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病院だより「東葛の健康」

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No.337(2012年8月号)

東葛病院の医療【救急医療】
~軽症から重症まで 全ての急患を断わらない~
東葛病院の救急外来に受診・搬送される患者さんは、2011年度の実績で1万7千人、救急車搬入台数は2300台です。2003年と比較すると、約1.5倍に増加しています。流山市内から搬送される救急車の約3割を東葛病院で受け入れています。とくに小児科の患者さんの増加が著しく、2011年の救急外来数は、6777人で、全体の約4割を占めます。10年前と比べると、3倍に増加しています。今年1月に1年間の救急医療の研修を終えて、着任した後藤慶太郎医師に東葛病院の救急医療について語っていただきました。(編集部)

救急科医師 後藤 慶太郎

地域のセーフティネットワーク

救急外来では、年間約80例近くの心肺停止の患者さんも受け入れています。1分1秒を争う場面では、多くの医師やスタッフの力を結集して治療にあたっています。人工呼吸器治療や透析治療が必要な患者さんは、HCU (ハイケアユニット)に入院していただいて治療を継続しています。「腹痛」の患者さんは多いのですが、大半の方は内服薬や点滴でよくなって帰ります。

しかし中には、急性虫垂炎や消化管穿孔(胃潰瘍などがひどくて破れて腹膜炎を起こす)の場合、緊急手術が必要となります。外科の医師が迅速に対応し、緊急手術を行っています。「血を吐いた」「胃の劇痛」といった場合には、緊急に内視鏡による診断と治療を行っています。

北米式 ER 型救急

東葛病院の救急外来は、北米式ER(英:EmergencyRoomの略)型救急システムで行っています。ERでは救急医がすべての患者さんの初期対応を行い、専門的な検査や治療が必要な時は、専門医に相談を行います。

救急患者を搬送する救急隊と受け入れする病院スタッフ

救急患者を搬送する救急隊と受け入れする病院スタッフ

従来日本の救急医療は、救急患者を1次救急(帰宅可能な軽症患者)、2次救急(入院が必要な中等症)、3次救急(救命救急センターの対応が必要な重症患者)と分類し、3次救急医療機関を中心に発展してきました。

一方、時間外にどの科を受診したらいいのか分からない急患が増加すると、重症患者のみを対象にする救命救急センターだけでは、とても救急医療は支えきれません。

救急外来には診断がついていない病気や症状の患者さんが多く来院されます。救急のトレーニングを受けていない専門医が最初から救急患者の診療を行うと、専門外の病気や症状には全く対応できない、また、重大な病気を見逃してしまう問題が大きいです。そこで近年注目されてきているのが、ER型救急です。

全ての初期対応を

ERを担当する救急医は、専門は様々ですが、適切に診療ができるように、皆トレーニングを受けています。また私が救急専従医として、ER全体のマネージメントをしています。東葛病院で治療が困難な場合、近隣の大学病院や救命救急センターに転送や紹介を行い、迅速で適切な連携を図っています。

院内・地域と連携

救急外来を受診する患者さんは、単に病気や怪我で苦しんでいるだけではありません。

「健康格差社会」と言われるように、多くの患者さんが経済的な問題、心の問題、家庭の問題などを抱えています。病気や怪我を治して終わりとせず、看護師やソーシャルワーカーなど、チームで解決にあたっています。

とにかく「苦しんでいる患者さん、困っている患者さんを助ける」という想いで診療にあたっています。東葛病院ERが、地域のセイフティ―ネットとして力を発揮できるよう、連携を強めていきたいと思います。

患者数と救急車数の推移

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患者救済へ水俣大健診 救済されぬ多数の患者
7月の申請打ち切りが迫る中、熊本県で6月24日に行った「不知火海沿岸住民健康調査」=大規模健診(東葛病院・医師、職員も参加)の結果は、豪雨にもかかわらず受診者1394人。内、1216人(87%)に水俣病特有の感覚障害が認められました。

医師 栄原智文

私は2009年に行われた水俣大検診に参加して以来、検診活動に関わっていきました。大検診では小さいころから毎日主食のように魚を食べて育った方々が20年30年経って様々な後遺症に苦しんでいました。有機水銀に汚染された海では有機水銀が魚介類の体内で食物連鎖によって蓄積・濃縮されます。その魚介類を摂取し続けると手足のしびれ・こむらがえり・視野が狭くなるなどの神経症状がでます。水俣病の患者が救済されていなかった事実を知らなかったことが医療従事者として恥ずかしい思いでした。

関東地方にも水俣地域で生まれ育って、地元の学校を卒業してから就職や結婚のために上京してきた住民が大勢いることを知らされました。関東での検診が数回開催され参加してきました。

水俣病の50年以上にわたる歴史でおそらく数十万人以上の方が被害を受けたと推測されますが、正確な実態を把握するための公式の調査は一度も行われていません。 しかも救済する法律が突然今年の7月に打ち切られることになりました。そこでまだ現地にも埋もれている患者を見つけるために、熊本県天草地域で今回の大検診が行われることになりました。

行政が救済対象に指定した地域外であるために、申請には過去の魚を食べた証明が必要という不当な条件がついています。しかし今回の大検診によって指定地域外にもたくさんの患者が潜在しており、行政が指定した地域の矛盾が明らかになりました。水俣病被害の実態を明らかにして、様々な差別を受けてきた被害者全員が正当な補償を受けられるように今後も検診活動を続けていきます。

今回の取組み結果
今回の調査では、行政の指定した「汚染地域」や「汚染時期」外の人にも症状が見られ、海から離れた山間部の方や、30才代の若い人にも症状がみられました。 行政の指定した線引き時期には根拠がないことがあらためてうきぼりになりました。

ところが、身体の不調を水俣病だと思っていない人や、長年の偏見、差別のため、 手を挙げられない人がたくさんいます。3年前では約3千人だったが特措法施行前では、5万人を超えて今なお増え続けいます。 このような状況の中、救済の窓口を閉ざすべきではありません。

水俣病患者さんも原爆被爆者の方々も「二度と同じ過ちを繰り返さない」ことを望んでいます。国の責任は重大です。
申請のご案内と解説
※水俣救済策の申請締め切り問題
水俣病救済策は、56年前の事件にもかかわらず、行政に認定されない被害者がたくさんいます。「水俣病被害者救済特措法」は、このような被害者に対し、一時金と医療費を支給するもの。 特措法が「あたう(可能な)限り救済」とうたう一方で、細野豪志環境相は、救済申請の受付を7月末で締め切ると表明しています。 特措法に背く被害者切り捨てだとして、多くの患者団体が締め切り撤回を求めています。
7月中に給付申請だけで仮申請可能
東京でも、水俣病健診に多くの方がみえられました。仮に、7月末で申請の締め切りが確定してしまった場合も、 7月中に、「給付申請書」を提出すれば「診断書」を含む、その他書類は、7月以降も行政側は受け付けるとしています。

長崎、鹿児島、新潟、その近隣県の出身者の方、症状に疑いのある方は、お早目に東葛病院までご相談下さい。8月以降も水俣病の診断は継続して続けていきます。

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クスリ あ・れ・こ・れ <隔月掲載>
薬剤師 菊池 知美

薬剤師 菊池 知美

薬による排泄物の色の変化 尿・便の色で健康チェック

排泄物(尿や便など)を観察することは、自分の体調を知る上でよい指標になります。薬によっては、排泄物の色に影響を与えるお薬があります。

一般的な正常便とは、黄褐色の半固形で軟らかく、バナナ状のものを1日に1~2本と言われていますが、便の量は食事の量や種類によって異なります。便の色に影響する代表的な薬剤は、貧血治療薬の鉄剤で黒色、抗結核剤のリファンピシンで橙赤色、造影剤であるバリウムで白色になることがあります。抗てんかん薬のデパケンR®、医療用麻薬のオキシコンチン®、鉄剤のフェロ・グラデュメット®といった薬剤は、便に薬の抜け殻が出てくることがありますが、成分はすでに吸収されていますので心配ありません。

一般的な尿とは、透明な淡黄色ですが、健康な人でも脱水状態であれば尿は濃縮され濃い黄褐色になります。逆に水分のとり過ぎは、ほとんど無色透明になります。尿の色に影響する代表的な薬剤は、下剤の大黄・センナ(アローゼン®、センノサイド®、セチロ®など)で黄褐色~赤色、ビタミンB2剤(ハイボン®、ノイロビタン®など)で黄色、鎮咳去痰剤のアスベリン®で赤色、抗パーキンソン剤のレボドパ製剤(メネシット®、マドパー®など)で黒色、リファンピシンで橙赤色、抗生物質のミノサイクリン(ミノペン®)は黄褐色~茶褐色、緑、青に変色したとの報告があります。

このように排泄物の色調変化は、薬剤の影響もありますが、観察していて気がついたことは主治医に相談しましょう。

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相談室の窓から
相談室 竹村陽子

相談室 竹村陽子

水俣病健診で相談活動

入職して5カ月目になり、今回研修の一環として7月22日に代々木病院で行われた水俣検診に初めて参加しました。私は、鹿児島の対象区域外に住んでいた50代の女性の方で、今回姉妹で検診に来られた方と、ご自身も漁師をされていた70代の男性の方の問診に先輩職員の方についてお話を聞かせていただきました。当時、何もないところでよく転んでいたり、まっすぐに歩くことが出来なかったと話されていました。

現在も箸やコップなどうまく掴めず落としてしまうこと、こむらがえりがあることなど、お二人とも多くの症状が共通していました。何といっても衝撃を受けたのが、水俣病のことは地域はもちろん、近所や兄弟にさえも話したりすることはタブーで、ご家族に被害者手帳を持っている方がいてもそのことについて最近まで知らなかったり、詳しいことは話せないと言われていたことです。それだけ社会的にも差別が強く、お一人で苦しまれてきたことを痛感しました。特措法の継続を訴えていかなければならないと思いました。

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シリーズ けんさ 72
健康診断

診療技術部検査課課長 臨床検査技師 加瀬智史

『流山市(特定)健診』についてお話しします。健康診断とは、健康であるか否か、「何かの病気の危険因子」がないかを探すものと、「がん検診」などの特定の病気を早期に発見するために行なう特定健診があります。

健診では、問診・診察・採血(脂質・肝機能・腎機能・貧血・糖)・心電図検査・尿検査などを行い、病気の危険因子がないか検査します。言い換えると、「生活習慣病を見つける!」のです。

毎年の検査結果は保管しておき、今回と前回の値を是非比べてみて下さい。今回になって所見ありや要指導や要医療になってしまった項目はありませんか?その異常な項目には、将来大病を患う危険性を秘めているかもしれません。

基準値の範囲内であっても前年から大きく変動している場合は注意が必要です。例えば、総コレステロール値が高くなってきている場合は、現在の生活習慣をそのまま続けるとさらに値が上昇し、「脂質異常症」になる可能性があります。

生活習慣病といわれる高血圧・脂質異常症・糖尿病を発病し、心筋梗塞や脳梗塞などの更なる大病が起こり易くなってしまうのです。

生活習慣病になる前に、健診の結果によっては日々の生活習慣を見直すなど心掛け、予防しましょう。

一口に健診と言っても、とても深い意味があるのです。是非皆さん、東葛病院の健診センターに足を運んで、一緒に健康のレベルアップに努めましょう。

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原水爆禁止世界大会【広島】
代表団10人が、意志受け継ぎ広島へ

7月18日、平和の学習会に続いて、原水禁世界大会の壮行会を行いました。東葛病院から8人、東葛健康友の会から2人の計10人の代表団で参加します。

今年の広島への参加者が会場前に整列し、昨年の長崎大会参加者4人から、世界大会参加者のタスキが渡され、会場の参加者から大きな拍手が送られました。その後、今年の世界大会に参加する全員から、決意表明が語られました。

病院事務の安江萌さんは「世界大会に参加するに当ってカレーやチラシ寿司などの販売を行ないます。ぜひみなさんの協力をお願いします!」とカンパの協力を訴えました。

2012年度原水禁広島世界大会代表団と昨年の長崎代表団の紹介

2012年度原水禁広島世界大会代表団と昨年の長崎代表団の紹介の様子。
代表団、左から、伊藤美由貴、安江萌、高橋和史、若松加奈子、竹村陽子(敬称略)

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大飯原発再稼働許すな!17万人
原発ゼロを訴え大結集!暴走する野田内閣はノー

快晴となった7月16日、代々木公園は、「脱原発、再稼働反対」の一致点で17万人が集まりました。東葛病院からは職員や友の会員ら80人が参加しました。

12時半から始まった集会は、大江健三郎さんら9人が呼びかけた「さようなら原発1000万人アクション行動」として開かれ、落合恵子さんや鎌田慧さんらがあいさつし、原発立地県からの現状報告があり、野田政権や東京電力を批判し原発再稼働をやめさせようと呼びかけました。

また、会場はステージが2つ設けられ、トークやライブも行われ、音楽家の坂本龍一さんや制服向上委員会、ロックバンドなどがライブを行い、脱原発の声をあげました。

集会は2時過ぎに終わり、3コースに分かれてデモ行進に出発しましたが、あまりの人数の多さで、東京のデモ行進が出発できたのは5時を過ぎ、終点の新宿に着いたのは7時になりました。

国民に脅しと再び安全神話で、大飯原発を再稼働させた暴走する野田内閣ですが、しかし、国会事故調査委員会は、福島第一原発は自然災害ではなく人災である明言しました。

また、脱原発・再稼働反対の運動は、毎週金曜日夜に首相官邸前で行われ、毎回10万人以上が集まっています。いま声を上げあげなければいけないと、これまで集会に参加してこなかった人々が、ツイッターやフェイスブックで友人同士の呼びかけあって、自主的に集まっています。

被ばく医療委員会は毎月、学習会や集会などの企画を通して、原発をなくす運動をすすめています。原発再稼働をやめさせ、原発ゼロをめざして、引き続き運動への参加をお願いします。

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お詫びと訂正
7月号1面、石川広巳医師を広己に訂正し、お詫び致します。
東葛病院・付属診療所の医療活動 (2012年6月分)
付属診療所1日平均外来患者数 809人
東葛病院 1日平均救急・夜間外来患者数 46人
1日平均入院患者数 301人
手術件数 115件
主な検査 血管造影 24件
内視鏡 458件
CT 901件
MRI 280件
心電図 1062件
腹部エコー 407件
心エコー 317件
救急患者数 1385件
内 救急車搬入件数 193件

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東葛病院
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東葛病院付属流山セントラルパーク
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