えた学生さんからは、「スタッフが本当に優しく気さくで、アットホームな雰囲気で、皆が患者さんのために本当に一生懸命に頑張っている姿が印象的。生き生き楽しみながら働いていて素晴らしい…」。「地域に根差した医療というものを肌で感じ、大変魅力的な病院」。「地域医療を支えるという意志が強く感じられ、患者のことを何よりも考えた病院の体制に感動した」。「差額ベットをなくすことでお金がない人でも平等に医療が受けられるシステムが確立されていたり、無保険の外国人にも医療を提供したり。本当に患者のための医療が行われていると感じた」など感想が寄せられています。

地域医療を重視し、患者さんのために差別のない医療をめざす東葛病院を応援してもらったと職員が元気をもらっています。

興味のある方はこちらまで。

医師・医学生のページ

東葛病院・付属診療所の医療活動(2013年7月分)
付属診療所1日平均外来患者数 678人
東葛病院 1日平均救急・夜間外来患者数 54人
1日平均入院患者数 288人
手術件数 109件
主な検査 血管造影 31件
内視鏡 456件
CT 873件
MRI 320件
心電図 755件
腹部エコー 383件
心エコー 272件
救急患者数 1689件
内 救急車搬入件数 257件

掲載日:2013年9月1日/更新日:2024年10月25日

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