東葛の健康 No.362(2014年9月号)

東葛病院の医療【外来透析】
安全で質の高い透析めざして〜オンラインHDFを開始

腎臓の機能が低下し、体内に老廃物がたまり、機能が維持できなくなった状態(尿毒症)に陥った場合には、腎代替療法によって腎臓の働きを肩代わりしてもらい、体を維持することが必要です。この腎代替療法には、機械を使って血液中の老廃物をとりのぞく血液透析と、腹部の内臓を覆っている膜(腹膜)を利用する腹膜透析の二つの透析療法と、腎移植があります。

東葛病院ではオンラインHDFを導入し、流山地域で質の高い腎臓病治療を開始しました。

土谷 良樹 医師<

土谷 良樹 医師

東葛病院の腎臓病治療

東葛病院は、尿検査異常から重度の腎機能障害まで、急性腎障害から慢性腎不全まで、あらゆる腎臓病の診療を行っています。その中で、腎臓の機能が悪くなり、自分の腎機能だけでは生きていくことが困難になった場合に行われる治療が、血液透析と腹膜透析です。

血液透析では、標準的には週3回、1回4時間の治療が必要です。長く感じますが、本来の腎臓は24時間365日働いていますから、それに比べると約7%の時間しか透析していません。時間が短い分、効率の高い透析を行うことが重要なのです。

オンラインHDFの効果

オンラインHDFでは、血液を透析液で1.5〜2倍に薄めてからろ過し濃縮することで、これまでの血液透析では取り除きにくい、「低分子量タンパク」と言われる老廃物をより多く除去することができます。これにより、長期透析合併症を予防したり、透析中の血圧を安定化させたりして、結果として透析患者様の寿命をより長くすることができます。

新しく導入したオンラインHDFの機器

新しく導入したオンラインHDFの機器

透析液の清浄化

オンラインHDFでは、透析液を直接血液の中に注入しますので、透析液が清浄である必要があります。東葛病院付属診療所の外来透析センターでは、「ウルトラピュア」という、レベルの高い透析液を提供することができるため、安心してオンラインHDFを受けていただけます。

よりよい透析治療の提供

すでに開始している2台を含め、9月には11台、2016年の新病院移転までに60台全ての透析機をオンラインHDF対応のものに入れ替える予定です。東葛病院では、透析専門医、透析技術認定士、透析療法指導看護師の育成を行い、豊かなスタッフの力で、流山地域で質の高い血液透析、腹膜透析、そして腎臓病治療を受けられるように努力していきます。

無料送迎の開始めざして

透析室師長 大木 育代

通所リハの送迎車

通所リハの送迎車

東葛病院付属診療所外来透析センターでは、約160名の患者様が透析治療を受けています。自家用車で通院される方だけでなく、病院バスやご家族の送迎で通院される方、介護サービスを利用している方などさまざまです。

週3回の透析は、欠かすことの出来ない治療です。台風でも、大雪が降っていても休むことは出来ません。現在、ご自宅から病院までの無料送迎サービスの開始に向けて準備中です。患者様やご家族の負担を少しでも減らすため、そして患者様が安心して通院できるよう、今年度中の開始を目指しています。

たんぽぽ訪問看護ステーション移転のお知らせ

たんぽぽ訪問看護ステーション所長 佐藤 木綿子

当事業所は今月1日より東葛病院病院付属診療所3階へ引越しいたしました。同時に、ケアマネジャーも新たに3名が加入し、職員は看護職、リハビリスタッフなど19名の大所帯となりました。

この1年で利用者さんの数も増え、訪問件数1ヶ月165件、延べ1000件となり、広くご利用いただいています。脳梗塞後遺症や神経難病、老衰、認知症の方や、終末期、点滴注射や人工呼吸器など、常時医療の手が必要な方など、100歳から数ヶ月の赤ちゃんを対象に、医療処置や療養上のお世話、介護のご相談などを行っています。

今回の移転により、東葛病院や付属診療所の利用者さんには、より関係者との連携がとりやすくなり、同フロアの訪問診療室とは細やかなやり取りが可能となります。地域で安心して暮らせるまちづくりを目指して、一同頑張ってまいります。療養上の、お困りごとは、お気軽にご相談ください。

ステーションスタッフ

ステーションスタッフ

歯科コーナー「知っていました?」<隔月掲載>
熱中症予防と虫歯予防〜スポーツ飲料と糖分

東葛歯科 歯科衛生士 小林 倫子

まだまだ暑い日が続いていますが、熱中症対策として大事なのがこまめな水分補給です。しかし、必要なのは水分だけではありません。汗と一緒に失われたからだの塩分を補うためにと、夏場はスポーツ飲料を飲むように心がけている方も、多いのではないでしょうか。しかし、スポーツ飲料には、糖分もたくさん含まれているのをご存知でしょうか?

500mlのスポーツ飲料に、スティックシュガー何本分の砂糖が入っているでしょうか?答えは12本。500mlの水にスティックシュガー12本とレモン汁を2、3滴、塩水を数滴いれるとスポーツドリンクの味になります。

口の中に糖分がある、虫歯菌がそれを分解し、酸を作って歯を溶かします。これがむし歯です。熱中症予防にとスポーツ飲料ばかり飲んでいると、こまめな水分補給が、同時にこまめな糖分補給となり、口の中が虫歯になりやすい環境になってしまいます。(あくまでなりやすいというだけで、スポーツ飲料を飲むと必ず虫歯になってしまう、ということではないので注意してください)

スポーツ飲料は夏場の乾いたからだにとって必要なものですが、摂り過ぎに注意しましょう。水分の補給をするときは、スポーツ飲料だけではなく、水や麦茶なども飲むようにしてみてください。そして、もちろん毎日の歯ブラシも頑張ってくださいね!フッ素入りの歯磨き粉を使ったり、フロスや歯間ブラシを使って、細かいところも丁寧に磨いてください。熱中症と虫歯に気を付けつつ味覚の秋にそなえましょう!

シリーズけんさ95【臨床検査技師とは】

検査課 課長 加瀬 智史

今回は、東葛病院診療技術部に属する、検査室についてご紹介します。総勢25名の臨床検査技師がいます。当院の検査室業務を大きく分けると、検体検査、病理検査、生理検査に分かれます。

検体検査は、採取された血液、尿、便など、あらゆる体液を対象に行う検査です。たたみ2畳分ほどの大きいものから、A4の紙くらいの小さいものまで、様々な機械を使用します。顕微鏡を使ってミクロの世界を覗いていることもしばしばです。

病理検査は、専門の医者と一緒に、胃カメラなどで採取された組織から病気を見つけたり、顕微鏡で悪性細胞の有無や、治療が必要な病変がないか、注意深く観察しています。

生理検査は、心電図や超音波検査、脳波検査など、患者様に直接触れて検査を行わせていただく検査です。「検体検査室」や「病理検査室」よりも、「心電図室」や「超音波(エコー)室」の方が馴染み深いかもしれませんね。

それでは皆さん、検体を通じて、または直接、お会いしましょう。

検体検査を行う臨床検査技師(ESS)

検体検査を行う臨床検査技師

8月4〜6日原水爆禁止世界大会【広島】世界大会に参加して

医療福祉相談室 ソーシャルワーカー 山口 彩紀

8月4日〜6日に原水禁世界大会・広島に参加させていただいた相談室の山口彩紀です。私は高校生の修学旅行で広島原爆ドームに行ったことや、祖母から疎開の話を聞く機会などの経験がありましたが、どこか他人事なところもありました。今回参加するにあたって、先輩から「はだしのゲン」を借り、当時の様子をイメージできるよう準備しました。そこで知った似島″という当時兵士や被爆者たちの検疫所であった島を訪れ、実際に見て聞いて感じたことで得るものは大きかったです。

戦争や原爆を体験した方々の生の声を聞けるのは、私たちが最後の世代だということに責任を持ち、自分の聞いたこと・感じたことを、身近な人たちや後世へ語り継いでいかなければならないのだと実感しました。世界大会参加に向けてご支援・ご協力いただいた多くの方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

広島原爆ドーム前で職員代表2日目

広島原爆ドーム前で職員代表2日目

世界大会総会に出席

世界大会総会に出席

東葛病院・付属診療所の医療活動(2014年7月分)
付属診療所1日平均外来患者数 745人
東葛病院 1日平均救急・夜間外来患者数 54人
1日平均入院患者数 277人
手術件数 115件
主な検査 血管造影 24件
内視鏡 605件
CT 952件
MRI 346件
心電図 1001件
腹部エコー 479件
心エコー 349件
救急患者数 1606件
内 救急車搬入件数 245件

掲載日:2014年9月1日/更新日:2024年10月25日

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