東葛の健康 No.400(2017年12月号)

無差別平等の医療介護の実践 – 東葛病院の医療 民医連方針
医療介護改善の運動も大切

東葛病院が加盟する全日本民主医療連合会(全日本民医連)は、2年間を一区切りにその時期の国の動きや医療の情勢から「方針」を立て、その目標の実現に向かって46都道府県1800強の加盟医療機関・事業所等が努力している組織です。第42期全日本民医連方針は、①貧困と格差、超高齢社会に立ち向かう無差別平等の医療介護の実践 ②安全、倫理、共同の営みを軸とした総合的な医療・介護の質の向上 が2つの柱です。2017年12月を迎え、この方針の視点で東葛病院井上均院長が話します。(編集部)

おおたかの森ナーサリースクールから「勤労感謝」の花の贈呈です

おおたかの森ナーサリースクールから
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無差別平等の医療介護

皆さんこんにちは、東葛病院の院長の井上です。日頃からの病院や診療所へのご支援をありがとうございます。こころよりお礼申し上げます。
東葛病院も新築移転をして1年半が過ぎました。外来、入院とも多くの方に利用していただいており、この地に必要な病院なんだとひしひしと感じる毎日です。
いつもアピールさせていただいていますが、私たちは、一人ひとりの人権を守る、無差別平等の医療介護を目指し実践しています。そのそのうえで断らない医療は当然のこととなります。
読者の皆さんだけではなく、地域で困っている方がいらっしゃれば、東葛病院に相談するよう声をかけていただきたいと考えています。


総合的な医療の提供

また、私たちは地域の方々がどんな時でも利用しやすいように、総合的な医療の提供を目指しています。こまったらまず東葛病院へ!これが地域で当たり前になることを望んでいます。当然、超専門医療まではなかなか難しいです、それは近隣の専門病院との連携で皆さんに適切なアドバイスをさせていただきます。また、地域の開業医の先生方ともしっかり連携をして、日頃は自宅近くの医院の先生にかかってもらい、困ったことが生じたら主治医から東葛病院へ紹介していただく、解決したらまた医院に戻ってもらう、こういう流れがスムーズにとれるようにしたいと考えています。

本当の地域包括ケアとは

さて、これから、高齢化社会にむけて、地域包括ケアシステムが作られますが、その要に地域医療を担う病院がなると思います。私たちは、無差別平等の地域包括ケアが必要であり、そのためには公的なサービスが充実する必要があると思っています。一方で国は、「我が事・丸ごと」地域共生社会と謳い、丸ごと地域や住民に押し付ける姿勢です。
一見微笑ましい良い考えのように見える部分もありますが、現実の社会において、必死で働かなくては生きていけない、それでも食べる事もギリギリの人が増え続けている中で、国が言うように、自助共助だけで協力し合って頑張れる人は本当にいるでしょうか。さらには、丸ごと丸投げでは、営利企業の温床になる危険性も考えられ、システムからはみ出して取り残される人がたくさん出てくることが危惧されます。

病院経営の困難さ

システムの要となる病院は経営が大変な状況です。社会福祉費がどんどん減らされていく中、診療報酬もさらに減額され、病院も患者から余計にお金を取り立てないとやっていけない仕組みになってきています。自由診療の解禁や差額室料の無制限化がその一部です。一病院だけの力ではとても地域で困っている人にまで手は出せない状況です。

国の在り方

私たち民医連は、国や自治体がしっかりかかわって、本当に助けが必要な人々がはじき出されない地域包括ケアシステムの構築を目指しています。そしてその要になる地域の病院は、私たちのように無差別平等の医療介護が実践できるように、そこにも公的援助が必要であると訴えたいと思います。
今の新自由主義の政治のもとにおいては、まともな地域包括ケアシステムは作れないと思います。
やはり、国のありかた、医療や福祉への国の姿勢を正していくことが必要です。皆さん引き続き、平和や人権を守る運動を進めると同時に、医療や介護の在り方にも注視して改善の運動を進めていきましょう。

子育て応援コラムKids’n Baby’s(きっずんべいび~ず)
イクメンブルーをご存知ですか?

東葛病院産婦人科看護師長 江藤 ちひろ

イクメンとは「子育てする男性」の略語です。単に育児中の男性というよりはむしろ積極的に子育てを楽しみ、自らも成長しようとする男性を指します。マタニティブルーという言葉は浸透していますが、イクメンブルー?どういう事でしょう。
妊婦健診やマタニティクラスに積極的に参加される方が当院でも増えています。産後、パパはママをいたわり炊事・洗濯・買い物などを進んで行います。ママが喜ぶのでますます頑張ります。しかし暫くするとパパは頑張るエネルギーがなくなります。それでも「もっと頑張らなきゃ」と無理をすることで眠れない・辛いという心身の不調に繋がる、これがイクメンブルーです。なぜイクメンブルーが起こるのでしょう。
私達の健康には活動と休息のバランスが不可欠です。パパが子育てを楽しみたい!と思ってもパパが夕方6時に帰宅できる状況でしょうか?平日夜遅くまで働き、寝る時間を惜しんで家事を行い、休日は家族でピクニックとなるとパパは休息の時間がありません。更に「男らしく」と育てられたパパはママに辛いと言うことができません。このように子育て中のブルーは男女関係なく起こるのです。根本的な解決は社会の仕組みを変えることですが、時間もかかるし個人ではできません。
子育てを楽しむ仲間や支える仲間を作ることはすぐにでも行動に移せます。
東葛病院はその仲間づくりを地域の皆さんと行います。パパやママが笑顔で子育てできる街を目指していきましょう!

クスリ あ・れ・こ・れ<隔月掲載>
「カフェインの摂り過ぎに注意しましょう」

薬剤師 岡田 まさ子

今年7月、日本中毒学会が発表したカフェイン中毒の調査報告が報道されました。
眠気防止薬(主成分カフェイン)やエナジードリンク(カフェインを多く含む清涼飲料水)の急性中毒で2011年度から5年間で101人が病院に運ばれ、うち3人が死亡し、搬送された人の平均年齢25歳との報告がありました。
カフェインは適量であれば、集中力を高め、疲労をやわらげ、眠気を覚ますなどの効果があります。しかし、摂り過ぎると不眠や不安、めまいや心拍数の増加、興奮、ふるえ、下痢や吐き気をもたらす事があります。短時間に1000㎎、体質により200~300㎎で中毒症状が起きる可能性があると言われています。
日本では、食品中のカフェイン摂取量に関して国は明確な基準を設けていません。
欧州食品安全機関(EFSA)では、健康な大人は1日当たり400㎎まで、妊婦および授乳婦は1日当たり200㎎まで、子供の1日量は体重1kgあたり3㎎以下と設定しています。
〈参考〉カフェインの含有量は、エナジードリンク(32~300㎎/100ml)コーヒー(60㎎/100ml)せん茶(20㎎/100ml)紅茶(30㎎/100ml)
かぜ薬や鼻炎薬にはカフェインが配合されているものもありますので、カフェイン含有の飲料と一緒に飲まないよう注意してください。
カフェインの摂り過ぎは、中毒や、命を落とす危険性があることを認識し、適切な量で上手くつきあっていきましょう。

介護の手募集

8月1日看多機「いちごいちえ」がスタートしました。現在利用者様も増え、送迎・調理・入浴の時間帯に職員の業務が集中するため、見守りや介護の手が不足しています。
「その人らしさ」を大切にするいちごいちえで一緒に働きませんか。

業務内容‥買物・調理・配膳・片付・トイレ介助・おむつ交換・入浴介助など
時間‥①8時~16時 ②8時30分~16時30分 ③10時~18時 ④12時~20時 ⑤16時30分~翌9時30分(夜勤)
職種‥(非常勤)ヘルパー1級、2級、介護職初任者研修終了者、介護福祉士
賃金‥ヘルパー等‥時給1,000円、介護福祉士時給1,040円~2,000円
連絡先‥いちごいちえ採用係 04-7158-8539 090-5194-6701 担当‥二階堂、大平(おおひら)

世界糖尿病デー
東葛企画に70名の参加で大盛況!
入江医師の講義は毎年好評

入江医師の講義は毎年好評

インスリンの働きを発見したカナダのバンティング博士の誕生日11月14日は、国連が認定した世界糖尿病デーです。東葛病院糖尿病グループは今年度も血糖測定、薬・栄養相談、血管年齢、フイットケアと患者さんとご家族に毎年好評な企画を10日に行いました。この催しに総勢70名が参加しました。入江俊一郎医師の「糖尿病のお話」は最新のデータを用い飽きさせません。「自覚症状のない病気、日本人だけでなく世界的病気になっています」。講義が始まると用意した椅子では足りないほどの参加者が耳を傾けました。
自己血糖測定コーナーでは「これは患者さんが自分で血糖を測る機械です」と藤浪看護師、隣では寺門看護師がHbA1cの説明をしています。動脈硬化を調べる血管年令を戸張検査技師が担当し、丁寧な説明をしています。
毎年大好評の「足を毎日観察しよう」コーナーでは足浴と足の爪切りが行われています。「お風呂に入っている時、血行が良くなるのでマッサージするとさらに良いですよ」と齋藤看護師がアドバイスを送ります。
足浴を担当した矢口看護師は「昨年、爪の切り方をご指導した方が今年も参加され、アドバイス通りに爪切りをされた足を指し、きれいになったでしょうと言われ大変感動した」と話してくれました。(編集部)

いのちと人権の現場から
ゆるぎなく辺野古の基地に 座り込むオジイ・オバアは1159日

2016年7月の参議院選挙翌朝、安倍政権は突然沖縄県高江に建設資材の搬入を開始、全国から機動隊員を動員して非暴力で抗議する住民を強制的に排除、ヘリパッドの建設工事を強行しました。2017年衆議院選挙の2週間後、またもや安倍政権と沖縄防衛局は新たな護岸2か所の造成工事に着手しています。
東葛病院と加盟する全日本民医連は、沖縄県民と連帯しこの違法で県民の合意さえない新基地建設の即時中止を求めて現地・辺野古で粘り強く座りこみ行動を続ける沖縄の仲間を支援するため、これまで通り非暴力の抗議行動を行っています。
今回はこの9月に全日本民医連の呼びかけに応え、支援をおこなった東京勤医会あびこ診療所の健康友の会のみなさんに寄稿していただきました。

テント前には抗議行動日数が

テント前には抗議行動日数が

共同組織の拡大が沖縄の支援につながる

会長 高橋 征二

沖縄空港に着いたときその特有の空気と雰囲気に沖縄を実感しました。辺野古の基地反対テントでは大勢の支援の人が。各地区からの人たちや各団体からの訴えは運動に参加する真剣さに満ちていました。同じ思いの共同組織を大きくすることが沖縄の支援につながると確信して帰路につきました。

厳しい状況の中にも心の安らぎが

副会長 田村 保

辺野古にむかう途中高速道路を走ると両側に鉄条網のフェンスが長々と続き、米軍基地の占める敷地の大きさに圧倒されました。基地反対のテントでは毎日座り込みを続ける現地の方、全国からの支援者が沖縄の歌や踊りで盛り上がり、厳しい状況の中でも心安らぐ時間を作ってくれました。大浦湾の見学では巨大クレーンの異様さはまさに不当な工事を表していました。基地建設阻止まで私もがんばります。

米兵を見て無性に腹が立ち膝がふるえた

事務局長 上村 和子

あびこ友の会幹事会からカンパとともに「友の会」のシンボルひまわりバッチも預かっての参加でした。米兵の立つキャンプシュワブゲートを見て無性に腹が立ち膝が震えました。支援者テントでは「子どもや孫に同じ体験をさせたくない」「基地が出来たら戦争がやってくる」と、早朝からの資材搬入阻止のため座り込みを続ける人たちの頑張りに心から共鳴しました。美しい海を守るため人情豊かな人々の座り込み行動は1159日目を迎えていました。


東葛病院の医療を良くする委員会報告
あなたの声から
寄せられた意見
病院1階のトイレについてです。患者数に比べてトイレの数が足りないと思います。また体が不自由なので1階の多目的トイレを良く利用させてもらうのですが、荷物置きと物掛けフックがありません。たいへん不便です。
対応と対策
ご不便をおかけいたしました。ご迷惑をおかけいたしますが病院の構造上トイレの増設は現状できません。
多目的トイレにはご指摘を受け、物掛けフックを付けさせていただきました。

国保署名ご協力ください

11月6日 流山社保協(大野義一朗会長)は流山市国保課に保険料の引き下げ、国保法44条の一部負担金免除の周知など5項目の要望を行いました。市側は負担の公平性を持ち出しましたが、「皆さんも退職すれば国民健康保険に入るのですよ」に苦笑い。保険料滞納者は減免制度を知らないなど情報弱者。「母になるなら流山」の宣伝になぞらえ「命を守るなら流山」と訴えました。12月号の親聞には署名用紙が入っています。「9条改憲NO」署名と合わせてご協力をお願いします。

流山社保協事務局長 山縣 良一

祝 友の会会員1万人達成!

東葛病院・東葛健康友の会は今月も「仲間増やし月間」に取り組んでいます。先月念願の会員1万人に到達しました。大きな目標の達成をお知らせするとともに、今後とも、一層のご協力をお願いいたします。院長 井上 均

資金募集

東葛病院、駅前診療所、付属診療所(下花輪)の医療活動 (2017年10月分)
駅前診療所 1日平均外来患者数 150人
付属診療所 1日平均外来患者数 29人
東葛病院 1日平均外来患者数 647人
1日平均救急・夜間外来患者数 50人
1日平均入院患者数 313人
手術件数 124件
主な検査 血管造影 28件
内視鏡 811件
CT 1,108件
MRI 363件
心電図 1,093件
腹部エコー 531件
心エコー 349件
救急患者数 1,548人
内 救急車搬入件数 250件

掲載日:2017年12月1日/更新日:2024年10月25日

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