東葛の健康 No.340(2012年11月号)

第24回とうかつ健康まつり開催!
「健康づくりの輪を広げよう!」小雨の中、1600人が集う
10月7日、小雨降る中で第24回とうかつ健康まつりが、予定時刻から30分遅れて10時半から開催され、1600人が参加しました。
開会宣言は職員家族の漆原果歩ちゃん5歳が元気に行い、主催者を代表して民主商工会会長の井沢秀年実行委員長があいさつしました。

午前中雨が降り続いたため、開会セレモニーの「吉川一風太鼓」が残念ながら中止になり、午前の舞台は年金者組合の「花笠音頭」で幕を開けました。続いてインドネシア舞踊やハモトモフォーク村の楽しい演奏が行われ、会場の参加者が見入っていました

会場ではBGMが流れる中、焼きそばや焼き鳥、フランクフルトなど40数店舗の模擬店がならび、参加者は買い物や飲食に歩きまわりました。

午後1時に雨もあがって、青空と太陽も顔を出し気温も上がり、東葛病院の入院患者さんが看護師やセラピストと一緒に訪れ、会場は来場した患者さんに模擬店の職員が声を掛け合うなど、にぎわいました。

友の会の呼びかけに入会者8人

午後の舞台では、東葛健康友の会事務局が「入会の勧め」をコントで紹介し、当日会場での入会者は8人になりました。続いて新婦人フラダンス「小組ティアレ」、東葛合唱団「はるかぜ」が合唱を行いました。

新病院建設に向けご支援を

最後に舞台を締めくくるのは、恒例の医局による舞台劇「子連れ狼VS悪代官」。新病院建設をめぐり、カジノ建設をもくろむ悪代官と戦う子連れ狼の名演技に、会場からは笑いと拍手喝采でした。

お主も、悪よのぉ~

お主も、悪よのぉ~

ご存知?!子連れ狼!

ご存知?!子連れ狼!


閉会あいさつは今年入職した西岡大輔医師が行い、健康まつりを締めくくりました。
新病院建設に向けて地域のみなさんのよりいっそうのご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

舞台は大成功!!

舞台は大成功!!

東葛病院の医療【チームで取り組む】
東葛病院の感染対策チーム ~全ての方を院内感染から守るために~

感染管理認定看護師 小池 美穂

病院や診療所などの医療施設には「感染症にかかった患者さん」と「感染症にかかりやすい患者さん」がいます。また、面会に来院される方、多くの職員や実習生、外部業者など多くの人が出入りしています。

こうした全ての方々を院内感染から守るために、感染対策チーム(ICT)が活動しています。ICTは医師や看護師、薬剤師、臨床検査技師で構成する事務局と、各職場から選出されたICTリンクスタッフで構成されています。

活動内容は、感染防止に関する教育や啓蒙、院内で発生している感染症の調査や対策に関するアドバイス、職員のワクチン接種などの健康管理、抗生剤の使用状況の監視(薬剤耐性菌を発生させないため)、環境の整備、など多岐に渡ります。

また、近年の薬剤耐性菌の蔓延などに伴い、地域ぐるみで感染防止活動を行うことが求められています。東葛病院は初石病院とみさと協立病院と連携し、情報を共有し意見交換を行っています。また、松戸市立病院と相互チェックを行い、さらに感染防止対策を強化していきます。

インフルエンザやウィルス性胃腸炎などが流行する季節の到来に伴い、診療所や病院にはこうした病気に罹った多くの患者さんが来院されます。「病院に行ったら病気をもらった」などということがないように、病院をでる時や帰宅した時には念入りに手を洗う、マスクなしで咳をしている人には近づかない、などを心がけて下さい。アルコール性の手指消毒薬はインフルエンザに有効です。

救急外来にて、感染対策の環境を調べる東葛病院感染対策チーム。

救急外来にて、感染対策の環境を調べる
東葛病院感染対策チーム。

一方、咳や鼻水、発熱などの症状で来院される方はぜひマスクを着用して下さい(付属診療所と病院にはマスクの自動販売機もありますのでご利用ください)。

また、下痢や嘔吐がある方はトイレの後、念入りに手を洗うことで周囲へのウィルスや菌の付着を防ぐことができます。

これからもICTを中心に院内感染を防ぐための活動を推進していきたいと思います。みなさんのご理解とご協力をよろしくお願いします。

注釈:(ICT=インフェクション・コントロール・チーム)

シリーズけんさ75
肺機能検査②
臨床検査技師 鈴木 槙子

臨床検査技師 鈴木 槙子

今回も前回に引き続いて肺機能検査についての話です。今回は肺拡散能と機能的残気量について説明します。これらの検査は肺活量やフローボリュームの検査に加えて行い、詳しく肺の様子を調べます。個人差はありますが、検査時間は30分程度です。

肺に入った空気はどこにいくと思いますか?私たちが吸った空気は肺に入り、辿り着く先が肺胞と呼ばれるところです。私たちはその肺胞で吸った空気を体の中に取り込んでいます。肺拡散能の検査では、吸った空気が肺胞からどれだけ体の中に入りやすいか(ガス交換の機能)をみていきます。

また、機能的残気量の検査では、完全に息を吐き切った時にどれだけの量の空気が肺の中に残っているかを調べます。残っている量はガス交換と深く関係しているので、この量を調べることで空気の交換のしやすさを知ることができます。

以上の検査で、ガスの交換が正常に行われているかを知るだけでなく、吸った空気が体に入りづらくなる肺気腫や、肺が硬くなる肺線維症といった呼吸器疾患がないかを調べることができます。

前回お話しした肺活量とフローボリュームも含め、肺機能検査は、痛い検査や危険な検査ではありませんが、頑張って吸ったり吐いたりしてもらうため、多少苦しい検査になります。みなさんに精一杯努力してもらうことで意味を成す検査です。何度も行うと大変ですので、できるだけ少ない回数で終われるように、検査の時には私たち技師の掛け声に合わせて一緒に頑張りましょう!

歯科コーナー 「知っていました?」 <隔月掲載>
口腔ケアの重要性について ~ブラッシングで病気予防~
東葛歯科 歯科医師 伊藤喜久

東葛歯科 歯科医師
伊藤喜久

口腔は摂食や会話の機能を持つ器官であり、また呼吸の出入り口としての機能、非常に敏感で複雑な情報を感知する感覚器としての機能を兼ね備えています。
さらに口唇とその周囲をつかさどる筋肉は、人間の感情や意志を表出し、相手にメッセージとして伝え、またボディイメージにも深く関与しています。
このような多様な機能を持つ口腔を対象とする口腔ケアの大切さは以前より言われてきましたが、近年その重要性がますます注目されています。

従来、口腔ケアは口腔内感染症の予防に限定されていました。しかし、口腔内細菌によって誤嚥性肺炎、人工呼吸器関連肺炎が引き起こされ、さらに心血管系疾患、糖尿病、低体重児出産にも影響を及ぼすという研究から、口腔ケアの意義が高まりました。

口腔ケアは、広義には口腔の持つあらゆる機能の保持、増進、回復への支援ということができます。
よって、その内容には様々な方法がありますが、ここではとくに重要なブラッシングについて取り上げます。

ブラッシングの大切さは、抗てんかん薬により生じる歯肉増殖症への処置として注目されました。今では抗てんかん薬だけでなく、免疫抑制剤、カルシウム拮抗剤による歯肉増殖症の予防、さらに放射線治療を受けるがん患者、膠原病や膠原病類縁疾患の患者さんなどの感染症予防になります。また近年では口腔内細菌の一種である歯周病原性細菌や腸管内のグラム陰性菌がつくる内毒素が、肥満の原因の一つとなり糖尿病を誘発すると言われ、その予防にもブラッシングの徹底が推奨されています。

正しいブラッシング法としては、バス法あるいはスクラビング法があり、簡単に図にしてみました。

バス法

バス法
歯面に対し、45度に歯ブラシをあてて、小刻みに動かす。

スクラビング法

スクラビング法
歯ブラシを直角にあてて、全体を数ミリずつずらす。

チェルノブイリ原発の現在を視察 ~今なお続く、健康被害~
医師 土谷良樹

医師 土谷 良樹

東葛地域がホットスポットとして有名になり、早1年半。しかし、一体どんな影響が出るのか、どうやって防護すればいいのか、医療機関として何をするべきなのか、暗中模索状態で、具体的な行動が行えていませんでした。そんな中、全日本民医連が企画した視察に、東葛病院の代表として参加しました。

チェルノブイリ原発の事故からすでに26年が経過しています。大変な26年間だったのだろうと思い、その後どのようなことが起こり、どのように対応したのか、過去の話を聞いてくるつもりで参加してきました。ところが、高線量地域(30km圏及びその他の高汚染地域)は今でも人が住めず、低汚染地域(年間被曝量1~5mSv:流山市と同等程度)では、今まさに甲状腺癌、心筋梗塞などの心臓血管病、免疫不全などの様々な病気が(ウクライナでは20の疾患が放射線障害として認定されている)増加し続けていることがわかりました。

子どもの8割に慢性疾患と障害

特に、事故当時に子どもだった被災者たちは、親の世代になっているのですが、生まれた子どもたちの状況が著しくひどくて唖然としました。幼い子どもの8割前後が慢性疾患や障害を抱えており、本当に元気な子供は1.2%しかいない、と言われた時には、すぐには信じることができませんでした。

爆発した4号炉「石棺」から300mの地点(10μSv/h)で

爆発した4号炉「石棺」から
300mの地点(10μSv/h)で

ウクライナの失業率は公式には9%程度と報告されていますが、実際には40%近いとも言われています。高価な市場の野菜を買うことができず、汚染がわかっている自家栽培の野菜や森のキノコ、野いちごを毎日のように食べているのです。食事や水などから内部被曝を受け、その被害が拡大し続けていました。子どもたちを放射線障害から守るためには、放射性物質を体内に入れないように、安全な食物を食べなければいけません。ウクライナでは野生のキノコや動物は26年たっても高汚染物質なのです。

定期健診で放射線障害の管理を

また、定期的に健康診断を受けることも大切です。甲状腺癌はもちろん、心臓病、脳卒中、皮膚炎、精神障害など、あらゆる異常が増加する可能性があります。

民医連は、これらの放射線による障害を受けた可能性がある人の健康診断を行なう事を決めました。東葛病院でも実施していきます。特に若い世代の人々を、しっかり診ていくつもりなので、ぜひご協力ください。できるだけ、安心して過ごせる流山にしていきましょう。

10.17国民大集会 ~命守れ全国から4千人~

10月17日午後1時から日比谷野外音楽堂で、「いのち・生活・安全をまもる10.17集会」が開かれ、全国から約4000人が参加しました。

4千人のシュプレヒコール

4千人のシュプレヒコール

集会では、医療、介護現場での問題を告発し、改善を訴えました。集会後、小雨降る中参加者は東京駅までパレードを行い、「憲法を活かした住民本位の震災復興を」など6つの要求を掲げアピールしました。

病院から参加した管理栄養士の西田綾佳さんは、出身地青森県の発言者に心を寄せ、「大間原発建設再開に反対ですが、地元の雇用問題は深刻なので、我慢している人もいます。原発に頼らずに、雇用問題を考えてほしい」と語りました。

東葛病院・付属診療所の医療活動(2012年9月分)
付属診療所1日平均外来患者数 831人
東葛病院 1日平均救急・夜間外来患者数 49人
1日平均入院患者数 306人
手術件数 90件
主な検査 血管造影 21件
内視鏡 463件
CT 856件
MRI 250件
心電図 748件
腹部エコー 436件
心エコー 293件
救急患者数 1480件
内 救急車搬入件数 216件

掲載日:2012年11月1日/更新日:2024年10月25日

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