東葛の健康 No.343(2013年2月号)
歯科コーナー「知っていました?」<隔月掲載>
子どもの虫歯予防~保護者の気配りで虫歯になりにくい歯に~
東葛歯科 歯科医師
関 比呂志
「虫歯が多いのは親からの遺伝」と時々聞くことがありますが、それは間違いです。人が生まれた時は、虫歯を作る虫歯菌は口の中にいません。どこからやってくるのでしょうか?
虫歯菌のまったくいない子どもに虫歯菌をうつすのは大人です。食事の際、保護者とスプーンを共有するなどで間接的に虫歯菌に感染する原因となります。また食べ物を、親が柔らかく噛み砕いてから食べさせたりすることも、虫歯菌が感染する原因となります。幼児期に子どものためにと思って行う行為が、虫歯を親から子に感染させる行為になることがあります。保護者に虫歯菌が多い場合やこれらの行為を頻繁に行うほど、子どもが将来虫歯になる危険が高まります。
子どもと接する時間が長い親の気配りで、虫歯菌の感染時期を少しでも遅らせることができ、子どもが虫歯になりにくくなります。子どもを虫歯から守るには他に、仕上げ磨き:小学校低学年までは、毎日仕上げ磨きを行いましょう。間食:砂糖入りの食品やジュースなど間食の回数が多ければそれだけ虫歯になりやすくなるため、時間を決めましょう。フッ素:フッ素入りの歯磨き粉を利用したり、歯医者でもフッ素塗布を行っています。授乳:1歳6カ月を過ぎた就寝前の授乳は虫歯リスクを高めます。状態を見ながら工夫をしてください。
子どもは自分では虫歯から歯を守ることはできません。親がしっかりと管理し、歯医者で定期的に検診を行うことをおすすめします。
訪問看護の現場から
たんぽぽ訪問看護ステーション
看護師 勝木 一恵
Aさんは40代、大腸癌末期。幼いお子さんを抱えるお母さんです。少しでも長く生きたいと色々な治療をしてきました。訪問当初は、下の世話を家族にさせたくないと最期は入院を考えていました。お腹の傷から癌が広がり毎日、傷の手当に訪問しました。同じ年頃の子を持つ母同士として心の交流もしました。少しでも子どもの側にいたい、ご自宅で最期まで過ごしたいと気持ちが変わり、お子さんに見守られて旅立たれました。
Bさんは70代、明るく頼もしい一家の大黒柱。お孫さんたちと外食するのが何よりの楽しみでした。大腸癌末期。痛みや吐き気に何度も襲われ精神的にも病んでいきました。日に何度も緊急訪問し支えました。一昔前に比べ、癌の末期の症状を抑える薬は増えました。それでも苦慮するケースもあります。吐き気止めを持続皮下注射しながら、ギリギリまで外食会に出かけることができました。最期は愛するご家族に囲まれての旅立ちでした。
Cさんは痔ろう癌の末期。脳梗塞で自宅療養中の発病。病院より自宅のほうがヘルパーや訪問看護で、手厚い介護ができると、自病もある奥様が在宅での看取りを決めました。毎日傷の手当に訪問。一時入院もされましたが、自宅で静かに旅立ちました。しっかり看取れたので涙も出ないとおっしゃった奥様が印象的でした。
たんぽぽ訪問看護ステーションでは、赤ちゃんからお年寄りまで訪問しています。
近年、若い方の癌の終末期が増えており、本来ならもっと訪問してあげたいと思っても、3割負担が重く増やせません。治療の段階で貯金を使い果たしている事もあります。病院の医療相談員とも連携し、負担を少しでも減らせないか模索しています。お金の心配なく、在宅で最期を迎えたいという願いを叶えられる世の中にしたいと心から思います。
たんぽぽ訪問看護スタッフ
シリーズ けんさ77
睡眠時無呼吸症候群の検査
臨床検査技師 初見 愛可
今回は、睡眠時無呼吸症候群とその簡易検査についてです。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に10秒以上呼吸が止まる無呼吸が1時間に5回以上起こる疾患です。空気が通る気道に脂肪がつくことや、扁桃腺(へんとうせん)が大きいこと、顎(あご)が小さいこと、舌が大きく喉が塞がってしまうなど、気道が閉鎖することによっておこります。
睡眠時無呼吸症候群は身体に様々な影響を及ぼします。無呼吸により血液中の酸素量が減り、呼吸開始で酸素量が元に戻ります。この状態を睡眠中繰り返すことにより、心臓をはじめとする血管、脳血管に負担がかかり生活習慣病を合併しやすくなります。
また、無呼吸により脳が目覚めるため、熟睡できずに日中に耐え難い眠気に襲われ、運転中や仕事中に眠気と戦わなければいけない状態になります。
睡眠時無呼吸症候群の検査では、まず初めに夜間サチュレーション検査という簡易検査を行います。この簡易検査で、睡眠中の酸素量の変化を調べます。
写真のような腕時計型の小さな機器を自宅へ持ち帰って、寝るときに指につけて寝ていただきます。機器の取り付けや操作は簡単ですので、検査のために入院する必要はなく、自宅で行うことができます。
家族の方からいびきや、睡眠中の呼吸停止を指摘されたことはありませんか?
熟睡感の欠如、日中の眠気、日中倦怠感(けんたいかん)、睡眠中の胸部違和感が気になる方は睡眠時無呼吸症候群が疑われます。
お心当たりのある方は一度、スクリーニング検査を受けてみませんか?お気軽に当院にご相談ください。
ちば派遣村in東葛(柏会場)
第6回労働・生活・健康相談会 東葛病院も参加
JR柏駅東口に設けられた派遣村特設会場
12月25日10~14時、JR柏駅東口ダブルデッキと京北ホールを会場に、「ちば派遣村in東葛」が行われ、東葛病院から大野義一朗実行委員長はじめ職員8人、全体で70人以上が参加しました。
実行委員会は11月に東葛地域6市に申し入れ、公共施設にポスターを張り出し、行政の就労支援や生活支援、融資案内のチラシを会場に用意しました。
デッキでは「気軽に相談を」と案内が入ったポケットテッシュを配布し、直接相談や電話での相談を呼びかけました。
会場には44人が相談に訪れ、医師や看護師、弁護士、社会保険労務士など、専門職種が話を聞きました。
相談内容では、医療・介護関係9件、労働相談関係8件、法律・年金・生活保護など32件(重複あり)。6年前の派遣村当時の相談内容から大きく変わり、生活全般の相談が多くなっています。
20歳代の男性は「体を悪くして自己都合退職となり、職員寮を出たため、ネットカフェを転々としている」と話し、スタッフが生活保護の申請を勧めて市役所に同行しました。
医療相談を行う大野副院長
健康管理室の二階堂規子看護師が受けた相談では、「40歳代男性で2年前に交通事故で視覚と足に障害を負い、仕事を辞めざるを得なくなった。その後、貯金を切り崩して生活し、後2年間は貯金で何とかなるが、働けるのに仕事がない。ハローワークを訪ねても仕事が見つからない」と解決が見いだせない深刻な相談内容でした。
また、70歳代男性から相談を受けた松戸なのはな訪問看護ステーション三浦純江所長は、「借金が息子の代まで残る心配や精神疾患の息子の将来の事、自身の体調の不安など」の深刻な相談に対応しました。
初めて参加した相談室の竹村陽子ソーシャルワーカーは「長引く不況で失業や倒産など、生活してけない方などに対して、債務問題などの専門家につなげていくことが大事です」と語りました。
東葛病院・付属診療所の医療活動(2012年12月分)
付属診療所1日平均外来患者数 | 919人 | ||
---|---|---|---|
東葛病院 | 1日平均救急・夜間外来患者数 | 73人 | |
1日平均入院患者数 | 296人 | ||
手術件数 | 91件 | ||
主な検査 | 血管造影 | 22件 | |
内視鏡 | 499件 | ||
CT | 782件 | ||
MRI | 230件 | ||
心電図 | 947件 | ||
腹部エコー | 349件 | ||
心エコー | 279件 | ||
救急患者数 | 2236件 | ||
内 救急車搬入件数 | 285件 |
掲載日:2013年2月1日/更新日:2024年10月25日