東葛の健康 No.342(2013年1月号)

新春座談会
新しい病院建設の年がはじまる
~健康な街づくりの拠点めざして~
2015年に流山セントラルパーク駅前に、東葛病院が新築移転することが正式に決定しました。病院では医療構想委員会での討議を踏まえて、建設委員会が新病院の病棟や外来などの配置について、調整を進めています。新病院への期待を語っていただきました。(まとめは編集部)

座談会出席者

  • 東葛病院院長下 正宗
  • 東葛健康友の会副会長熊谷 登
  • 外科科長・建設委員会委員長代理濱砂 一光
  • 総看護師長内田 てる美
  • リハビリテーション部長加川 豊
  • 司会・研修医西岡 大輔
座談会
新病院建設の話にワクワク
院長 下 正宗

院長
下 正宗

西岡あけましておめでとうございます。1年目研修医の西岡です。ことあるごとに新病院建設の話が出てきて、ワクワクしていますが、今日は日ごろの疑問を直接聞けるチャンスだというので、どこまで進んでいるのかお聞かせ下さい。

東葛病院は築30年、老朽化が進み、建て替えを検討していたところへ東日本大震災が起き、病院も被災して1週間医療機能が止まり、一気に建て替えを決断しました。

西岡場所は?

つくばエクスプレスの流山セントラルパーク駅前です。駅から雨にぬれずに入れるくらいの近さです。現在の331床から366床になります。

見えてきた新しい病院のかたち

濱砂まず、医療構想を作り上げました。どういう医療を作っていきたいのかという医療構想の議論を、友の会の方々にも参加していただき、もうどうしようというぐらいたくさんの議論を1年かけてやってきました。

加川医療構想を作って、“夢”ができたんですよね。今度はそれを実現するために、建物をどう作っていくかという段階に入りました。去年3月、建設委員会を立ち上げ、その中で議論を進めています。

内田今年秋に着工し、完成は2015年秋の見込みです。

西岡となると、今年は新病院建設元年ですね。ますますワクワクします。

さらに進化する東葛病院
友の会 副会長 熊谷 登

友の会 副会長
熊谷 登

西岡新しい病院ではどんな医療が可能になるのでしょうか。

濱砂地域からの要望も大きかった救急や小児科、産婦人科の病床を増やし、外科の手術機能も拡大します。さらに緩和ケア病棟を新設します。

西岡友の会、患者さんから期待するものは何でしょうか。

熊谷駅前という立地が嬉しいですね。それから、送迎バスがどう変わるのか、診療所のどの機能が移るのか、移って空いたスペースに何を入れるのか、関心が高いです。ぜひ、デイサービスを作っていただきたいですね。

西岡看護の分野では?

内田新病院では4床室が中心で、患者さんのプライバシーを守り、静かな環境を作れるなど、療養環境は大きく改善します。
個室率は28%と今よりずいぶん増え、室料差額のない個室を使っていただけるのは嬉しいですね。感染対策もしっかりできます。トイレも増やします。

災害時や健康づくりの拠点にも
医師 濱砂 一光

医師
濱砂 一光

西岡リハビリはいかがでしょうか。

加川とくにリハビリは期待が大きい分野であり、急性期リハ、在宅の訪問リハの両方が強化されます。
さらに小児、緩和という新たなリハビリにも挑戦していきたい。

西岡さらに地域に根ざした病院になりますね。

災害時の拠点としての役割も担う必要があります。新病院のすぐ近くに流山市の耐震の新体育館が建て替えられて、避難場所になります。
また、病気になった人を助けることはもちろん大事ですが、病気にならない健康な街づくりの拠点をめざし、ヘルスプロモーションホスピタル、健康づくりに取り組みます。

歴史引き継ぎ、人材育成に生かす
~地域・行地域・行政との連携密に~

新病院に引き継ぐもの
総看護師長 内田 てる美

総看護師長
内田 てる美

西岡今の病院のMRIや電子カルテなどは最新式で、まだまだ使えます。持っていくものには、どんなものがあるでしょうか。

東葛病院は30年前地域の期待を背負って開院しましたが、残念ながらすぐに倒産してしまいました。「医療を継続してほしい」と地域の方々に支えられ、全国の民医連が支援に来てくれました。
それに対して誠実に医療で返していこうと職員が頑張ってきた歴史があります。当時を知る職員はほとんどいなくなりましたが、その気持ちを引き継いだ職員たちが頑張っています。
この脈々と流れている「地域に貢献する」という思いはそのまま持っていきたいし、建物が新しくなる中で、その気持ちをもっと広げていきたいですね。

内田地域の皆さんの声に応えて、本当にいろいろな医療に取り組んできました。
訪問診療や小児科もそうだし、産婦人科も去年再開できました。室料差額を取らない医療もそうですし、無料低額診療事業も始めています。
さらに障害のある方や子ども、知的障碍者など社会的弱者と言われる方に寄り添う医療も積極的にやってきました。そういうものを全部持っていきたい。

濱砂今の医療は輪切りに分断されていますが、そういう流れと違うのが東葛病院の医療だと思います。どっちが儲かるからということでなく、急性期も慢性期も在宅も、地域の中で必要とされる医療をとことんやる。こういう精神は持っていきたいですね。

西岡私たち若い職員も東葛病院がやってきたことをきちんと学びながら、自分たちの医療に生かしていきたい。患者さんを病気だけでなく、人としてみることを1年間学んできました。

加川そこが東葛病院のリハビリテーションの思想と一致します。患者さん、利用者さんを人としてみることは、その人の生活をしっかり見て行く視点が重要です。
障害や病気を抱えて地域に帰って行く。そこには生活や家族、仕事、趣味がある。そういうものを全部見たうえでその人に関わっていかなければいけない。医療、介護の連携も含めてしっかり見て行くことが重要で、今までも追及しているし、これからもやっていきたい。

支え、支えられる関係
リハビリ部長 加川 豊

リハビリ部長
加川 豊

熊谷病院と友の会は、支え、支えられる関係です。新病院を支えるには、友の会を大きくして持っていくことが何より大事だと考えています。
去年の会員拡大月間で7000人を達成しました。今年は次のステップ8000人に向けて、心を一つにしているところです。

地域の方たちと協力して、住みよいまちづくりを進めていきたいですね。
数年前から、流山の医師会や行政とのコミュニケーションがとても良くなっています。病気になっても高齢になっても、安心して暮らせる地域づくりには、各自治体でできることも山ほどありますから、そのためには地域を変え、政治を変えていく。

西岡倒産しても医療を守り、苦労して再建してきた病院で培われてきた東葛マインドということでしょうか。

人が好き、地域が好き

濱砂私は外科医であると同時に往診もずっとやっています。急性期と在宅を同時にやっているのは珍しがられますが、私の中では自然な流れなんです。
患者さんの人生の一部分、隅っこに住まわせてもらっているなと感じたときに、仕事をしていて楽しいし嬉しいなと感じる。その人と継続的に関わっていって、一緒に年を重ねていく、そういうことが私はとても好きです。
年月を重ねれば重ねるほど、人が好きになるし地域が好きになる。自分の中ではそういう気持ちがとても重要なことなんです。

加川その人の隅っこにいるという気持ち、共感しますね。
その人がその人らしく生きることを医療側の人間として支えながら、一緒に歩んでいく。そこに仕事のやりがいがある。この気持ちは大事に持っていきたいなと思います。

内田看護では患者参加型の看護計画もしています。
腹膜透析になっても犬と一緒に生活をしたいという方に、どうしたら安全に自宅で腹膜透析ができるか、病棟看護師が訪問看護師と一緒に在宅に行き、相談することや、終末期の患者さんの願いを叶える取組みなど、私たちにとってはキラキラ光る宝物みたいな経験がたくさんあります。

建設成功のカギは人材育成
研修医師 西岡  大輔

研修医師
西岡 大輔

西岡着々と実現しつつありますが、やっぱりスケールが大きいというか、先が長いというか大変な事業です。成功させるカギは何でしょうか。

加川職員一人ひとりが自分事として、自分はどうしたらいいか、どういう役割を果たせるのかを真剣に考えて取り組んでいくことが重要です。
一人ひとりの主体性をどう高めていくか、それをどう集団としてまとめていくかがカギになると思います。

内田教育に力を入れて、職種にこだわらず育ち合えるような環境作りも必要です。

濱砂開業医の先生や他の病院との地域連携をさらに進めることも大事です。

加川やっぱり楽しくないとだめだと思う。
夢があったり目標があったり、そこに向かって進んでいく自分が誇らしかったり。そういうものがあると、苦しくても楽しく頑張れる。そこが成功のカギになるんじゃないかと思います。

濱砂同感です。大事なことは自分が楽しいこと。人を育てるうえで大事なテーマです。
楽しいことをやりながら、作り上げていきたいなと。

熊谷友の会1万人に向けて、スタートの年にしていきたい。
地域協同基金にも協力して財政的にも全面的に支援したいと思います。

西岡新病院がスタートするときに私は4年目、自立していく年になります。
今年4月には入職する6人の研修医が3年目になり、後輩を指導できる立場になっています。若い医師たちにとって、より魅力的ないい研修ができる東葛病院にしたいなと思っています。


研修医が入ってくると病院全体が元気になります。臨床研修制度のフルマッチを続けると同時に、中堅の医師にも参加してもらって魅力的な病院をつくっていきたいですね。

西岡
新年にふさわしい、元気の出る話になりました。ありがとうございました。

第9回こどもまつり
劇やダンス、キャンドルサービスに100人超の子ども達の笑顔

12月8日土曜日、冬晴れの午後、第9回こども冬まつりが東葛看護学校の体育館で開催されました。2012年の冬まつりも100名を超える元気な子どもと、保護者が参加しました。

昨年よりもプログラム数を増やして、健康まつりにも参加した「はもともフォーク村」や、初石耳鼻咽喉科の仲秋先生など病院外部からも参加していただきました。

劇にダンスにキャンドルサービスなどなど、参加型のプログラムも多く、少しでも子どもたちに楽しい思い出が残るようなものにと企画しました。

今回は子どもたちの写真をいれたカード、風船、駄菓子、ジュース、クッキーなどお土産も用意しました。半日ではありましたが、いつもは具合が悪くなって来る病院で一足早い楽しいクリスマス気分を味わってもらえたと思います。

次回のこども冬まつりも楽しい企画をたくさん計画していきたいと思います。
参加してくれた子どもたち、楽しかったかな?
次回も健康で元気にお会いできることを楽しみにしています。

キャンドルサービスでのドレス姿の子ども達と職員

キャンドルサービスでのドレス姿の子ども達と職員

子ども達とダンスする看護師

子ども達とダンスする看護師

東京勤医会・東葛看護専門学校ナーシングセレモニー
ナースへの道決意新たに
緊張の面持ちで整列1科18期生

緊張の面持ちで整列1科18期生

2012年11月17日、第18回ナーシングセレモニーが行われました。看護第18期生は2012年4月に看護師を目指し、入学した現役と社会人経験者半々の42名のクラスです。

机上学習、看護技術演習、そして「患者とは何か!」を目標に実習を2回重ね、「看護師になる」ことをあらためて決意する場となりました。

ナーシングセレモニーに寄せられた祝辞、メッセージを通し、全国からの激励や支援の大きさをかみしめて、基礎Ⅱ実習に向かっています。

放射線被ばく問題学習会
助けを求める被爆者、今も夢に
講演を行う肥田 舜太郎医師

講演を行う肥田 舜太郎医師

肥田舜太郎医師は軍医として往診先で被爆。原爆当日、会う人は皮膚が焼けただれ、性別も判らない中、死亡判定をしました。3日後、焼けた顔、目や口唇は腫れあがり、鼻はなく口腔内は悪臭、生きながら腐り・・。今でも夢を見ると言います。苦しんでいる人が「助けてくれ」と睨んだ顔を。

被爆の惨状をリアルに語り、核抑止論を打ち破るには日米両政府が隠し続ける内部被ばく、低線量被爆問題を明らかにし、即脱原発の運動の緊急性も訴えました。

2013年巳年 蛇さんから年賀状
2013年巳年 蛇さんから年賀状

未来を担う子ども達のために、健康で安心して暮らせる平和な社会を残してあげたいものです。
イラストは、松戸市のゆいまーる風子(ペンネーム)さん

東葛病院・付属診療所の医療活動(2012年11月分)
付属診療所1日平均外来患者数 939人
東葛病院 1日平均救急・夜間外来患者数 48人
1日平均入院患者数 291人
手術件数 102件
主な検査 血管造影 24件
内視鏡 522件
CT 816件
MRI 257件
心電図 813件
腹部エコー 440件
心エコー 271件
救急患者数 1452件
内 救急車搬入件数 200件

掲載日:2013年1月1日/更新日:2024年10月25日

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