東葛の健康 No.369(2015年4月号)

東葛の介護【改定介護保険】
介護保険改定に備えよう~どうなる?介護保険制度のゆくえ

4月の改定で大きく舵を切った介護保険。認定を受けている方も、これから介護認定の申請準備されている方も心配なことと思います。「現在のサービスを継続する」は本当か、「利用料はどうなるの」など。介護の現場職員が答えます。(編集部)

介護認定を受ける

主任介護支援専門員 樋口 直樹

日本は全世帯のうち、約3世帯に1世帯が高齢者世帯であり、その3分の2の世帯が一人暮らしか夫婦のみの世帯です。「高齢者が高齢者を介護する」や「支え手がいない」という厳しい介護の情勢の中で、介護保険制度の活用はとても重要です。

4月からの制度改定で、認定申請をさせないしくみが示されています。特に生活障害の見えづらい軽度の認知症などが認定から漏れ、状態が悪化するまで気づかれないという事態も想定されます。介護認定の申請にこぎつけ、認定を受けることがなにより重要です。

認定は要支援1と2、要介護1~5と区分され、認定の程度により使えるサービスの量が変わり、利用料の違いも出てくる場合があります。ケアマネジャーを依頼し、必要なサービスを位置づけた「ケアプラン」を作成してからサービス開始です。ケアマネジャー(費用は無料)は、市や地域包括支援センターへ相談すると案内してくれます。

在宅訪問看護でのケア

改定の中身と問題点
事務長 宇留野 良太

事務長 宇留野 良太

4月から介護保険制度が大きく変わります。その概要は、要支援1・2の訪問介護と通所介護を保険対象外とし市町村事業へ移行、特養ホームへの入所を要介護3以上に限定、一定所得者以上の利用料負担を現行1割から2割へ、低所得者の施設入所に係る居住費・食費の負担軽減制度の縮小、そして介護保険料の大幅値上げというもので、総じて介護サービスの利用抑制と負担増となる中身です。
一方で、事業者に支払われる介護報酬は実質4.48%減の大幅引き下げとなりました。政府は、要介護者数がピークを迎える2025年に向けて、100万人の介護職員の増員が必要との見通しを示していますが、今回の未曾有の引き下げにより多くの事業者がかつてない経営難に陥ることは想像に難くありません。これにより将来の人材確保はもとより、現状の深刻な人手不足を更に悪化させ、事業所の閉鎖や廃業、新規参入の減少を招き、ひいては地域の介護基盤の崩壊につながるものです。

ひまわりの家小規模多機能施設の利用者

必要なものを上手な活用で
東葛歯科 野本 昌良 歯科医師

介護福祉事業部部長
大平 てる子

新しい総合事業とは

「全国どこでも同じサービスが受けられる」を謳い文句に15年前に始まった介護保険。今年4月の改定で「地域の実情に応じ…」と大きく舵がきられます。

介護保険を使うために必要な介護認定の申請も軽度と見られる方については、たった25項目のチェックリストで、市町村がおこなう「新しい総合事業」へ誘導し給付を抑えようとするのが今回改定のねらいです。

運用でのポイント

流山市は、サービス基盤やシステムの未整備からすぐに始めることはできませんが、今年度中には新たな運用が始まります。地域で、今住んでいる家で安心して暮らし続けるための必要なサービスが受けられるよう、困り事(介護面、経済面など)を出来るだけ具体的に相談し介護認定の申請へ結びつけましょう。
利用したい介護サービスを伝えることもポイントです。相談窓口や担当者を家族内で共有しておくと緊急対応が容易となります。一人暮らしの方は頼りにしている人に知らせておくとよいでしょう。
施設入所やショートステイの食費・居住費の減免要件も厳しくなります。「特例減額措置」の活用で負担軽減できる場合があります。この8月から減免が外されたり、ランク変更で負担増となる方は相談することをお奨めします。

真摯な援助者をつくる

特養の入所の範囲も要介護3以上とせばめられますが、次のような場合には要介護1、2でも特例的に入所が可能です。
①精神・知的障害等で地域生活が困難な場合
②認知症で常時見守りや介護が必要な方
③虐待が深刻なケース。

在宅介護では真摯に相談に乗ってくれる援助者かどうかが介護のゆくえを左右すると言っても過言ではありません。「制度改定で仕方ない」と諦めず、納得のいく説明が受けられない場合には市の窓口(介護支援課)でも対応してくれます。

東葛病院・通所リハビリテーション

歯科コーナー「知っていました?」<隔月掲載>
「いい歯のはなし」~ 歯は宝石以上の贈りもの

東葛歯科 歯科研修医 高橋 和義

歯は神様からの贈り物

ある日、お母さんがまだ幼い娘に言い聞かせていました。
「今日は歯医者さんで虫歯を治したんだけど、痛くなかったよ」
「そうだね、泣かないでよく頑張れたね。少し削って白い粘土を詰めてもらったんだよ」
「私もお母さんの奥歯みたいに金色のが良かったんだけどなぁ」
「その歯はもうすぐ生えかわるのよ、自分の健康な歯は神様からもらった宝石なんだよ」

歯は宝石以上の価値が

それは本当のことかもしれません。最近は根っこまですっかり失ってしまった一本の歯の代わりになるのは、入れ歯の他にはインプラントという方法があります。一本で手術から人工の歯が入るまで30万円くらいかかります。お母さんの金歯よりも高価で、成人で28本の歯があることを考えると合計金額を思えば、本当に宝石以上の価値があることに気づかされます。

人は誰でも生まれて来る時に、本当にきれいで汚れや虫歯のない宝石の歯をお母さんと神様から贈られているのです。それからの人生は永く、それらの歯をどうしてゆくのかは持ち主と環境に委ねられているのです。このことは歯科医師として改めて考えさせられるエピソードだと思いました。

子育て応援コラムKids’n Baby’s(きっずんべいび~ず)②
産後の体調不良について


産婦人科科長 根本 玲子

産婦人科科長 根本 玲子

気づかない体調変化

出産前後は女性にとって、ホルモンの急激な変化が起きるときです。特に産後、卵巣ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの低下で体調はいろいろ変化します。育児で忙しいと自分の体調の変化に気が付けないこともあるのではないでしょうか。

まわりに援助を求める

授乳による寝不足で疲れやすいと感じているかもしれませんが、低エストロゲン状態のために、疲れやすかったり、風邪が治りにくかったり、気持ちが沈みがちになったりもします。そういうときは育児を一人でかかえず、誰かに援助を求めることも必要です。夫や両親、兄弟姉妹、ファミリーサポートの方々など。当院では産後の母乳・育児相談外来があります。

心身の疲れ過ぎに注意

体や心が疲れた状態が続く事で逆に卵巣ホルモンの回復が遅れることもあります。そうなると悪循環になります。育児はすぐに終わるものではありません。長く続けるために、体調を整えることは自分だけでなく家族にとっても大切なことです。疲れ過ぎには注意しましょう。

場合によっては検査を

母乳哺育を続けていると産後1年以上月経が再開しないことがありますが、体調不良を伴っている時は産後の甲状腺疾患発症や下垂体機能異常のこともあるのでホルモン検査の受診をお勧めします。

役立つ情報
子どもがすくすく育ち、みんなで子育てできるまち流山市の「子育てサイト」をご存じですか。
https://www.city.nagareyama.chiba.jp/child/index.html
「子どもと母の健康を守るために」など情報満載です。
「流山 子育てサイト」で検索して見てください。

東葛健康友の会に年間1000人が入会
健康づくりのネットワークをみなさんとさらに


産婦人科科長 根本 玲子

東葛病院 院長 下 正宗

友の会の会員拡大の活動で、今年度も1000人を超える仲間を迎えることができました。多くの皆さんの声掛けに感謝いたします。

当院は、2015年1月に世界保健機関(WHO)が推奨する健康づくりに参画する医療機関の集まりであるHPH(Health Promoting Hospital)のネットワークに日本で19番目の施設として登録しました。

HPHの活動は、疾病予防、健康管理、ヘルスプロモーション(人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようにするプロセス)に取り組み、個人や地域環境にアプローチしていくものです。これまで取り組んできた保健学校、健康班会、街かど健康相談会などは、まさに、HPH運動の実践だと考えています。

今後も、友の会とともに、健康に暮らせる街づくりに貢献していきます。

東葛病院・付属診療所の医療活動(2015年2月分)
付属診療所1日平均外来患者数 734人
東葛病院 1日平均救急・夜間外来患者数 55人
1日平均入院患者数 294人
手術件数 89件
主な検査 血管造影 31件
内視鏡 522件
CT 830件
MRI 267件
心電図 923件
腹部エコー 380件
心エコー 264件
救急患者数 1523件
内 救急車搬入件数 237件

掲載日:2015年4月1日/更新日:2024年10月25日

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