東葛の健康 No.387(2016年11月号)

患者さんと、一緒につくる医療 – 東葛の医療 薬剤
「賢い患者になろう」とは

今年5月に出た「週刊現代」の特集記事「医者に出されても飲み続けてはいけない薬」以来、手術や薬の危険性を取り上げる週刊誌の記事が気になります。不安な思いをかき立てられても、診察の場では質問できない患者さんがおられるのではないでしょうか。
薬には副作用がつきものです。たしかに、週刊誌が追及するような「薬漬け」も、存在します。しかし、「医者に言われても断った方がいい」として、不信感をあおることは問題があると考えます。患者さんといっしょにつくる医療についてお話しましょう。

治療は共同作業

私たちは、安全で有効な治療のために研鑚を積み、よい治療法を選んでいます。
しかし、治療を受ける患者さん本人が納得できなければ、治療は成功しません。患者さんが、治療を専門家に任せきるのではなく、不安に思うことも口に出さなければ、医師には伝わりません。
危険だと思い、黙って薬を飲むのをやめることは、治療効果が無かったと主治医に錯覚させます。その結果、もっと強い治療法を受けることになってしまいます。また、飲まない薬を受け取り続けることは、医療費の無駄遣いになっています。
共同作業は、お互いにコミュニケーションを良くする努力が必要です。
「賢い患者になろう」と提唱する「NPO法人ささえあい医療人権センターCOML」がまとめた「新・医者にかかる10箇条」を紹介します。

ここから始めよう

患者さんの状況が伝われば、もっと良い治療法を選べるようになります。
すぐに、10箇条を実践することは難しいと思います。そこで、(1)メモの作成、(2)他の人に話してみる、の2点から始めて見てはいかがでしょう。
自分の症状経過と、治療目標を箇条書きにしてまとめる事で、自分の病気について理解を深めることができます。また、家族や親しい友人にその内容を話してみることで、話の伝えかたを練習できます。
「東葛健康友の会」や疾病別の患者会など、患者同士で話してみるのも良い方法です。
※(株)外苑企画商事地域連携室室長。健康講座で薬とサプリメントの賢い使い方に関する講師をしています。薬害防止の活動を続けてきました。

患者さんと、一緒につくる医療

新・医者にかかる10箇条

  1. 伝えたいことはメモして準備
  2. 対話の始まりはあいさつから
  3. よりよい関係づくりはあなたにも責任が
  4. 自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
  5. これからの見通しを聞きましょう
  6. その後の変化も伝える努力を
  7. 大事なことはメモをとって確認
  8. 納得できないことは何度でも質問を
  9. 医療にも不確実なことや限界がある
  10. 治療方法を決めるのはあなたです

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML

薬剤師 藤竿 伊知郎

子育て応援コラムKids’n Baby’s(きっずんべいび~ず)
「秋!落ち葉!ワクワク」 – 子どもの感性が育つこの季節
秋の公園

秋といえば食欲の秋・読書の秋・芸術の秋。そして秋は子どもの感性が育つワクワク季節。さわやかな秋の風を感じながらのお散歩は最高!公園や木がたくさんあるところに行けばおもしろ自然遊びの落ち葉がいっぱい。落ち葉の上を歩けば、カサカサ・ガサガサ・バリバリ…色々な音を楽しめます。
落ち葉で山を作って座ればふわふわ山。落ち葉を手に持って上からパラパラ降らせば落ち葉シャワー。大きな落ち葉を見つけ穴を開ければ茶色のお面。色々な形の落ち葉を見つけ観察するのも楽しい。秋が深まり寒くなると葉のあたたかさも実感します。秋ならではの遊びに触れ子ども達の豊かな感性を育みたいですね。お弁当やおやつを持って公園などにピクニックに行ってみませんか?新しい秋を見つけられるかもしれませんよ。

院内保育 おひさま保育園保育士 村越 ルミ

シリーズけんさ109【血液検査⑧】

検査課 星野 久美 臨床検査技師

《血中脂質の種類》コレステロール

脂質は体に必要な栄養素の一つです。
血液中に含まれる脂質は主にコレステロールと中性脂肪です。これらの項目に異常があるとき脂質異常症が疑われます。しかし自覚症状はほとんどなく、気づかずに放置すると動脈硬化、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めることになります。

コレステロールなどがたまった血管の内壁コレステロールなどが
たまった血管の内壁

《血中脂質の種類》コレステロール

細胞の膜やホルモンの材料となっています。

HDLコレステロール

全身のコレステロールを回収して肝臓に運び、動脈硬化を予防する働きを持っています。善玉コレステロールとも呼ばれます。

LDLコレステロール

肝臓で作られたコレステロールを全身に運びます。量が多いと血管壁にへばりつき、動脈硬化を引き起こします。悪玉コレステロールとも呼ばれます。

総コレステロール

HDLやLDLなどに含まれるコレステロールの総量を測定したものです。

中性脂肪

体内のエネルギー源として使われます。余った分は皮下脂肪に代わり体温の保持、体を守るクッションとしても働きます。
しかし増えすぎると肥満、脂肪肝等の原因になり、悪玉コレステロールの増加につながるため、動脈硬化を進めます。食後、アルコール摂取後には値が上昇します。
脂質異常症及びそれに伴う合併症を予防するためにも、検査を定期的に受けて値を把握し、生活習慣を改善していく事が大切です。

基準値
  • HDLコレステロール 40~95mg/dL
  • LDLコレステロール 70~139mg/dL
  • 総コレステロール 140~219mg/dL
  • 中性脂肪 50~149mg/dL

クスリ あ・れ・こ・れ<隔月掲載>麻疹について
ワクチンの予防接種

薬剤部 勇内山 英暢 薬剤師

スクウェルのサイトより
スクウェルのサイトより

麻疹とは?

麻疹とは、麻疹ウイルスへの感染により湿疹や発熱を引き起こす感染症です。麻疹ウイルスは、感染する力が強いため、ウイルスに対する免疫がなければ、高い確率で感染してしまいます。さらに、麻疹ウイルスへ感染することにより肺炎や中耳炎などの合併症を引き起こす可能性もあります。
日本は、2015年3月に世界保健機構(WHO)から日本由来の麻疹ウイルスが存在しない事を認められました。要因は、ワクチンの普及にあります。しかし、海外から持ち込まれた麻疹ウイルスによって麻疹が発生しています。
2016年には全国で麻疹に感染している患者が確認されており、千葉県では22例(10/12現在)が報告されています。

麻疹の対処法は?

麻疹ウイルスに感染した場合の治療薬はありません。そのため、発熱には解熱剤、咳には咳止めといった症状に合わせて治療する対症療法が行なわれます。麻疹の発症を防ぐ唯一の方法はワクチンの予防接種です。
麻疹・風疹混合ワクチンは、2回の定期接種(1歳時と小学校入学前1年間)が必要です。2回接種することで、麻疹ウイルスに対する免疫を維持することができます。ワクチンの副作用は、主に発熱や発疹です。

予防接種について

現在、東葛病院では予防接種の受付を行っていますが、ワクチンが供給困難の状況でご迷惑をおかけしています。しかし順番に接種を行っておりますので、予防接種を希望する場合には病院までお問い合わせをお願いします。

たくさん笑顔を頂いて
責任者 柳田月見責任者 柳田 月見

東葛病院では医療活動の充実をはかるために、病院のボランティア活動に協力して下さる方を募集しています。リハビリテーション課ではリハビリ患者さんの車いす移動のお手伝いやトレーニング中の声かけなどをして頂き、たくさんの笑顔をいただいています。新しい東葛病院では来院された方がスムーズに利用できるように、院内の道先案内役のお手伝いをして下さる方や、小児科での子どもの見守りのお手伝い、緩和ケア病棟の茶話会などで、お茶の準備などのお手伝いをして下さる方も募集しています。短時間でも参加していただける方、大歓迎です。
(ボランティアに関するお問い合わせは患者サポートセンター柳田まで)

ボランティア講習。車倚子の操作ボランティア講習。車倚子の操作

健康友の会仲間ふやし月間 10月~12月
「友の会」への入会は人とのつながりのパスポート
事務局長 藤井 基博事務局長 藤井 基博

東葛病院は、患者さん・職員・地域住民の健康水準の向上をめざして、WHOのHPHネットワークに加盟しています。
「人とのつながりがある」ことは、健康でいられることの1つの要因であることが、明らかになっています。人とのつながりがあることで、地域のコミュニティのなかで役割ができ、幸福感や満足度などの気持ちが高まり、体も健康でいられるのです。
東葛病院のHPH活動は、東葛健康友の会とともに、まちかど相談や健康講座などさまざまな地域での取り組みを展開しています。「東葛健康友の会」へのご入会は、この「人とのつながり」のパスポートです。どうぞ、この機会に、地域の仲間づくりのきっかけとして、「東葛健康友の会」にご入会ください。  HPH委員会事務局

流山社保協のいのちと健康を守る取組み

子どもの6人に一人が貧困と言われる今、ある母子家庭で「夏休みに入ると学校給食が無く、子どものお米が足りない」という訴えに流山社保協は、「ご家庭の食品などのご提供のお願い」を本紙でも呼掛け、生活困窮家庭への食糧支援を行いました。
「今の時代にそんなことがあるとは」と、地域の元自治会長、友の会幹事さん、職員からもたくさんの支援が寄せられました。外来看護師長が米60㎏や8㎏の乾麺を電車で4回に分けて届けてくれた看護師も現れました。多古町農民連からも米250㎏。総量で500㎏に達し、「子ども食堂」や11の世帯に21回支援を行いました。届け先では「宝くじに当たったようだ」と感謝の声。ご飯を欲しがる子どもに我慢を強いる社会。いま、格差が拡大する中で、学費に困る家庭には防衛大学の奨学金をすすめるといったまさに経済的徴兵制ともいえる国づくりが安倍政権のねらいですすめられています。今が正念場です。平和で誰もが安心して住み続けられるまちづくり。皆様のご支援に心から感謝いたします。

流山社保協に寄せられたお米や乾麺流山社保協に寄せられたお米や乾麺

流山社保協事務局長 山縣 良一

東葛病院の医療を良くする委員会報告
あなたの声から
寄せられた声
1階から2階に向かう病院階段の手すりが片方しかなく、また通行の区分も無いため人とぶつかりそうで危ない。
対応と対策
ご迷惑をお掛けしました。階段両側に手すりを設置する方向で検討いたします。今しばらくお待ちください。
寄せられた声
家族が入院をしている。「面会時間外」で来院したが、面会の受付と病棟で対応が違った。
対応と対策
不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。新病院にあたり、ご家族であっても「面談」「カンファレンス」「入院必要物品の持参」等の理由が無い限り、時間外の面会はご遠慮いただいております(一部病棟をのぞく)。再度職員の周知を図りますとともに、ご家族には面会時間をお守りいただきますようお願いいたします。

●病院・駅前診療所へのご意見ご要望は、病院入口横の用紙で、同ポストへ投函して下さい。

東葛病院、駅前診療所、付属診療所(下花輪)の医療活動 (2016年9月分)
駅前診療所 1日平均外来患者数 145人
付属診療所 1日平均外来患者数 29人
東葛病院 1日平均外来患者数 536人
1日平均救急・夜間外来患者数 54人
1日平均入院患者数 306人
手術件数 115件
主な検査 血管造影 26件
内視鏡 612件
CT 1,097件
MRI 354件
心電図 1,089件
腹部エコー 509件
心エコー 313件
救急患者数 1,613件
内 救急車搬入件数 238件

掲載日:2016年11月1日/更新日:2024年10月25日

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