東葛の健康 No.349(2013年8月号)
- 東葛病院の医療【外科】
- 歯科コーナー「知っていました?」〈隔月掲載〉
- 赤ちゃんや子どもの熱中症予防
- シリーズけんさ83 下肢静脈エコー検査②
- いのちと人権の現場から
- 東葛病院・付属診療所の医療活動(2013年6月分)
東葛病院の医療【外科】
乳がん治療
手術・薬物療法・放射線療法を上手に組み合わせて
外科医師 渡辺 真
治療の歴史
世界で初めて全身麻酔手術を成功させた「華岡青洲」
医聖華岡青洲顕彰会より
世界ではじめて全身麻酔での手術を成功させた医師をご存知でしょうか。ドイツの医師でもアメリカの医師でもなく、我が国の華岡青洲先生です。江戸時代の文化元年(西暦1804年)に乳がんの手術を成功させたことが記録に残っています。
それから約200年の月日が流れ、乳がんの治療は外科手術で治療を完結させる時代から外科手術・薬物療法・放射線治療の組み合わせで治療成績の向上を図る時代へと変遷しています。日本人女性の乳がんは増加傾向にありますが、早期発見・早期治療で治すことができる病気でもあります。
当院の乳がん診療についてご紹介致します。
東葛病院の乳がん診療
乳房を検査する機器マンモグラフィ―
最近ニュースで話題となったアメリカの女優さんのように、生まれつきの遺伝子変異が原因で乳がんや卵巣がんにかかりやすくなる方がいることが知られています。ただし、このような例は乳がんを患われる方のごく一部です。最近の統計では日本人女性の約14人にひとりが乳がんにかかるとの結果が出ており、特別な病気ではなくどなたでもかかる可能性のある病気と考える必要があるのです。当院では、医師が診察、マンモグラフィ、超音波検査で検診を行い、早期発見に努めています。
自覚症状や診察、画像検査の結果により乳がんが疑われた場合には、さらに詳しい検査を病状に応じて追加で行い、最終的な診断を行います。乳がんと診断された場合には、組織の性質、しこりの大小や腋窩リンパ節(脇のリンパ節)への広がり、他の臓器への広がりなどを調べた上で治療方針を決定します。
手術、薬物、放射線療法
乳がんの手術方法は時代と共に変化してきました。約30年前までは、乳房と共に胸の筋肉を切除する方法が主流でした。現在では、腫瘍が小さい場合には乳房温存療法も広く行われるようになっており、当院でも病状に応じた標準的な手術に対応しております。手術のための入院期間はご病状にもよりますが5日〜10日程度です。先述の通り、乳がんの治療は手術・薬物療法・放射線療法を上手に組み合わせることで治療成績を向上させてきました。手術の結果に応じて薬物療法は引き続き当院で、術後の放射線治療や乳房再建などに関しては近隣医療機関と連携し治療の相談をしていきます。
心配事は付属診療所へ
乳腺エコーの検査に使用する機器
乳がんは比較的早期の段階から全身にひろがる性質があると考えられており、診断の時点で全身に広がっている場合や、術後に再発・転移が起きることも珍しくありません。そのような場合にはがん細胞を体から根絶させることは難しく、がんとの共存を図っていく事を目標に治療を進めていきます。薬物療法(抗がん剤)や内分泌療法(ホルモン剤)を、がん細胞の性質や病状の程度に応じて使用します。抗がん剤と聞くと、副作用の事が心配で治療を迷われる方も多くおられると思いますが、高齢の方や合併症のある方であっても無理のない範囲で治療を行えるようご相談させて頂きます。
乳腺の病気に関して心配事がありましたら、いつでも付属診療所外科にお問い合わせください。
歯科コーナー「知っていました?」〈隔月掲載〉
東葛歯科でも診療 入院患者にも〜入院患者の口腔の向上を手助けしていきたい
野田南部歯科所長 歯科医師 三浦 猛
はじめまして、野田南部歯科所長の三浦猛です。五月から東葛歯科で週一日、診療を受け持つようになりました。秋からは、もっと診療日が増える予定です。
病棟の無料検診をしてみて、一般外来歯科と病棟入院患者の歯科は、全く違うと感じました。入院患者さんの口腔内は、とても乾燥しているのです。その上、意思疎通も十分できない状態です。これでは、口腔ケアは、とても大変です。自分の手足を自由に使える方(外来)は、自分で口腔ケアをできるけれど、手足を自由に使えない方(入院)は、口腔ケアを人にやってもらわねば、全くできていない状況に陥ってしまうことになります。
これが外来患者さんと入院患者さんの大きな違いです。今後、東葛歯科での私の診療日が増えることで、入院患者さんの口腔の健康の向上の手助けができればと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。
【東葛歯科】ご予約は04-7159-6775
月〜土は 午前8:45〜13:00 午後2:30〜4:20 水曜は午前のみです。ご注意ください
夜間(火.金の隔週)午後5:30〜7:15
赤ちゃんや子どもの熱中症予防
猛暑から子どもの命を守りましょう!
熱中症、気を付けなければいけないのは大人だけではありません。特に乳幼児は、体温調節の機能がまだ未成熟です。大人は6割が水分でできているのに対し、赤ちゃんの身体は8割が水分です。
また、大人の何倍も汗をかき、おしっこも日に10〜20回するので、熱中症を起こすリスクが高くなり、重症化しやすくなるのです。炎天下、買い物などでベビーカーに乗っている赤ちゃんは、大人より地面に近くアスファルトやコンクリートの放射熱で気温より高い温度にさらされます。炎天下でのお出かけは、小まめに日陰で休息し水分補給をしてあげて下さい。
赤ちゃんや子どもの熱中症は死にもつながります。ほんの少しと思っても絶対に車中に赤ちゃんや子どもは置き去りしないで下さい。特に、暑い夏の車中は、外気温が26度くらいの時でも50度くらいに達することがあります。車は、フロントガラスやダッシュボードが熱せられてストーブの役目をするからです。エアコンを付けっ放しでも真夏の駐車中の車内は40度近くなることもあります。
雨天時も注意が必要です。ベビーカーにつける透明のレインカバーに包まれた中は熱がこもって暑くなるので小まめに赤ちゃんの様子を見ましょう。
大人が気が付かないうちに「このくらい大丈夫」と思って頑張らせすぎて「熱中症」になってしまうことがあります。飲み物を欲しがっても「○○に着いたらね」など、先を急いでいる時でも水分と休息だけは、小まめに与えてあげましょう。
主な症状は次の通り ※意識が混濁していたら直ちに救急へ
- ・顔が赤くなる
- ・体温が上がる(40度近くなる)
- ・手足が冷える。
- ・唇の色が悪くなる
- ・おしっこが出ない
- ・目がうつろになる
- ・乳児は大泉門(頭頂部)が陥没する
シリーズけんさ83
下肢静脈エコー検査②
臨床検査技師 田中 志保
黒い部分が血管で中央の白い塊が血栓です。
下肢静脈エコー検査は東日本大震災においても『エコノミークラス症候群』を予防するために避難所で行なわれました。
当院での検査についてお話します。両足の太ももから膝の後ろ、ふくらはぎ、足首近くにまで検査のためのゼリーを塗ります。そしてプローブという機器を足の表面にあてながら足を圧迫したり、時々患者さんに深呼吸をしていただきながら検査を行ないます。太ももよりもお腹側の血管を観察させていただくこともあります。そのため検査はスカートやズボンを脱いでいただき下着のみの着用で行ないます。体位はベッドの上であお向けやうつ伏せに寝た状態で、又はイスに腰を掛けた状態で、時には立った状態で行ないます。検査時間は病気の状態にもよりますが1時間弱と少し長めですので検査前にはお手洗いを済ませていただくと良いと思います。検査前に食事の制限はありません。
前回、『深部静脈血栓症』で足が腫れたり赤くなったり痛みが出たりするとお話しましたがこれらは血栓以外の原因でも起こります。又、夏は特に汗をかくことで血液がドロドロになり血栓のできやすい季節です。足の運動や適度な水分のとり方、足のむくみなど気になることがあればまずはかかりつけの医師にご相談下さい。
いのちと人権の現場から
東葛病院 新事務長 宇留野 良太
7月1日付けで東葛病院事務長に就任いたしました宇留野と申します。私は、東京民医連に加盟する健和会等の法人で構成される東都協議会に2000年に入職し、これまで介護系法人や柳原病院・柳原リハビリテーション病院で仕事をしてまいりました。このたび勤医会へ移籍し、新病院建設という大事業を前に大役を仰せつかり身の引き締まる思いです。また、地域の財産である東葛病院を守り・発展させていくためにも、共同組織・地域の皆さまに依拠し奮闘する決意です。どうぞよろしくお願いいたします。
東葛病院・付属診療所の医療活動(2013年6月分)
付属診療所1日平均外来患者数 | 792人 | ||
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東葛病院 | 1日平均救急・夜間外来患者数 | 54人 | |
1日平均入院患者数 | 294人 | ||
手術件数 | 111件 | ||
主な検査 | 血管造影 | 27件 | |
内視鏡 | 478件 | ||
CT | 888件 | ||
MRI | 244件 | ||
心電図 | 991件 | ||
腹部エコー | 411件 | ||
心エコー | 329件 | ||
救急患者数 | 1606件 | ||
内 救急車搬入件数 | 211件 |
掲載日:2013年8月1日/更新日:2024年10月25日